仕事柄、新聞をよく読むようになりました。というか読まねばならないのだけれど、朝ギリギリまで寝ているのでなかなか進まない。これもまた仕事柄、五紙購読しているので、あれよあれよという間に溜まってきます。
やはり仕事柄、読み方が変わってきた。自分の担当する分野で、どういうことが起こっているのか、全体の流れはどのようなものなのか、それをまずカバーしなければならない。これまでは、いわゆる「どこそこでこんな事件があった」とか「どこそこでこんな技術開発があった」とか、そういう記事はおもしろくもなんとも感じておらず、連載特集などの「読み物」を好んで読んでいたんだけど、いまではまったく逆になりましたよ。
連載記事の良さは良さとして、ニュースとしては、紙面の隅っこに載るような数十行程度の記事のほうが重要だったりする。どっかの会社が利益を伸ばしただの、新しい取り組みを始めただの、新製品を売り出すだの、そういうやつ。株価とか大きくは経済情勢とか社会を大きく左右するのは、社説でも天声人語でも読み物記事でもない、むしろそういう小さい扱いのニュースだったりする。と、最近思う。主観なんて入らなくて良い。何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、それがどれほどミクロなものだとしても、積もり積もって世の中は変わってゆく。社会の礎の、そのほんの一片を、どれだけ早くキャッチして、正確に伝えてゆくことがでいるか、それが報道なんだろうと、最近思う。
いや、今はまだ、ようけ分からんですよ。何がニュースになるのか。何が焦点となるのか。取材とか言っても、ひたすらすべてをメモとるようにして、どこがポイントなのかの判断することは難しい。上司からは「君がおもしろいとおもったことがニュースなんだよ」と言われるけれど。一般に、新しいこと、独自のことがニュースだと言われます。まぁそりゃそうだ。
記事を書くにあたって、外側からは想像しなかったほどに厳密さが求められます。名前や数字を間違うことができないのは当然として、曖昧な表現は一切避けられる。「〜のような」とか「〜らしい」とかは有り得ない。取材先で聞いたこと、確かな筋で得た情報を、正確に文章化します。読みやすさも重要。ここでこうしてテキトーに書いている文章なんかは当然没。まず第一段落で要点を書く。次に、もっとも重要なポイントについて詳しく説明する。その後で補足的な説明を続けてゆく。
「売り上げを伸ばす計画だ」ではなく、「2003年度では100億円の売り上げを、今年度は1割伸ばす計画だ」というように、具体的な数字を入れるようにする。「製造工程を変えた」ではなく、「どこそこから機械を取り寄せて、どうたらの工程に応用し、なんとかかんとかの工夫を取り入れ、こうたらを実現できるようになった」みたいな。例えば「新製品を投入する」ということなら、何を狙って、誰を対象に、どのくらいの規模で、いつから、目標は、具体的な方法は、そしてそのニュースの背景と、今後に与える影響は・・・などなどと。そんな形態で記事を書くことを頭に入れて、取材では詳細に聞き出すようにする、と。
いや、新聞記事の大半なんて、おもしろみもねえなぁと思うかもしれないけれど(実際俺はそう思ってた)、実に厳密に、丁寧に書かれているもんだなぁと内側から眺めて思います。限られた文字数の中で、最大限の情報を詰め込む。一種のドラマであり、芸術でもある、とすると言い過ぎか。とにかくすげぇなぁと思う。何か書くたびに、基本的なとこから直されまくりですよ。はやく書き方を習得したいものです。まだまだ当分は、修行の身です。
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