オトナの恋愛考
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ひろの会社のホームページをみてみた。 キーワードでも検索してみた。
忙しい彼がどんな仕事をしているのかちょっと知りたかった。 そして、わかった事は想像していた以上に重要で大変なこと。
IT分野でも最大手の企業で、そこで最先端の技術が商品であり 日本全国のいくつかの地方自治体(都道府県)が顧客だということ。 管理職としてその第一線で億単位の行政システムを扱っているってこと。
本名で検索をしてみたら私と実際に出逢った直前の春先に 経営実務の専門誌でもインタビューを受けて記事にもなっていた。
来月、関西のある県の行政システムの入札があると言っていた。 これを落札できなければ「ちょっと大変だなあ。」と呟いた。
本当に何気なく、まるで歯磨きが切れてしまって 「ちょっと困ったなあ。」くらいの調子で聞き取れないくらいの声で。
ちょっとどころか今年の会社の業績にだって影響がある。 頑張ってもらいたいけど、私に出来る事は何もない。
私が知っている恋人は言葉も少なく寡黙で 理屈っぽいことも難しいことも何も言わない。 私と一緒の時はいつもニコニコ微笑んでいるだけだ。
「ねえ、あなたはいつも言葉が少ないけれど お仕事は営業なんだよね〜(笑)」
「そお(笑)」
「お客さんにちゃんとお話できるの?(笑)」
「そうだなー。屁理屈なオヤジが相手の場合は 専門のSEを連れていくから大丈夫。」
「じゃあなたはその時になにしてるの?(笑)」
「ん?横でウンウンて頷いてるだけ(笑)」
私は思わず笑ってしまい、その話題はそこまでで終わり。 彼は必要以上に難しい話をしたがらない。
それはそうだ。一般人になんて到底理解が出来ない IT技術の最先端のシステムを行政機関相手に売っているんだから、 私となんて仕事の話なんて出来るわけがない。
毎日3〜4往復するおバカなニャンニャンメールも ブログで時々アップしている他愛もない記事も 彼にとっては日常の忙しいビジネスシーンから離れた 癒しの場所なのかもしれないなあ。
だから私がしてあげられる事は 彼が最高の健康状態とパフォーマンスで 活躍してくれる事をサポートすることと、
非日常の時間と場所で ただ純粋に愛と快楽を共有するだけだ。
自慢もしなければ雄弁でもない。 プライドと謙虚さを持ち合わせている 彼が私はとても愛しく感じる。
ああ、でも何だかとってもせつないなあ。
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