空虚。
しずく。



 誰も。

捕らわれそうな瞳だった。
ちくり、と胸が痛んだ。

「彼」に私を重ね、
書き記した文が、ディスプレイにちらばる。
そのどれもが、
その瞬間の私の気持ちであり、
「彼」の気持ちであり、
大切なもの、だった。

想い、は形を変えたけれど、
私、である「彼」の時は止まっている。
画面に表示される黒のドットに、「彼」はいる。
私の指先が、彼を形作る。

けれど、今の私は彼に触れない。
それは、「彼」を思えないから。
「彼」の想いと、私の想いは、同じだったはずなのに。

2003年12月06日(土)
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