オトナの恋愛考
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2012年06月26日(火) Dreams

先週末、ひろと東京で逢った。
彼からの連絡が待てなくて自分から逢いたいと遠回しに連絡をとった。

東京へは毎月行ってるけど仕事の帰りに逢う事は
もうやめようといちいち連絡せずに
彼が私に逢いに来る時だけの逢瀬を重ねていたけれど。
たまたま今月は泊りで行く事になって
一応彼にその事を告げた。都合が悪ければ仕方がないことを覚悟で。

「そうなんだ。じゃあ宿泊先が決まったら教えてね。逢いに行くから。」
一つ返事で返信がきた。

待ち合わせ時間は私に合わせてくれるという。
「わざわざ逢いに来てくれるんだったら無理しなくて良いからね。」と言っておいたけど
どうやらわざわざ都内にある職場に休日出勤の大義名分で逢いに来てくれたらしい。

次の日に北関東へ足をのばす都合もあって
上野方面でそこそこのホテルを選んで予約しておいた。

その日レセプションの後本社でのクロージングの為に
約束の時間に30分以上遅れてホテルに着くと
ロビーのソファでうたた寝をしていたひろをみつけた。

「ごめんね。待った?」「ううん、そんなに。」

予約していた部屋よりワンランク上の最上階のダブルルームを
用意してくれていたので広々としたベッドで彼と過ごす事ができた。

ベッドに座るとひろが抱きしめてきた。

「こらこら、夕飯食べに行かないの?」
「うん、先にこっちから食べる(笑)」

それからシャワーも浴びずに延々と2時間以上
私たちは繋がっていた。

いつも驚くんだけどひろのパワーは本当にすごいと思う。
短時間のうちに私の中で2度も3度も。
私は数えきれないぐらいにエクスタシーを貪る。

ひろのカラダを全身に受け止めて
ずっと意識朦朧と雲の上を漂い水の中を浮遊する。

さんざんお互いを味わった後に
私はずっと抱きしめていて欲しいけど
ひろはタバコを吸う為に私から離れる。

「夕飯一緒に食べる時間ない?」
「うん、平日じゃないからあまり遅くなると不自然になってしまうんだよ。」

「じゃいつ帰っても良いよ。」と私は枕に顔をうずめてすねた事を少し後悔している。

あの晩、初めて彼は自分のこれからの目標や夢を語った。
リタイヤ後は田舎に帰って農業をしたいと言っていたけれど
その前にやりたい事があると話し始めた。

その夢は大きすぎて私が理解できる範疇を越えていたけれど
彼の夢が叶う事を私は遠い空の下で祈ろう。と思った。


ひろは容姿も経歴も社会的地位も経済力も何もかも申し分のない男だけれど
でも実際の彼は生真面目で素朴で言葉も足りなくて本当に不器用で。
でもそんなギャップと笑顔が好きで私は今でも彼と関わっている。
お互いに共有できる未来も何もない切ない関係だけれども
一緒に過ごす非日常の時間だけが共有できる世界だけれども
逢う度にもうこれっきりかもしれないと
覚悟しなくてはいけない立場だけれども
でも私はきっと彼の夢が実現できるように遠い空の下で毎日祈ることにしよう。

ロビーに下って行くエレベーターの中で
ひろは私の肩をグッと力を込めて抱き寄せた。
私は何も言わずに彼の胸に顔をうずめた。

私の寂しい気持ちを察してくれたのか
彼は黙って私を抱きしめた。

地下鉄の中に小さく手を振りながら消えた彼の背中を思い出しながら。
もう二度と逢えなくなるかもしれない関係でも私はずっとひろが好きなのだ。

「また逢おうね」

遠くの東京タワーの夜景を見ながらせつない一人の夜を過ごしていたら
家に着いたひろからメールが届いた。

うん、今日は逢えて嬉しかった。また私も逢いたい。

いつもと同じように返信を送った。



夢うさぎ |MAIL

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