| 2005年10月31日(月) |
ピッチングと目の関係 |
元日本ハムの投手、今関勝さんにお会いしてきました。
「今関?」と聞いても、いまの中学生はピンと来ないかもしれませんが、今関さんは神奈川出身の34歳。神奈川県立大楠高校〜ウィンベースボールクラブ〜NTT東京を経て、93年に日本ハムファイターズ入団。96年にはオールスターにも出場。2001年から03年にはアメリカ独立リーグでも投げていました。現在は子どもたちへの野球指導、講演会での講師など、多岐に渡る分野で活躍されています。
この日の取材テーマは、「ピッチングと目」でした。今関さんは今年春から、目に関する研究を共同で重ね、10月には「スポーツビジョン研究会」で研究結果の発表もしました。詳しくは、公式HPに書いてある通りです(NEWS&TOPICSをご覧ください)。 http://www.personne.co.jp/masaru/
「キャッチャーミットをよく見なさい」とピッチャーなら、一度は指導を受けたことがあると思います。しかし、両目でずっと見ていると、左肩の開きがはやくなり、並進運動と回転運動のタイミングがうまくいかなくなってしまうことが多いとのこと。それを直すためには、両目で見るのではなく、右投手の場合、軸足で立ってからリリースまでは左目、リリースあたりから右目に切り替えて、フィニッシュでは右横目で見る。 このような「目の切り替え」が、障害予防、スキルアップにも繋がる、と今関さんはおっしゃっていました。 詳しくは12月10日発売の『中学野球小僧』で掲載されます。お楽しみに!
上溝中に行ってきました。
以前から水野先生に「うちの練習は実戦中心」とお話は聞いていましたが、まさしくその通り。実戦、実戦、またまた実戦という感じで、ランナーをつけての1箇所バッティング、シートノックを繰り返し行っていました。 実戦が終わってからは、見るからに辛そうな体力トレーニングの連続。中距離走では、「顔だ、顔! 辛くなったときに、苦しそうな顔をするな!」という水野先生の声が印象的でした。
夏の全日本少年を見ていると(市大会や県大会でもそうでしたが)、上溝中の選手は苦しい場面でも、その苦しさを表情に出していませんでした。かといって、ニコニコ笑っているかというと、そうではない。つねに冷静な顔で、表情を崩さずに淡々と戦っていました。 何でそんな表情ができるのかと思っていましたが、今日の練習を見て、その理由が分かったような気がします。
いくつかの練習を見せていただいた中で、何気ないことですが、「へぇ〜」と感心させられたことがひとつ。 練習の終わりにあった素振りです。キャプテンが「移動ありな!」と声をかけた素振りでした。 どういうことかというと…、上溝中の部員は40名強。素振りでは1列4人×10列を作っていました。掛け声にあわせ、コースごとに(アウトロー、インハイなど、9コース)10スイングしたあと、1列目の選手はバットを持ったままダッシュで、最後尾(10列目)まで移動していました。 この距離が結構長い! 一塁のファウルラインから、レフトの定位置あたりまでです(どんな練習にも、ダッシュを入れているのが上溝中の特徴かもしれません)。 1列目の選手が10列目に移ったのにあわせて、2列目の選手は1列目に、3列目は2列目に、4列目は3列目に……と、1列ごと移動します。
「一体、移動する目的は何?」というと、水野先生曰く「足場をならすクセをつけるため」だそうです。 「人が振っていた足場に移動したときに、地面をならして、足場を作ること」 これ、中学生はなかなかできません。試合中も、前の打者の足場にすっぽりとはまって打ってしまう選手多し。また、学校のグラウンドでやるときは、バッターボックスがあまりいい状態ではないときもあります。そのときも、足場を固めずに、何気なく打つ体勢に入ってしまう選手もよく見られます。 そんなこともあり、練習のときからわざと場所を移動させて、「足場をならす」。 単純なことですが、勉強になりました。
