約束の時間に1時間ほど遅れて彼は現れた。
昨年ブラジルから日本語研修にきていた彼に今日1年ぶりに会った。 ポルトガル語しか使えなかった彼は、今では流暢に日本語を操る。 研修の後、一時帰国し、いわゆる出稼ぎ労働者として再来日した彼。
最初の1週間は慣れない所で、話をすることもなく、おとなしく冷蔵庫の組み立てをしていたらしい。小さい町なのに、あちらこちらで、スペイン語ポルトガル語が聞こえてくるという不思議な体験をしたという。 職場で話をするうちに「日本語も話せるの?」ということになり、彼は南米からの出稼ぎ労働者の通訳兼送迎の運転手として働くことになった。
一夜にしてブルーカラーからホワイトカラーに転身した。
「仕事自体は楽だったよ。」 そういって笑う彼は、去年初めて会ったときとは比べられないくらいスリムになっていた。
「日本で1年間働いて稼いだお金はブラジルの3年分くらいになるでしょう」 「パソコン、プレイステーション、ビデオカメラ、日本でもうけたお金は日本で 使ってしまった。」
有意義で楽しい日本生活を送ったらしい・・・ しかし、来た時とは全然違う彼を見て、なんだか少し寂しい気持ちになった。
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