空虚。
しずく。



 憤怒。

…好きな人が目の前で犯されるのが平気な人間が、
世の中にいるのだろうか。

いくら仰々しいことを言っても、
"その"瞬間はひどく冷めているものだ。

特定の人間に対して、
はじめて明確な殺意を抱いた。
「ああ、殺せるな」
法律だとか、
この先、だとか、
傷み、だとか、快楽だとか、
全て感じない。
あったのは、おそろしいまでの怒り。
「畜生!殺してやる!」
…あの人がいなかったら、私は絶対に奴を殺していた。
未遂だろうが何だろうが、許せない。
"触れた"ことが許せない。

体の隅々が恐ろしいほど冷たい。
そのくせ力だけが暴走し始める。
ああ、怒号って本当に言うんだな…
今の自分の格好も何もない。
真っ白も真っ黒もない。
ひどく冷静に、怒りを通り越した感情が
爆発的に生まれては、消えるだけ。
「畜生!殺してやる、殺してやる…!」
うわ言のように呟く自分を奥底で見つめながら、
あの人のぬくもりを感じていた。

何よりも大切な。だからこそ許せない。
今でも、殺したい。衝動が、おさまらない。

こんなの、初めてだ。

必死で感情を押し殺してる。
泣きそうになるのに、涙が流れない。
あの頃と同じだ。

腕を刺しても、満たされていない。

殺してやる。
から、殺したい。
に、感情が変化している。

畜生。
畜生畜生畜生。

気持ち悪い、吐きそうだ。
胃がどうにかなってしまったみたいに、痛い。

酒が欲しい。
血が欲しい。
殺したい。
くそ、くそくそくそくそくそ!

どうすれば…解放されるんだ。

2004年02月01日(日)
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