航宙日誌
『革命戦記』と輝&Ark☆の珍道中?

2001年11月16日(金) 『双星記』

 全五巻を読破。全部、外で読んだ・・・(家では原稿中心)
 デビュー作『シインの毒』を、とある用件で訪れた四国からの帰りに新幹線内で読んだ時は本当に新人作家さんなのか!?と衝撃を覚えた。あれから、5年。幾つものシリーズ作を抱え、中には田中芳樹先生の原案『野望円舞曲』の文筆担当でもある荻野目悠樹さんのスペース・ファンタジー──と銘打ってはあるが、かなり重々しい展開も随所に見られる。
 タイトルの如く、二つの星が滅亡に瀕するだろう宇宙的災厄を前に、生き延びる手段として、戦争状態に突入していくのだが、これほど“理想と現実”“本音と建前”が前面に出されるとは意外でもあり、逆に楽しんでもいた。
 戦争・政治・経済等の様々の多面性と、生存のための戦いを起こす人々──政治家・軍人、裏の大物やら地下組織メンバーから記者や歌手、そして、一般民間人の夫々に複雑怪奇な内面性・・・。二律背反どころではない矛盾と現実に圧倒されてしまう。
 何よりもラストはある種の示唆に終わってはいるが、十二分に“ある仮定”を想像できるほどの驚異的などんでんがえしが待っていた。ある意味、“人間とは何か?”などと考えされられるパワー溢れる作品だった・・・。
 だった・・・とはいうものの、しかし、一つだけ大いなる疑問が残る。

 終わってないんじゃないのか、この話!?

 確かに示唆的、暗喩的なラストともいえるが・・・やっぱし、終わってないよーなぁ。想像を逞しくしてくれ、というような終盤の物語運びなのだ。
 後書き(といっても、二行なのだが)にも「物語はいったん一休み」「いつかどこかで再会できることを」などと記されている。これはもしや──!! いやいや『第二部』がいつか、始まることを切に願うばかりである。


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輝−Hikaru− [MAIL] [HOMEPAGE]

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