練習を見に行くと、各校独自の練習方法があり、とても勉強になります。 最近、「へぇ〜」と思ったのが、バッティングマシンの早打ち。ティーの早打ちは聞いたことがありますが、マシンの早打ちは初耳でした。早打ちとは、連続で10球であれば10球、一気に投げて、打者は息つく間もなく打ち続けることです。
この練習をやっていたのが立花学園。「振り出しの力を養う」と押部監督はおっしゃっていました。 自分は全然知らなかったんですけど、二筒式のバッティングマシンがあるんですね。ひとつのマシンに、球の出る筒(?)が二箇所ついていて、1箇所からはストレート、もう1箇所からはカーブが出るマシンです。 早打ちで、このマシンを使うと効果倍増だそうです。早打ちの場合、バッターはすぐにトップの体勢を作らないと、10球も連続で打てません。ただ、「ストレートだけ」と分かっていると、タイミングを合わせるのは簡単。これが、「ストレート、カーブの両方」となると、タイミングの取り方も実戦的になってきます。
二筒式マシンがあれば、1台のマシンを使って、ストレート、カーブを投げ分けることができる、ということです。 この練習を見ながら思いましたが、ストレートとカーブを同時に発射させても面白いですよね。ストレートのタイミングで待って、カーブを打つ練習とかできそうな気がします。
生まれて初めて青森に行ってきました。電車で通りすぎたことはあるけれど、降り立ったのは初めて。さすがに、夜は寒かった!
八戸大の内藤雄太、青山浩二の取材です。 ふたりに聞いてびっくりしましたが、八戸大はとにかく食う! というか、半強制的に痩せている選手は食べさせられるそうです。 朝はどんぶりいっぱいのごはんを3杯、夜は4杯とのこと。内藤は「毎日気持ち悪かった。夏なんて、ヤバイですよ…」と言ってました。 その成果なのか、内藤は入学時よりも14キロアップ。青山も10キロほど、体重が増えたそうです。
まぁ、これだけ食べていれば、体重は増えますよね…。でも内藤は、「半年くらいは、全然体重が増えなくて、イヤになった」と。大学入学時が72キロだったそうで、元々太りやすい体質ではないとのこと。 ちなみに、自分も太らない体質だと思うのですが、1日にどんぶり7杯も食べれば、イヤでも体重は増えるような気がする…。増えたくないけど。
高校生を取材していると、「最近、ごはん食べるようになったんですよ」と話す選手が結構います。ただ、聞いてみると、「夜にどんぶり2杯にしました」とかそんな程度。八戸大の話を聞いてしまったので、「高校生なんだから、大学生以上に食べなさい!」と言いたい(笑)。
そういえば、『中学野球小僧7月号』に宮崎シニアの監督さんの記事が出ていました。びっくりしたんですけど、「食トレ」なる時期があるそうで、「吐くまで食べる」とのこと。そうすると、食べられる量が増えるとか。ホントデスカ…。食べるのが嫌いになりそうだ(笑)。
明日から東北福祉大〜八戸大と、2泊3日の旅に出てきます。宮城は何度か行っていますが、青森は初! 一歩ずつ全国制覇に近づいてきたかも。
関東大会の組み合わせが昨日、決まりました。 神奈川勢はやや厳しい組み合わせに入った感が。塩山、聞くところによると、なかなかのサイド右腕がいるとか。横浜は越前、下水流、福田らの右打者がアウトステップする癖があるので、外角にスライダーを集められると苦しい展開になる可能性があるかもしれません。 石井忠道監督率いる市船橋の戦いぶりにも注目!
