アルゼンチンから研修できていた彼が今日別れの挨拶にきた。 上司は記念にサンシンをプレゼントし、1曲彼のために演奏した。
「旅の出立 観音堂」
旅に出るときはその航海の無事を祈って、観音堂に祈願して行ったという故事にならい、上司は歌った。
半年間だったけれど、預かった私達としては、思い入れも深く、なんだか寂しい。
「私はあなたを失望させません」 と言って私の手を握り、若者らしく決意表明する彼は21歳。 「見送りには来ないで下さい。あなたが泣くといけないから」と精一杯いきがってみせる姿も、ほほえましい。
最後に彼はアルゼンチン方式であいさつし、にっこり笑って去っていった。
彼の笑顔と体の暖かさがずっと残っている。
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