【読書】ドゥームズデイ・ブック

ドゥームズデイ・ブック コニー・ウィリス著 大森 望訳 ハヤカワ文庫

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感想
 Doomsday=終末の日。
 その名にふさわしく、痛くて苦しい物語でした。
 いや、そう言ってしまうのは早計か。
 物語が進むにつれて、主人公のキヴリンへ感情移入が進み、
 彼女がおかれている環境への、やるせない無力感、絶望感が積もっていきました。

 中世ヨーロッパへのタイムトラベルを行った女子学生(キヴリン)でしたが、予測することが不可能だったトラブルに巻き込まれてしまう。
 あらすじは、これだけです。
 何とかしてキヴリンを助けようとする、(非公式な)指導教官であるダンワージの物語を描く、現代を舞台に展開されるストーリィと、中世ヨーロッパに降り立ったけど、トラブルに巻き込まれ翻弄されるキヴリンの物語を描く、中世ヨーロッパを舞台に展開するストーリィが、入り交じって進んでいきます。
 題材はありふれていて、あらすじもあっさりとしたものですが、登場人物達の感情の揺れや、中世ヨーロッパでの悲哀を、残酷なまでに描き出すディテールによって、超一流の作品と呼べる作品に仕上がっていると感じました。
 物語の終盤を読み進んでいくうちに、辛くて、悲しくて、やるせなくて、それでも健気な人たちのあり方を読んで、涙をこらえることが出来ませんでした。

 読後にハッピィになれるようなお話ではありません。
 でも、確実に何かを残してくれる作品でした。
2003年05月15日(木)

日々 / いけだ