<関東大会組み合わせ>
■1回戦 �(言鰻歛臧奸米別擅院烹�s東海大相模(神奈川2) ��東海大甲府(山梨1)vs前橋(群馬2) ��成田(千葉1)vs春日部共栄(埼玉2) �づ擶再�大(茨城1)vs前橋商(群馬3) �ケ栽続惘 丙覿味院烹�s常総学院(茨城2) �ΣI諭平斉狎遑院烹�s塩山(山梨2) �Э寝�工(栃木2)vs市船橋(千葉2)
■2回戦 �,両ー圍�s�△両ー� ��の勝者vs�い両ー� �イ両ー圍�s�Δ両ー� �Г両ー圍�s高崎商(群馬1)
| 2005年10月09日(日) |
神奈川大会準決勝(2) 横浜高校エース川角謙 |
秋季神奈川大会準決勝 第2試合 横浜高校 110101020|6 桐光学園 000200000|2
「今日はナイスピッチングでいいのかな?」 「はい、よかったと思います!」 桐光学園相手に9回2失点、14奪三振の完投勝ち。横浜のエース左腕・川角謙は自分のピッチングに手応えを掴んでいた。 「一番よかったのはストレートのコントロール。秋の大会はずっとダメだったんですけど、短期間で何とか修正できたと思います。これまで不安のほうが大きかったけど、今日の試合を迎える前に、監督から『フォームがよくなってきているから、自信を持って臨め』と言われて、不安が消えました」 この秋、9月17日に行われた横浜創学館との試合で川角を見たが、ストレートも変化球も制球がバラついており、夏に見せたピッチングとは程遠い印象を受けた。 しかし、この日の桐光学園戦は見違えるようなピッチングだった。 渡辺元智監督は、「今日はナイスピッチング。フォームを修正して、うまくいきました」と満足げな表情を浮かべていた。
互いに口にした「修正」とは――。 川角は「テイクバックが知らず知らずのうちに、大きくなりすぎていて、背中の後ろまで入り込むようになっていた」と言う。必然的に、ヒジが上がりづらくなり、球がシュート回転しやすくなる。制球のバラツキにもつながり、球のキレも落ちてしまう。秋はずっとそんな状態が続いていた。 「4回戦の市川崎戦が終わってから、フォーム作りをやり直しました」と川角。市川崎戦は先発するも、2回までに3点を失い、途中降板していた。明らかに本来の調子ではない。修正の必要があった。
「練習からテイクバックを小さくすることを意識して、左手を体に隠すようなフォームに変えていった」と川角はフォームの修正点を解説した。市川崎が終わってから、わずか2週間足らずで、新たなフォームを習得してしまうから大したものだ。
しかし、面白いもので、テイクバックが大きくなってしまった原因は、夏の練習にあるようだ。 渡辺監督は「腕の振りを速くさせて、ストレートに磨きをかけようとして、遠投をやらせていた。でも、それが原因でバックスイングが大きくなってしまった」。 遠投で腕の振りは早く強くなったが、逆にバックスイングが大きくなるという弊害も生まれたというわけだ。このあたり、難しい…。
今年の横浜は、川角だけでなく浦川、落司、西嶋ら、豊富な投手陣を揃えている。だが、本当に強いときの横浜は松坂、涌井など、絶対的なエースが必ずいる。そのエースをサポートする形で、二番手以降の投手が控えている。昨年の代を振り返れば、川角、桜田、西嶋といたが、では「絶対的なエースは誰?」と考えると、簡単には見つけ出せなかった。
では、今年はどうか。 これまでの使われ方、そして準決勝での結果を見る限り、文句なく川角だ。 その川角に「横浜のエースという自覚はある?」と聞くと、「自覚はあるんですけど、監督や小倉コーチには『まだ自覚が足りない!』と怒られています」と苦笑いを浮かべた。 それでも、渡辺監督は川角に対して、「目的意識の高い子」と評価。新チームの夏の練習も、「とにかく辛かった」(川角)というピッチャー練習を、しっかりとこなしたという。
横浜高校のピッチャー練習は、西武に入った涌井が「西武の練習より、横高のほうが絶対キツイですよ〜!」と変な自信を持って、言い切っていたほど、かなりキツイ(らしい)。 名物(1)は、タテに走らせるアメリカンノック。普通、アメリカンノックは、外野を右から左、左から右へ走らせるが、横浜の場合はタテ。ライトからホームベース方向へ走っていき、さらにホームベースのほうからライトへ、という具合にタテに動く。このほうがキツイ(らしい)。
