A Thousand Blessings
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2006年05月26日(金) |
ベストアルバムはワーストアルバム? |
さまざまなジャンルのベストアルバムがすごく売れてるみたいで。 レコード会社の販売戦略として、オリジナル・アルバムをすでに持っている ファン層に向けてのベストアルバムという詐欺同然のものも結構ある。 ファンは馬鹿な信者だから買ってしまうだろう。 でも、そういうベストアルバムは音楽的な意味での編集意図が明確ではないから いやそんな言い方はお人よしかな、そもそも商売以外の意図が皆無なわけだから。 売ることを至上主義としたものはすべてクズ。
そもそもベストアルバムなるものは必要なのだろうか? もちろん金銭的にそれだけで済ます必要がある音楽ファンは存在するだろう。 特に中高生はね。 しかし、実際に現在のベストアルバムセールス状況を眺めてみると どうも、もっと年齢的には高い層の支持を集めているようで。 自分の足で探さなくても、レコード会社が料理して届けてくれる デリバリーサービスみたいなもんで、それは買うのはどう考えてみても 音楽が人生においてもっとも重要と考える人間とは別の人種だと思う。
存在する価値があるベストアルバムは 明確な編集意図があるものだけ。それだけ。 たとえば、アーチスト自身の選曲によるものとか。 (しかし、それすらも気をつけないとレコード会社の販売戦略の場合多し) あるいは、他のアーチストや音楽ライターが特別に選曲したもの、 (ここにはファンの人気投票ものは含まれない。そういう行為自体が無意味だから) アーチストではなく作曲家や作詞家の作品集やヒット曲集 (ただし、これはベストアルバムというのとはちと違うが) などには価値があるものも少なくないと思う。 以前も書いたが有名なボブ・ディラン・マニアの吉田拓郎が選曲した ディラン・ベスト。(LPで廃盤になってそれっきり) 羅針盤の山本精一選曲のザッパ集とか(これも最近見なくなった)。 東芝との確執で可能性はゼロだが、音楽評論家の萩原健太選曲の ブライアン・ウィルソン作品集とかも。いいと思うな。 つまり、分かっている人が選曲したものは価値がある。 僕が選曲した70年代の日本のフォーク&ロックのベストアルバムも 素晴らしいと自画自賛。友人のT氏が選曲したECMのベストアルバム10枚組 も賞賛ものである(どんなんだぁ?(爆))
僕は自分でベストアルバムを作り放題の環境にあるので 巷で話題のものなんてどーでもいいのだが それでも、過去「これは!」と唸ってしまったベストアルバムが数枚ある。 最後に紹介しておきましょ。(日本ものだけ)
「林立夫セレクション/ノン・ヴィンテージ」 超有名セッションドラマー林立夫が特に満足のいった自身の演奏を選曲。 こういう企画は日本では初めてだと思う。こういうのがドンドン出てくれば 日本もまだまだと思えるのだが・・・・。
「小沢健二/刹那」 オザケン選曲によるアルバム未収録曲(シングル盤)のベストアルバム。 それなのに、オリジナルアルバムとしても聴けちゃう音の一貫性に 驚かされる。持っていなくてはいけないアルバム。
「フィッシュマンズ/空中」 「フィッシュマンズ/宇宙」 未発表音源の多さ。特にこれほど音楽的に聴く価値のある デモ音源は珍しい。日本では稀有なベストアルバム。
「遠藤賢司/純音楽一代」 全キャリアを網羅したエンケン自身による選曲。原盤音源を最新リマスターで。
「GARO/アンソロジー1971〜1977」 それぞれのソロワークを9曲も収録したところが素晴らしい。
「青山陽一/Broken Words&Music」 未発表ライブ音源が10曲も!そのどれもが素晴らしい!
