2003年01月10日(金) |
宙組バウ 『おーい春風さん』 『春ふたたび』 |
最初にこの企画を知った時、正直「理事長、血迷うたか・・・。」と思った。 よくも新年早々、自分の作品を連ねて・・・しかも5組ともにさせるわ・・・。 そう思ったのである。
でも観劇暦65年になるおばさまが 「あの頃の植田さんの作品は短編ながら、なかなかいいのよ。 今の作品とは全然違って、ちゃんと起承転結があってね。 今の時代にあうかどうかはわからないけれど、悪くはないと思うよ。」と 話してくれた。
それでもなんだか期待3割、不安7割で出かけた。
まず、『おーい春風さん』 清太・・・あいり。 なんだか「あー、こんな子、いそういそう。」と思った。 意地っ張りで子どものくせに見栄っ張り。
角三・・・悠未ひろ。 鼻ったれのぐず。まあ、よくここまで自分を捨てたな・・・という感じ。 客席の笑いをかっさらっていた(笑いである、笑い)
信助・・・珠洲春希。 1番、しっかり者。泣きじゃくっている仲間を勇気付けるために 歌を歌おう・・・と言ったり、すねている清太を気にしたり・・・。 1番、周りを見て、1番、優しい。
喜久・・・かなみちゃん。 かわいい。清太の妹。彼女のセリフが涙を誘ったりしていた。
まさ・・・音乃いづみ。 1番、メソメソしていた。
愛市・・・咲花杏。 かわいかった。
船頭・・・月丘七央/風莉じん。 なんとも人のいい船頭という感じだった。 人情あふれる・・・船頭に見えた。 じんじんの歌がすばらしかった。
親方・・・箙かおる。 「あー、いるなぁ、こういう飲んだくれの親方。」って思った。 でももしかしたら、1番、優しいのかも・・・って思えた。
そしてお地蔵さま・・・一樹千尋。 見事なお地蔵さまだった。 静かに子ども達を見守っているお地蔵さまだった。
見ていて1番、驚いたのは、角兵衛獅子の子ども達がみんな泣いていたこと。 親を思って歌っている時、お地蔵さまになぐさめられている時、 みんな泣いていた・・・。もちろん見ているこちらも泣いていた。 普段あまり芝居をしているところを見ることができない面々だったから ここまで入り込んで泣いていることに驚いた。
特にしっかり者の信助が歌いながら泣いていた時、 「ホントは信助だって淋しいんだ。泣きたいんだ。」って思った。 そう思ったら、また泣けてきた。
お地蔵さまのおかげで子どもたちと親方が理解し会えた時、 本当にホッとしたくらいだった。
「あー、見て良かった。」って思えた自分にビックリした。
『春ふたたび』 ご領主・藤原道忠・・・はるひ。 登場してきた時、あまりの煌びやかないでたちに驚いた。 あまり感情を表に出せない役だったけれども・・・品があった。
やす・・・出雲綾。 見ていて歯がゆかった。ホントに歯がゆかった。イライラした(マジ) 道忠とやすが親子と名乗れないお互いの事情、わかるけれども なんだか「ゆーたら、エエやん。ゆーたら。」って何度思ったか。 みんなもわかってるんやから、もうええやん・・・と。
まあ、これだけじらしておいて、ちゃんとハッピーエンドになっているのだから いいんだけれども・・・やっぱりねぇ。
あ、幕開きの村人の踊りはとてもキレイだった。
ご領主さまに見せる村娘たちの踊りと歌もきれいだった。 かなみちゃんがとーってもかわいかった。
この作品は道忠とやす以外は、ほとんど見せ場もなければ、 どうかすると出番さえない・・・・・・。 ただ、舞台上で正座しているだけ・・・というなんともツライ。
でも、幕開きの踊りと村娘の踊りが見たくて3回も見た・・・と 言っても過言ではないかもしれないかもしれない。
なんやかんや言って3回見た。 『おーい春風さん』はある意味ハマった。 毎回泣けた。
本公演ではなかなか下級生にセリフがない。 でも今回は本当にたくさんセリフがあったし、見せ場があった。 ともえちゃんこと珠洲春希ちゃんがとーってもおいしい役だったこともうれしかった。
みんなをなぐさめたり、励ましたり・・・最後にはお地蔵さまに お礼だ・・・と言って自分の笠をかぶせてあげる・・・というオイシイ役。 しっかり役をとらえて、演じていたからこそ、時折見せる涙にも 大きな意味があったように思えた。
もちろん、他の子どもたちもこんなにアツク芝居ができる人たちなんや。 ・・・って思ったら、もっともっと活躍の場を見たいと思った。
さーて、あと何組を見ようかなぁ・・・。 なーんて思っている・・・あー、植田の策略に乗ってしまったな。
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