名物(2)はペッパー。7メートルほどのラインを引き、そのライン上をケンケンやサイドステップ、ウサギ飛びなどをしながら、ボールを捕球する。ボールは基本的に小倉コーチが左右にゴロを打ち分けるのだが、これが絶妙にうまい。 涌井に、「ほかの高校もこのペッパーやってるらしいよ」と伝えると、「小倉コーチがやるペッパーとはきつさが絶対に違いますよ! 小倉コーチはほんとに嫌らしいところに打ってくるんです」とまたも変な自信を持っていた。
このペッパー。股関節を中心とした下半身が鍛えられるという。 横浜と同じやり方を採用して、エースのスピードが数キロアップした高校もある。
川角もアメリカンノックと平行して、夏場はペッパーをひたすらやったそうだ。 その成果はというと、「夏の大会ではストレートのMAXが138キロ。それがいまは142キロまで出ています」と胸を張って答えた。 ただ、「涌井さんと同じ練習量は全然こなせていません」という。涌井も、小倉コーチには「松坂の半分もやれていない」とずっと言われていた…。これから、まずは涌井がやっていた練習量をしっかりとこなせるようになることが、川角の課題かも。
川角に、理想のピッチャーを聞いてみた。 先輩の成瀬か畠山の名前が挙がるかなと思ったら、「プロ野球選手でもいいんですか?」とわざわざこちらに聞いてから、「和田投手(ソフトバンク)です」と一言。「ストレートが速くなくても、キレで勝負できる」ところが魅力だそうだ。川角も確かにスピードよりは、キレで勝負するタイプといえる。
この日の勝利で関東を決めた。川角の次なる目標は…。 「関東大会で優勝して、神宮大会で投げたいです」 質問にハキハキと気持ちよく答える、横浜のエース川角クンでした。
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1年春からレギュラーとして出場している高濱卓也がおかしい。完全に「弱点」とばれている内角に、相手校は徹底してストレートで攻めてくる。それを弾き返せずに、セカンドゴロばかりが目立つ。 では、外には対応できているかというと、こちらも甘い球をファウルにしたり、という状態。体のキレも感じられないし、疲れているのでは…。
準々決勝の試合後に聞いてみると、「自分、練習できていないんです」と意外な答え。 「足が疲労骨折寸前で、ここ1ヶ月くらい練習をしていない。試合だけやっているようなものです」 渡辺監督も「バッティングフォームを崩しているのもあるが、足の影響もある」と語った。
高濱は「自分はこんなもんじゃないです。でも、とにかくこの足が治らないと…」と複雑な表情。首脳陣の方針として、使いながら直していくということだ。 しかし、こんな状態でも三番サードのまま。チームの期待の現われが見て取れる。が、渡辺監督は「代える選手がいないだけ」とそっけない一言だった。
「関東大会までには良くなります」と高濱。 はやく直して、ガンガン練習して、「こんなもんじゃない」、本当の高濱の姿を見せてほしい。
| 2005年10月08日(土) |
神奈川大会準決勝(1) 東海大相模・田中大二郎決勝2ラン |
秋季神奈川大会準決勝 第1試合 桐蔭学園高 121200000|6 東海大相模 00100052/|8
4回を終え、1対6と5点のビハインド。しかし、東海大相模ベンチは、ひっくり返すチャンスを虎視眈々と狙っていた。 「4回が終わったあと、加賀美投手の球数が77球。これは多い。5回が終わる頃には、100球を超える。そのあとが勝負、と選手に声を掛けていました」 試合後の東海大相模・門馬敬治監督。タオルで気持ちよさそうに汗を拭いながら話した。 桐蔭学園の大黒柱・加賀美希昇。秋はブロック大会から、ほとんど一人で投げ抜いてきた。関東を決める大事な準決勝で、加賀美のあとを任せられる投手はいまの桐蔭学園には見当たらない。東海大相模ベンチには「加賀美の疲れを待って、一気に畳み掛ける!」という思いが強くなっていた。 門馬監督の言葉通り、東海大相模は7回裏にチャンスをつかんだ。 無死から9番の鈴木宏治がレフト線の二塁打で出塁すると、以下、1番小玉雄介から4番田中大二郎まで怒涛の4連打で4得点。さらに、2アウト一、三塁から8番に入っていた先発高山亮太がライト前にしぶとく落とし、ついに同点に追いついた。