2006年05月25日(木) |
編集CD-R 【 アイ・ハド・ア・ドリーム 】 |
2度めの腱鞘炎注射をしてきた。前回は両肘の内側と外側の計4か所。 今回は両肘の内側と左手親指と人差し指の付け根の計4か所。 あいかわらず、痛い注射だ。薬が注入されていくときのあの独特な痛みは 何なんだろう。昔、やったコレラの予防注射に似ている。 しかし、持病となった腰痛もそうだが、見た目は元気なのに 体はなんかオンボロだなーー。鏡を見れば、顔に沁みがいくつも・・(汗) まちがいなく中年のそれになりつつある。てか、なってる。 10代の頃は、はやく歳をとりたかったのに 今は、10代の頃に戻りたがってる。勝手なもんだ。 職場の坂道をトットコ上っていく若い同僚達が羨ましい。 すーさん!ド〜ンと構えてろよ!という声が聞こえる。もうひとりのオレ。
杉村大蔵議員に文章を盗用されたYゼミのおっさんの文章もなんだかなぁ・・・ って感じ(笑) わずか数行をテレビで見ただけだが、もう大昔からギャグにされてた 「雪山で死のうとしたけど、あまりの寒さに風邪をひきそうなのでやめた」は、 それ自体オリジナリティがないというか・・・。 だいたい最近多いと思う。元・不良とか元・暴走族が更生して センコーになってるっていうやつ。 社会的に認知されるセンコーよりも、どんどん裏街道へとドロップアウト してローリングしていっちゃって、最後は薬か何かでのたれ死んじゃう方が、 生き方に迷いがなくて好きだな。 人様に迷惑をかけてきた人間は最後まで迷惑をかけつづける。 やがて膨大な迷惑料を人生に請求されるのってリアルじゃない? そもそも学校教育の歪みに大きな原因があったりするわけでしょ。知らんけど。 センコーがどんな人種かってことを誰よりもよく知っているくせに そのセンコーの椅子に座る。しかも、商売人として。 センコーとしての尊敬と商売人としての収入を同時に得る。 それって、ありなんすかね? ケーサツカンとギンコーカとセンコーが大嫌いな僕は、こんなふうに 考えてしまうのだ。しかし、Yゼミのセンコーを尊敬しているという杉村議員。 尊敬される側もその程度ってことの証明では?以上、勝手な推測。
・'゜☆。.:*:・'゜★゜
編集CD-R sumita’s selection 2006.5.24
【 アイ・ハド・ア・ドリーム 】
1 ラヴィン・スプーンフル/ロンリー(エイミーのテーマ) (1967) 2 ラヴィン・スプーンフル/サマー・イン・ザ・シティ(1966) 3 ラヴィン・スプーンフル/魔法を信じるかい?(1965) ジョン・セバスチャンの作曲能力全開。 レココレでの特集を記念して。
4 エゴ・ラッピン/天国と白いピエロ (2006) 5 エゴ・ラッピン/マスターdog (2006) 6 エゴ・ラッピン/inner bell (2006) この3曲をベストとしよう。しかし、よしえくん、ほんと上手い〜旨い〜。
7 ジェームズ・テイラー/ファイヤー・アンド・レイン(1969) 8 ジェームズ・テイラー/カントリー・ロード(1970) 9 ジェームズ・テイラー/君の友だち (1971) ギブソンJ-45の音色が堪能できる3曲。はっぴえんどに与えた影響は 計り知れない。君友はオリジナルのキャロル・キングよりも 最近はこちらの方がしんみりできて、好き。
10 ロバート・フリップ/ディスエンゲージ(1983リミックスヴァージョン) 11 ロバート・フリップ/シカゴ(1983リミックスヴァージョン) 12 ロバート・フリップ/NY3(1983リミックスヴァージョン) 以上3曲は、ヴォーカルのみ未発表初期ヴァージョンの ダリル・ホールに戻したもの。完全未発表。今回の目玉!
13 ロバート・フリップ/メアリー(1979オリジナルヴォーカル復刻ヴァージョン) 14 ロバート・フリップ/エクスポージャー (1979オリジナルヴォーカル復刻ヴァージョン) 以上2曲は、復活初期ヴァージョン。完全未発表。今回の目玉! ようするに以上の5曲に オリジナル盤収録の“ユー・バーン・ミー・アップ・アイム・シガレット”と “ノース・スター”を加えるとダリル・ホールとロバート・フリップのコラボが 完成する。素晴らしい!
