からくりからくさ

からくりからくさ 梨木香歩 新潮文庫

人の営みは、決して交わることの無い、織物のようなもの。
縦糸と横糸がからみあい、遠目から見ると一枚の絵に見える。
しかし、近づいて目を凝らすと、糸の一本一本が強固にその存在を主張していることに気付く。
糸の持つ色が複雑に絡み合うことで、一つの大きな作品を創り上げる。

そんな人間社会を、歩んできた文化を、鮮やかに描き出す、そんな作品でした。
物語後半の、息をもつかせぬ展開に、くらくら来ました。
それまで緩やかに描かれてきた、漠然とした世界観が、一気に収束していく、眩暈にも似た感覚。
そして、突然訪れる、大転換。
すさまじい変化にも関わらず、冒頭より流れている、ゆったりとした大河のような空気観はそのままで。

見事なまでに生き方や考え方の違う4人が創りだした唐草模様。
その神秘的な模様に貫かれました。

珠玉と呼ぶにふさわしい、そんな作品です。

2002年05月24日(金)

日々 / いけだ