つぶやける乙姫
辛口なのか、毒なのか・・・

2003年02月23日(日) 「アイアムサム」

はぁ〜〜〜。やっと一週間レンタルだよ、こりゃ(^^;)
バイト先の大学生の女の子(←ワシが男の子だったらおつきあい希望って感じの、理系のおだやかなお嬢様)と「早く一週間レンタルにならないかね〜〜〜」と言い続け、やっとなったさ〜〜〜!!

というわけで、あらすじ。
サムはスターバックスで働く知的障害者。精神鑑定では7歳程度の知能しかないらしい。そんな彼がある日、父になる。ホームレスの女性との間に出来た可愛い女の子ルーシー。しかし、母親であるレベッカは退院と同時に子供を置いて逃げてしまう。
男で一人でルーシーを大事に大事に育て上げ、ルーシーは賢くやさしい女の子に育った。
が、ルーシーは父親のサムのことを愛するあまり、自分が父親以上に賢くなることを拒絶するようになる。そしてルーシーが7歳の誕生日を迎えるその日、ある事件が起こり、ルーシーは施設へと連れて行かれ、サムに「親」としての資格があるかどうかの裁判が始まるのだが・・・。

とまぁ、こんな感じ。
なんつーか、全編通してダラダラと泣いてました、ホント(TT)。ハリウッド的な映画とは一線を画す、スバラシイ映画です。
一般にハリウッド的映画といえば、構成ががっちりしてて、見せ場もはっきりしてて、クライマックスと同時にみんなが泣くって感じなんだけども、この映画は違う。きっと、それぞれに感じる部分が別にあり、それぞれの思いで涙する場面があると思うのです。
とにかく、役者さんたちが素晴らしいです。主役・サムのショーン・ペンにしても、弁護士を引き受けるリタ役のミシェル・ファイファーも、ルーシー役のダコタにしても、本当にもう、リアルです。サムのお友達の障害者役の方なんか、実際に障害を持った方なのですが、彼らと一緒にいても、ショーン・ペンは本当に「そう」見える。
でも、映画として、障害がうんぬんということに対しては、あまりビビッドな印象を受けなくって、それを越えて余りある「愛」が溢れているのです。

まさにAll you need is love.(愛こそすべて)

を体現した作品。確かに、サムは障害者かもしれない。確かに、知能レベルはルーシーの方が高くなってしまっているかもしれない。確かに、サムはルーシーの「父親」として役不足かもしれない。けれど、あんなに愛し合っている二人をどうして引き裂くことができようか!?・・と本気でみていて思うのです。二人を引き裂こうとする役所の人も「悪人」ではなく、本気でルーシーの未来を思ってしていることなのかもしれない。けれど、この世でルーシーをあれほど愛せる人はサム以外にいない・・・・と、きっと誰もが思うのではなかろうか・・・とワシは思います。

親子というカタチにこだわるから、保護者はこうでなくてはならないという常識があるから、二人は窮地に立たされるのだけども、「かけがえのない存在」ということだったら、きっと誰も迷わないと思うんですよねぇ・・・。


そこはそれ、アニーの言った
「もしも二人が引き裂かれたら、ルーシーの心には大きな穴がポッカリとあくことになり、彼女はその穴を埋めるために、一生を費やすことになるでしょう」
という言葉が全てを表していると思う。
画面の中でも効果として度々「画面が青っぽく」なるのだけど、それはきっとサムの世界から見た「現実」であり、その現実から離れた部分で、サムの視界はカラフルなものになる。特にルーシーが一緒にいると、暖色が画面をしめる割合があがっていた感じ。寒々とした寒色が、イコール、サムの心情のようで、画面効果もバッチリっす。
色といえば、「シックス・センス」で「赤」がトコロドコロ「印象」づけのために使われていたけど、Mナイト・シャマランが「刺激」と「印象」の為に色を使ったのに対して、「アイアムサム」の場合は「サムの視界の表現」と「心理的効果」を狙って色を使っているように思えます。そして、随所に現れる折り紙もそのひとつ。折られた紙のひとつひとつが、サムの「迷い」であり「ルーシーへの想い」であるような気がして、キューっと胸が切なくなります。

はぁ・・・ショーン・ペン。ワシが初めて彼を「いい!」と思ったのは「俺たちは天使じゃない」で、デ・ニーロと一緒に教会に逃げ込む逃亡犯の役をやった時だったけど、それから「デッドマン・ウォーキング」「ギター弾きの恋」などの良い仕事を重ねて、本当に味のある役者になりました(TT)。そういや「ギター弾きの恋」のレビューは書いてなかったっけ??では今度(笑)。



ドラマとしては、相当良い出来です。

じわ〜〜〜っと温かい気分になりたい方は是非!
音楽もいいぞ〜〜。ちなみに「アクロス・ザ・ユニバース」のカバー(原曲は言わずと知れたビートルズ。この曲が収録されているアルバム『レット・イット・ビー』は必聴の一枚)でギターを弾いているのは、ジョンの息子のショーン・レノンだそうです。ビックリ。そういや、最近ジュリアン・レノンを見ないけど、大丈夫なのだろうか・・・。パパにそっくりよね、彼・・・。

ラストで、サムが里親のランディに言うセリフも、すごくいいです。
は〜〜〜、泣いた泣いた。


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