15 ジョン・セバスチャン/マジカル・コネクション(1970) 16 ジョン・セバスチャン/アイ・ハド・ア・ドリーム(1970) なんというロマンチックな曲。 ブライアンやバカラックに影響を受けたのは間違いない。
17 アダチ宣伝社/カチューシャの唄 (2005) TIME盤のブッカー・リトルみたいなトランペット。 しかも赤いトランペット。見た目はプラスチックかブリキ。 街角でチンドン屋さんを見なくなってどれくらい経つだろう。
18 NOKKO/人魚 (1994) ■
今回はコンパクトにまとめてみました。人魚はほんと素敵だなぁ。
赤いペットが素敵なので、実物大で。アダチ宣伝社。
エゴ・ラッピンの新作「オン・ザ・ロックス」を購入。 今回は前作と違ってあくまでも歌中心。 手癖に頼らないメロディの強靭さは特筆すべきだ。 よしえくんは、どんどん上手くなっていくし、バックのアレンジは アイデアの宝庫状態だし、どこまでいっても独りよがりにならないところが エゴ・ラッピンの良さだと思う。クラムボンとの違いはその辺だったりする。 音響派でも何でもいいのだが、あからさまにサウンド志向になりすぎると 繊細さを求めるあまり、音楽は少し弱々しくなるように思えてならない。 「これだぁ!」「聴けぇ!」「どーん!」的な部分を常に持ちつづけていないと 音楽は失速していく。たとえば、メロディの作り方あたりに推進力のヒントが あるように感じるのだが。5曲目を聴いて、そんなことを。 それにしても、このアルバムは素敵だなぁ。ずっと聴きつづけるだろう。
いいジャケなので、実物大で。
給料が入ったら、ユーミンの新作とサンタナの紙ジャケ最新リマスタリングの 初期4枚と(レココレを読んで急に懐かしくなった)ジョン・セバスチャンの紙ジャケ 3枚を買わねば。
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昨日買って、昨日の夜外れた宝くじ・ナンバーズ3・・。 買ったナンバーが悲しいぞ。 415(よい娘) 514(来いよ!) 817(ハイな!) 464(よろし!) 674(むなし・・) 別にそうしたくてしたわけではなくて、全くの偶然。 無意識の行動の怖さを知った次第でして。
ロバート・フリップのソロアルバム「エクスポージャー」(完全版)が 遂にリリースされた。 これで、当時お蔵入りになっていた音源が全て日の目を見たことになる。
ポップ・フィールドで活躍する当時のダリル・ホールのイメージを レコード会社は壊したくなかったわけでね、 ロバート・フリップが惚れぬいたダリルの声の使用許可が たった2曲しか下りなかった。 仕方がないので、ダリルの代わりにピーター・ハミルとテリー・ローチェを起用。 今、こうしてダリルの未発表ヴァージョンを聴いてみると その差は歴然。ちょっと驚く。素晴らしいと思っていたピーター・ハミルも テリー・ローチェもエキセントリックな部分を強調しすぎてて 今の僕の耳には少しうるさく感じられるからだ。 それに対してダリルの声はアヴァンギャルドでありながらも歌ごころに溢れ 頭よりも心に響く。しかも、かなり上手い。喉を絞るのではなく 体をホーンのように響かせる技術は、ソウル・ミュージックを志向してきたことの 成果だろう。
他にも聴きどころが多い2枚組(ミックス違いの面白さ)だが ロバート・フリップが意外なほどロマンチストであることがわかって 楽しかった。惜しむらくは権利の関係でレコーディングできなかった ブロンディのデボラ・ハリー、音楽産業の権利という奴は 新しい音楽の芽を確実に摘んでいると思う。花が咲かないのは当たり前だ。
NOKKOの“人魚”■が特別なのは・・・ 筒美京平の90年代の最高傑作だからではなく、 NOKKOが歌っているという、その一点において「特別」なのである。
2分4秒、「あなた」の「た」。 2分17秒、「抱いて」。 3分13秒、「その胸が」の「が」。
偶然の産物であったとしても、これらの表現は やはりアーチスティックな意味において 高みに達した結果である、と言っていいと思う。
僕らは、そういう細かい部分にこだわって音楽を聴いていきたい。 つまり骨の髄までしゃぶってもらえることが 音楽にとっての幸福であり、またそういう音楽こそが聴かれる価値の あるものだと考える。
色気ではNOKKOを上回る安室 奈美恵ではあるが 今回のオリジナル完コピ・カバーバージョンを聴き終えたとき 残念ながら心に残るものは何もなかった。 「その胸が」の「が」に切実さは微塵もなく、あるのは濁った響きだけである。 安室 は大好きだが、これは明らかに冒涜だろう? avexの狙いも理解できない。頭が悪いのではないだろうか。 もうひとつ、耳も悪い。 オリジナルの価値を高めたことにのみ、意味がある。
2006年05月10日(水) |
編集CD-R 【 オール・シングス・マスト・パス 】 |
編集CD-R sumita's selection 2006.5.10
【 オール・シングス・マスト・パス 】
1 武満徹/TVドラマ「波の盆」より■ (1983) ※ 谷川俊太郎氏もつまらないドラマと批評する。僕も音楽以外ほとんど記憶に 残っていない。倉本聰脚本。音楽だけが群を抜いて優れている。
