TRPG回顧録
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2004年05月21日(金) |
次元界の書日本語版発売に際して |
これは3月くらいに書いていた文章でしたが見直しをしている暇がなく放置されていた文章です。
なんだか思い切り時期をはずしておりますがご容赦ください。
以下本分です。
次元界の書の日本語版発売に関して。
一部では日本語版タイトルに関して抵抗を感じるという意見を聞きます。
私もやはり同様に抵抗を感じるということはあります。
私は以前回顧録において安易に横文字を多用する作家は頭の悪い証拠だと書きました。
それは翻訳に関しても言える気がします。
まずその前にテーブルトップのRPGに限らず翻訳に関するお話をさせていただきます。
ある偉大な劇作家、演出家の先生のお話なのですが、
シェイクスピアの戯曲は翻訳された時点で既にシェイクスピアの戯曲ではない。
というお話を聞いた事があります。
特に日本におけるシェイクスピアの翻訳は酷いそうです。
理由の一つには翻訳した人ごとに別々の戯曲解釈になっているそうです。
ですので、原義を汲んだ上で一番良い楽しみ方は原語版でシェイクスピアの上演を楽しむのが一番良いそうです。
あと、その人曰く、シェイクスピア翻訳している日本人もロクなのが居ないって。(笑)
ま、話は横道にそれました。
閑話休題
それで原義を忠実に再現するには少々(と、いうよりかなり)書いた人間の精神構造に近づかないといけないそうです。
それで翻訳するにあたっての好例になるのが不思議の国のアリスの一番初めに出てくる詩です。
これもシェイクスピア同様翻訳する人ごとに書き方が違うのですが一番原文の意図を汲んでいると思われるのが
東京図書株式会社発行の不思議の国のアリスですね。
これは作者であるルイスキャロルがアリスのモデルになったアリス・リドルとその姉妹たちを舟遊びに誘い、その折に子供たちを楽しませるのに即興で作り出した物語というのが「不思議の国のアリス」という物語なのです。
その舟遊びに出かけお話を子供たちに聞かせる場面を綴ったのが前述した冒頭の詩なのです。
そこで例に出します原詩ですが、
With little skill,By little arms(中略) With little hands〜
とlittleを3度繰り返しているのです。
これがアリスたち三姉妹の姓であるリドル(確かスペルはLiddellであったと記憶しています。)とlittleで韻を踏んでいるわけなんです。
その韻を踏むのと同じように訳者が考えて翻訳してあるのがこの出版社より出ている物になるわけなんですね。
そのためには古い日本語の言い回しにしなければならなかったわけなのです。
実際にはその翻訳された詩はこの回顧録には載せませんが気になられた方は直接ご覧になってください。
新注不思議の国のアリス:東京図書株式会社発行
(古い言い回しなのは冒頭の詩だけです。本分は平易な文章で子供にも読める文章表現になっていますのでご安心ください。)
要するにこの話で私がなにを言いたいのかと申しますと、
翻訳をするにあたって正確な日本語表現をしようとする労力は並大抵のものではないということです。
安易に横文字にしてしまうのは簡単です、しかしあえて正確な日本語に翻訳をされようとする姿勢が大事なのだと思ったわけです。
以前の翻訳の際はTSRがレイアウトを日本語になった際も原文の単語の位置が日本語になっても全く同じ位置にあるようにと新和に指示をしたと聞いています。
余談ですが旧D&Dの日本語版と原語版を見ると本当にその苦労を伺えるほどの内容でありました。
私が両方持っていて比べて見たのはM1モジュールとマーベラスマジックだけですがM1モジュールの冒頭部分の単語レイアウトを見てビビリました。
冒頭しか読んでませんけどね。(笑)
でもレイアウトで言うなら、英語を翻訳した際にその単語の位置と同じ意味の日本語をレイアウトを違えずに編集しているんです。
なのでその関係であまり正確に翻訳できなかったという噂も聞いております。 (あくまで噂ですが。)
正確な日本語表現を心がけている姿勢には非常に好感をもっています。
それは即ち新しい人やこのD&Dで初めてD&Dに触れる人間たちにも優しいということですね。 (しかし初めての人がどれだけマニュアルオブプレーンを読むかは疑問ですが。(笑))
それに表紙の下に小さいながらもマニュアル・オブ・ザ・プレインズと表記があったのも良かったなと思っています。
しかし他の発音はどれも烈しく微妙なのにこれだけマトモなのってどうよ?
これからの翻訳ラインナップにも期待です。
テロ牧師

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