序盤は、「桐蔭のコールドか?」と思えるほど、劣勢に回っていた東海大相模が、一気の攻めを見せた。 両チームは夏の準々決勝でも戦っているが、このときも東海大相模は3点ビハインドを7回裏に追いつき、さらには4点を勝ち越された直後の8回裏に、再び4点を奪い同点。延長13回にサヨナラ勝ちを収めるという脅威の粘りを見せていた。 この日も、夏の再現なるか。流れは、東海大相模に傾き始めていた。
「加賀美投手の球数を見て、絶対にチャンスは来ると思っていました。ただ、じっと待っていては何も来ない。どこかで動かなければ、ゲームは動かない。だから、ぼくはあの場面で動いたのです」 試合後、そう振り返った門馬監督。 あの場面とは、6回裏、1アウト一塁で6番長谷川隼也の場面だ。門馬監督はカウント1−1から、エンドランを仕掛けた。この試合、これまで盗塁もエンドランも掛けずにいた、門馬監督が6回裏にして初めて動いた。 長谷川は期待に応え、センター前ヒット。結果的に、後続は打ち取られ、無得点に終わったが、「ゲームを動かす」という門馬監督の意識が選手にも伝わっていたのではないだろうか。 門馬監督は7回裏、同点においついたあと、なおもノーアウト一塁で5番兵頭悟の場面でもエンドランを仕掛けた。結果はセカンドゴロで、状況は1アウト二塁へ。とにかく、「動かして、流れを自分たちに引き込む」という意図が感じ取れた。
迎えた8回裏。2アウトから3番田中広輔がライト前ヒットで出塁すると、打席には4番田中大二郎。ここまで3回裏に犠牲フライ、7回裏には同点となる2点タイムリーをはなっており、すでに3打点を挙げていた。
しかし、先週の準々決勝の4打席目まで、田中大二郎は不調に陥っていた。センバツ甲子園で2試合連続本塁打を放ったスラッガーも、夏の県大会からチャンスで凡打を繰り返し、秋も公式戦では結果が残せず。 門馬監督は「練習ではすごい打球を打っているが、試合になると、『おれが打ってやろう』という気持ちが強すぎて、打たなくていいボールまで打ってしまう」と分析していた。 しかし、準々決勝の相洋戦。5打席目に、保土ヶ谷球場のライト場外へ消える特大2ランを放ち、それまでのモヤモヤがやっと吹っ切れた。 試合後には、「やっと出ました…」と安堵の表情。「これで乗っていけたらいいです」と、久々に笑顔も見られた。このとき印象的だったのは、「試合で打つには技術ではなく、気持ちが大事だと分かりました」との一言。やっと出た一発に、気持ちはどう変わるか…、それが1週間前のことだった。
対加賀美。 初球、外へのスライダーが外れ、1ボール。2球目はストレートがインローにはずれ、カウント0−2。 同点で迎えた8回裏。ランナーを置いて、打席には4番。多くの観衆が、「ここでホームランが出れば…」と期待していた。 田中大二郎も、打席に入る前から「ここは一発決める」と意気込んでいた。 その姿が見られたのが、0−2からの3球目。外のストレートを強振するが、バットの上っ面に当たり打ち損じ。打球は高々とライト線へ上がり、ファウルかフェアか微妙な当たりとなった。しかし、田中大二郎は一塁へほとんど走らず、打球を見つめたまま。結果的にファウルとなったが、「怠慢」のようにも見えた。
その姿を見て、すかさず門馬監督はタイムを取り、そばにいた長谷川を伝令に送った。門馬監督の指示はこうだった。 「自分で決めようとするな。次にキャプテンの兵頭がいるから、キャプテンに繋げ」 走らない田中大二郎を見て、「ホームランしか狙っていない」と見えたのだ。 長谷川の言葉を聞きながら、田中大二郎は笑っていた。それはどんな意味を持つ笑みだったのか…。 「つなげって言われたんですけど、やっぱりあそこは一発狙いたかった」 言葉を聞きつつも、「一発」への意識は変わらなかった。
