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■ at Home
賃貸会社じゃないのよ? もちろん、本多孝好「at Home」(角川書店)っす。
紀伊国屋新宿本店でも強力なPUSHがされていて、題材もアレだし、なにより妙に好意的な感想を寄せる、おぎそんの好きな作家さんたち(乙一だの辻村だの)。 これは・・・読むべきか否か。 MOMENTやMISSINGは確かにそれなりにアレだったし、ALONE TOGETHERもまぁ嫌いじゃないけど、FINE DAYSや真夜中の5分前がなぁ。。。 と、寡作な方なので、どうにもこうにも判断がしにくい。積極的に新刊を買うかどうかで悩んだのですが、図書館で借りればいいじゃないっすかと後輩は言うが大人としてはねー。 なわけで、CDよりは安いし(>比較対象が変)買ってみました。
なるほど。 表題作は確かに上手い。嫌いじゃない。狙ってるなぁとも思うし、話の運び方が王道ではある。 いいんだけど。
うーむ。なんていえばいいんでしょう。いや、思春期の頃に読んだらきっとはまるだろうなぁとは思うし、確かに泣きそうにはなるの。
以下ネタバレ。
・・・・ホントにバラすから未読の人駄目よ?
主人公が「主人公(物事を中心となって動かす)」と思っていたのに、それが実は傍観者だった、という筋って最近多くありません? 明確に、どれが、とはいえないのだけど、最近読んだ他の本でもあったような。こういうのって流行なんですかね? 題材が、とても現代的なものを取り入れているから(それが悪いわけではない)なんかねー。 新しい”家族”観の提示まではいってないような気もするのですよ。なら、まだしも平安寿子「ぐっどらっくララバイ」(講談社文庫)のほうが(エピソードが長すぎるのが難点だけど)。
この、”家族”というのはキーワードでさまざまな事象が語られるのは最近の流れですが。 たとえば、先月末に出た、石井光太「感染宣告----HIVだから抱かれたい」(講談社)でも、家族の章を設けて語られる。 でも、こういうのって実は”旧”家族観の強化のような気もするのですよ。 なんというか、おとーさんがいて、おかーさんがいて、こどもがいてー。 うーむ。 擬似家族をこの「at Home」の表題作でとりあげてるけど。うーむ、なんといえばいいのかな。結局は、擬似家族で家族を続けるという感じとでも言えばいいのでしょうか。 もちろん、まったくの新しい像を提示する必要もないし、思いつくわけでもない。でも、なんか、想定の枠で収まってしまったような肩透かし感というか。ないものねだりかな。
そりゃ、アメリカとかオランダであるような、ゲイカップル(もしくはレズビアンカップル、はたまたその複合)が子どもを持って。というのは、日本においてとってもリアリティのかけらがないのは認める。だから、安易にそこに流れないのはいいの。 でも、じゃあ、今の凝り固まった家族観にカウンターパンチを食らわせるような勢いの作品か、と問われたらNOというしかないんですよ。
先日、Hちゃんと呑んでたら親父がドヤ街に居ることがわかってさーという話題がでちゃうくらい、いろんな形があるのですよね。 現実に小説はどのような形で希望を見せるのか。 そんなことをこの作品を読みながら思ったのでした。
この作品を好きな人居たらごめんなさいね。
2010年12月17日(金)
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