【読書】プリズム

プリズム 神林長平 ハヤカワ文庫JA

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感想
 神林長平は、SF作家である。
 (余談だけど、SFとファンタジィの線引きってどこなんでしょうか?)
 しかし、その作風は、哲学のそれに近い。
 『言葉』というものを、真剣に考えて、作品に取り入れている。
 本作は、言葉によって創造され、管理される世界が舞台だ。
 「構造体」と呼ばれる、星を取り巻くネットワークが全てを管理する世界。
 その構造体に認識してもらえない人、構造体を利用する人、構造体の外での生活。

 この作家のすごいところは、小難しい理論によって展開するのではなく、とても軽くて、読みやすくて、ぐいぐい引き込まれる作風の中で、確固とした芯を持った思想を展開していくことだと思う。
 難しいことを、難しい言葉で話すことは、そのものを理解していなくても出来ることだ。
 難しいことを思いつくことは、それはそれですごいことだと思う。
 それを、万人(とまではいかないかもしれないけれど)に分かるように表現して、その思想がどんなものなのか、何を自分が言いたいのかを、全く見ず知らずの人に理解させることは、その思想の優劣に限らずすごいことだと思う。

 まぁ、理解してもらったからどうなるってものではないんだろうけど。
2003年05月10日(土)

日々 / いけだ