カウント1−2から、外を狙ったカーブかスライダー、どちらか分からないが、変化球が引っかかり、真ん中低目へと入ってきた。見逃せばボールだったかもしれない。しかし、ヒザをうまく使い、すくい上げ、ライトへ運んだ。一瞬、ライトオーバーかと思えた当たりはグングンと伸び、スタンドイン。一塁ベースを回り、右手を上げ、ガッツポーズ。東海大相模ベンチも、ガッツポーズを繰り返していた。
そして、ベンチの中で一番喜んでいたかもしれないのが門馬監督。ベース一周を終えた田中大二郎に対して、両手を大きく広げて待っていた。次の瞬間、何と抱き合ってしまった二人。びっくりした…。 「いやぁ、抱き合っちゃいましたね。本当に嬉しくてね」ってちょっと照れた表情の門馬監督。一方の田中大二郎も、「ちょっと戸惑ったんですけど、まぁ、流れで…」とこちらも照れていた。
この2ランが勝負を決め、東海大相模が2年連続の関東切符を手に入れた。
田中大二郎は、これで2試合連続本塁打。 「4番としての風格にずっとこだわってきました」 打席に入れば、何かやってくれる、という期待がいまはある。今日のホームランこそ、「ここで4番がホームランを打ってくれれば」という場面で見事に応えた。
これだけ打ちまくると、来年は「ドラフト候補」として新聞紙上を賑わす可能性大。「まだちょっと早いけど、プロ志望?」と聞くと、「はい、プロに行きたいです!」とはっきりとした言葉が返ってきた。いつもは小さな声でボソボソと話す田中だが、このときばかりは強い意志が込められていた。 「野球を始めたときからプロになりたいと思っていて、高校になって、近づいてきたかなという思いが強い」 神奈川の小田原出身。より高いレベルを求めて、中学で明徳義塾中へ野球留学。2年から4番に座り、3年夏には全中で日本一を成し遂げている。高校でふたたび、地元に戻ってきた。 「目指す選手は松井(ヤンキース)」 なぜ、と聞くと、「日本の4番という印象があるので」。 4番にこだわり、風格にこだわる田中大二郎の次なる舞台は関東大会となる。
慶應義塾に行ってきました。
先週の準々決勝で桐蔭学園に敗れてから、昨日までの3日間完全オフだったそうです。今日から練習再開。 「去年の秋からずっと練習と試合が続いて、その間にテストもあった。休む暇がなかったからね、休養をあげないと」 上田誠監督の意向でした。 この日の練習は、約1時間のミーティングからスタート。これからの練習予定などを、じっくりと話したようです。 「これから春まで6ヶ月。腰を落ち着けて、じっくり練習できる。嬉しいなぁ。楽しみだよ!」と上田監督はほんとに嬉しそうな顔で話していました。
新チームから2番ショートを務める渕上仁にも、話を聞いてきました。 彼、野球センスもすごいですが、頭もすごいんです。山口、高尾ら、推薦組がレギュラーを占める中で、渕上は一般入試組。「推薦があることを知らなかった」と渕上はとぼけたことを言っていましたが…。 いまは、部員100名を超す野球部の中でも常にトップ3圏内に入る頭脳だとか。ちなみに渕上は末っ子ですが、長男は現役の医師、次男は医学部の大学院生。渕上も「中学の頃までは医者になろうかな」と思っていたほど。
上田監督もコーチ陣も、「大学でも通用する」と口を揃えていました。 しかし、渕上は「まだ悩み中。法学部に入って、弁護士を目指してみたいし、経済学部で経済を勉強したい気持ちもある。弁護士を目指すとなると、かなりの勉強が必要なので、野球はできない。う〜ん…、悩みますね」。 甲子園を目指している高校球児の言葉とは思えませんでした…。尊敬。
| 2005年10月03日(月) |
『中学野球小僧11月号』10月8日発売! |
とんでもないハプニングがあったドラフトが本日終了。ぼくは14時過ぎに有楽町のビックカメラに駆け込み、店内でテレビを見ていました。 鈴木将光(遊学館)、荒川雄太(日大)、柴田亮輔(名電)、村中恭兵(東海大甲府)など、取材をした選手が無事に指名され、一安心。いまは21歳や22歳で解雇になってしまう厳しい世界だけど、悔いのないように頑張れ!