2 ジョニ・ミッチェル/コヨーテ (1976) ※ 僕のジョニ・ミッチェル体験のはじまりはこの曲。 ジョニのアコギとジャコパスのベース、そこに パーカッションが加わっただけのシンプルな演奏なのに オーケストラのように聴こえる。 理由のひとつは、ギターのオープンチューニング■。実際、ジョニの オープンチューニングは独特だ。
3 武満徹/映画「夏の妹」より■ タイトルテーマ〜素直子のテーマ〜桃子のテーマ〜素直子のテーマ (1972) ※ 1976年に始まった名作テレビドラマ「男たちの旅路」の音楽を担当した ミッキー・吉野は武満のこの曲から絶対にインスピレーションを得たはず。 音から見えてくる風景が同じだ。
4 キング・クリムゾン/21世紀の精神異常者 (1973アムステルダムLive) ※ 後期キング・クリムゾンのステージ写真を見て あまりのカッコよさに驚く。4人が横並び。 中央にジョン・ウェットンとビル・ブラフォード。 左端にデヴィッド・クロス。右端の暗闇に椅子に掛けたロバート・フリップ。 メンバーが変わるたびに演奏されつづけた“21世紀の精神異常者” もっともラディカルでロック的なのがこれだろう。
5 マトモス/ソロ・バトンズ・フォー・ジョー・ミーク (2006) ※ ジョー・ミークの奇形をさらに捻じ曲げ、もはや、臨界点に達した アヴァンギャルド・ポップとしか言いようのない音になっている。 マトモスのアルバム「ザ・ローズ・ハズ・ティース・イン・ザ・ マウス・オブ・ア・ビースト」は個人的には今年の10枚の候補。
6 CSN&Y/デジャ・ヴ (1970) ※ 主旋律がなく、複雑なコーラスワークで開始するナンバー。 あらゆる意味で当時のウエスト・コーストでは前衛すぎた音。 その前衛性の支柱になっているのは、デヴィッド・クロスビー。 なのに日本ではニール・ヤングの評価に遠く及ばない。嘆かわし。
7 武満徹/映画「食卓のない家」より■ (1986) ※ 旋律線のくっきりしたメロディを書く時の武満に強く惹かれる。 彼の趣味の部分を覗くような楽しみ。大好きな曲である。
8 キング・クリムゾン/スターレス (1974) ※ すでに、ほとんど崩壊していたクリムゾンの事実上のラストナンバー。 僕らにとってのメロトロン体験はこの曲から。 いや、待てよ。ムーディー・ブルースの“サテンの夜”が先か。 スターレスというタイトルは、あまりにもリアル。
9 ジョージ・ハリスン/イズント・イット・ア・ピティ (1970) 10 ジョージ・ハリスン/オール・シングス・マスト・パス (1970) ※ ジョージの最高傑作はこの2曲。リマスター盤はフィル・スペクター臭も 少なくなり、その分、音に力強さと弾力性が加わった。
11 ポール・マッカートニー/オール・シングス・マスト・パス (2003) ※ ジョージの追悼コンサートでのライブ。ポールはジョージと同じキーで 歌っている。そして、はじめて気づいたことなのだが、 非常にポールっぽいメロディだと思った。ポールに歌われるまで考えたことも なかったのに。
12 青山陽一/月曜のバラッド (2005) ※ パット・メセニーが参加したジョニ・ミッチェルの「音」を意識しているそうだ。
13 青山陽一/電波組曲 (2000) ※ こちらは、ローラ・ニーロを意識しているとのこと。2曲とも青山らしい作品。 彼のギタープレイにはいつも感心している。大好きなのだが、ちっとも売れない。 ま、それも彼らしいか。
マトモス■
僕には子供がいない。この欠落感が日々膨れ上がってきている。 仕事柄、毎日多くの子供たちに接する。 小学校入学以前の子供たちがみんな純真無垢でいい、とは決して思わないが(笑)。 それなりに小さな自我を持っていて、自己主張を貫くささやかなファイトを親や 兄弟に披露したりする。こわれものである一方で壊し屋でもある子供たち。 扱いづらくてイライラさせられることも少なくないが それでも無心に焼きそばを頬張っていたり、ラーメンのつゆをすすっていたり 幼い兄弟そろって坂道でコケたり、ふと空を見上げて眩しい青に目を細めたり。 遊びつかれて父親の背中で空を飛ぶ夢を見ている、そんな子供たちの 親に一度でいいからなってみたかったな。 帰りの電車の中で、僕は目を閉じて、今日出逢った子供たちの ことを思い出している。いつも、僕は子供たちの背中を見送っているだけだ。 守ってやりたいと思うが、それは僕の役割ではない。 役割がないというのは、さびしいことだ。
友人が携帯で撮った写真。 友人のブログより無断借用。すまんですたい。 たぶん、これは夜明けなのでは? 僕の携帯の待ち受け画面にしてる。
聴きたいCDが50枚くらいあって。 疲れからくる眠気のため聴くことができす、 CDは部屋に転がったまま。 今、すでに寝ていたのだが、目が覚めてトイレに。 そのついでに日記を書いてる。忘れられないために。 今の僕の心境は、携帯で撮ったこんな写真みたいなもん。タイトルは・・・
・・・東京暮色(小津安二郎作品より拝借)
響 一朗
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