TOM's Diary
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2004年03月10日(水) スパイ

アメリカの研究所からアルツハイマー病に関わる研究試料を盗み出したとしてアメリカから身柄引渡し要求を受けている医師の第1回審問が東京高裁(地裁ではない)で行われた。

アメリカ側の主張によると、被告がアメリカの研究所から日本の研究所に移籍する際に、日本の研究所の利益をはかるために研究試料を窃盗・破壊したと言うことらしい。その試料というのはDNA試料で、容易に複製が可能なものであったらしい。確かに、DNA試料であれば、PCR(核酸増幅法)で増やすことは容易であり、日常的に行われていることである。普通なら窃盗、器物損壊の罪に問われるのだろうが、驚いたことにアメリカ流にこの事件を見るとスパイ行為ということになるらしい。

どうも納得がいかない。
容易に複製可能な試料を持ち出したくらいでそんなに目くじらを立てることはないのではないか?窃盗ならまだしも、スパイ容疑だなんて・・・ここはアメリカ側の立場に立って見てみようと思う。

アメリカがスパイと言うからには、それなりの理由があるだろう。
容易に複製が可能な試料であったとしても、複製元となる試料がなければ複製は出来ない。その試料が簡単に入手できないものや合成できないものであれば経済的価値も高く、日本の研究所の利益をはかるために持ち出した、すなわちスパイ行為とみる事ができるのではないだろうか。しかもその試料は研究所が得た寄付金によって入手したものであって、所有権は被告にはないものと考えられる。

さらに新聞記事によると、被告の後輩研究員が、被告が管理するその試料を使用して、被告よりも先に論文発表してしまう可能性があったために、帰国前に一部を持出し、残りを破棄したと言う。アメリカ側の立場みれば、これは帰国後の研究所における個人の業績を優先し、アメリカの研究所の利益を損なったものとみることができるだろう。

このように考えるとアメリカの主張も判らないでもない。

さて、東京高裁での審問における被告の主張を見る限りでは、後輩研究員はこの医師の研究を自分の業績として横取りしようとしていたかのようである。おそらくはそうなのであろう。そのことが原因でこの医師は、はからずも窃盗ならびに器物破損と言う罪を犯してしまったのではないだろうか?そして貴重な試料を失った研究員はそれを逆恨みし、大げさに当局に訴えたのではないだろうか?

以上、あくまで想像に過ぎないが、この医師にとってはまさかこのような大げさな事態になるとは夢にも思わなかっただろう。

この医師には、アメリカに渡りスパイなどと言う不名誉な容疑を晴らしてもらいたい。


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