そんなこんなで、『中学野球小僧11月号』もドラフト特集! 辻内(大阪桐蔭)も平田(大阪桐蔭)も岡田(履正社)も、ハプニングに巻き込まれてしまった陽(福岡第一)も登場。彼らがプロになるまでの成長過程が書かれております。 もちろん、毎号恒例の中学野球テクニカルもあります。今回は全中の覇者・明徳義塾中、全日本の覇者・上溝中など、この夏の全国大会を沸かせたチームの指導者にも取材してきました。お楽しみに!
↓以下が詳細です。
<特集1>中学球児のためのドラフト大特集2005 プロになる選手はココが違う!
★ドラフト候補高校生編�� 甲子園を沸かせた投打のスーパースター 辻内崇伸&平田良介物語(大阪・大阪桐蔭高校)
★ドラフト候補高校生編�� 超高校級スラッガー「ナニワのゴジラ」 岡田貴弘(大阪・履正社高校)
★ドラフト候補高校生編�� 台湾産のスター候補「スーパー遊撃手」 陽仲壽(福岡・福岡第一高校)
★選手名鑑編 将来のプロ野球を背負って立つ14選手を完全分析! 『中学野球小僧』式 ドラフト有望選手名鑑<高校生編>
★プロチーム分析編 ドラフトで獲得するべき選手はどんなタイプ? 中学球児のためのプロ野球12球団分析 チームと選手の相性からドラフト会議を読む!
★プロ野球新人選手編 プロ入り1年目を過ごす甲子園のヒーロー 鵜久森淳志&ダルビッシュ有(北海道日本ハムファイターズ) 「中学時代の練習が頑張れた自分なら、今の練習だって頑張れる」
★突撃レポート編 プロ野球ファームチーム訪問記 「猛練習の広島」から羽ばたけ! きら星のごとく輝く未来のスター候補を直撃した
★データ編 プロ野球選手のすごさをデータで斬る! 1軍活躍の条件は「ストライク率」と「インサイドアウト」 単純だけど難しい、投打の究極ポイントがわかった データスタジアム株式会社
★観戦の達人編 今すぐ役立つスカウト的観戦ポイント プレーの奥に隠れたプロのすごさを見よう プロとアマチュアの差はどこだ!? 安倍昌彦(流しのブルペンキャッチャー)
★ドラフト制度&歴史編 これを読めばキミも「ドラフト博士」になれる! 早わかり! ドラフト制度&歴史年表 複雑なドラフト史を5期に分けて一発解説
★実戦編 プロ入りへのプロセスを公開! 実録証言付き スカウト訪問からプロ入団への道 「中学野球小僧式適応テスト」でキミが目指すべき道がわかる
★プロ野球スカウト編 現役スカウトが明かす投打のチェックポイント 投手も野手も「かっこいい選手」を目指そう 単純な練習を繰り返すことで道は開けていく! 大森剛(巨人軍スカウト)
★身体能力編 ドラフト候補選手のデータを拝見! 立花龍司の熱血解説「身体能力」の読み方 「数値だけを追い求めないことが大切」
★プロへの道・ポジション攻略編 スーパープレーヤーを目指せ! プロを目指すための全ポジション究極練習法 打撃と各ポジションの練習から野球が見えてくる
★プロへの道・高校野球準備講座編 蓬莱昭彦(東京・世田谷西シニア監督) 強い球児になるための「心構え」と「食」Q&A 高校野球に挑戦するためのメンタル&食事チェックリスト付き
<特集2>中学野球テクニカル【秋〜冬の集中練習法】
<投手編1>狭間善徳(高知・明徳義塾中学校監督) 全中制覇4度を誇る超名門校に潜入! 明徳義塾中式ピッチャートレーニング 軸足で立ってヒザで攻めていくフォームを作ろう
<投手編2>武内信治(神奈川・相模原市立内出中学校監督) 2年連続全中出場、3年連続関東大会出場校の戦術に学べ! 試合の主導権を握るための必殺けん制プレー<右投手編> この秋マスターしたい、右投手&内野手必読のテクニック
<捕手編>山口永介(三重・玉城町立玉城中学校) 高校野球へとつながるキャッチャー講座 キャッチャーは感性とヒザで勝負せよ! 骨盤矯正と「ねじこみキャッチング」でレベルアップ
<打撃編� 籠8怯斌澄焚�山・笠岡市立大島中学校監督) 今夏の全日本で話題となった豪打の秘密を解き明かす 「グリップ出し打法」ですくって飛ばせ! 小柄な選手でもキレイに運べる驚異のバッティング
<打撃編�◆籠釛嫉�高(奈良・ヤングパドレス監督) プロ野球新記録を樹立したガッツマン 元ロッテ南渕時高の熱血バッティング教室 バントなしで全国大会出場を果たしたチームの打撃術
<バント&走塁編>國屋成之(岡山・玉野市立宇野中学校監督) 全国の舞台を疾走するチームのテクニックを公開! 高く弾ませかき回す「宇野中バント」&走塁術 バッティング向上にもつながる理論と練習法
<守備編>永田勇(東京・足立区立第九中学校監督) 全国大会3位を支えた守備力に迫る! ゴロ捕球で身につける堅実な内野守備 捕球姿勢からスローイングまでがスムーズになるコツ
<チーム作り編>野田喜紀(滋賀・近江八幡市立八幡中学校監督) 「高校野球継続率」県内一を誇る中学野球部 班行動と野球ノートで自主性あるチームができた 選手がコーチ! 監督に頼らないチーム作りの秘策
<コンディショニング編>立花龍司(コンディショニング・ディレクター) 季節の変わり目はトレーニングの変わり目だ! ライバルに差をつける秋冬コンディショニング 中学3年生のための「高校野球準備プログラム」付き
<トレーニング編>川相昌弘(中日ドラゴンズ) 野球上達のための川相塾・第5回 体を動かすために時間と場所はいらない! 「トレーニングは工夫すればいくらでもできるよ!!」
<夏の全国大会編� 篆緻鄒〕此平斉狎遏α衞聾胸堽�上溝中学校監督) 全国制覇を果たした公立中学校に学べ! 草むしりからスタートしたリベンジ野球 しぶとく粘って15連勝でつかんだ中学野球の頂点
▼第22回全日本少年軟式野球大会レポート
<夏の全国大会編�◆箟邏響厩─糞楙襦ν�府町立しらかし台中学校監督) 「目標は全国制覇です」と口をそろえたチームの夏 どシロウト監督と“考える野球”の全中準優勝 「準優勝には『やればできる』という以外の何かがある」
▼第27回全国中学校軟式野球大会レポート
中学野球大会&イベントレポート ○第33回日本リトルシニア野球選手権大会 ○第36回日本少年野球選手権大会(ボーイズリーグ) ○第11回中学校軟式野球交歓会・静岡大会 ○第20回下町杯
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