皇帝の日記
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過激な表現が問題となって、当局から発禁処分を受けた「上海ベイビー」を読んだ。
作中の麻薬などが問題になった事になっているが、たぶんそれは違う。 問題は、上海を代表する優秀な大学の出身で、しかも良家のお嬢さんが、自由気ままに男を踏みつけにして生活している様が、検閲で働く男性諸君の脅威になったというところではないだろうか。 まあようするに、過激と言う程過激な事は、何もなかった。
それより、舞台となった世紀末の上海は、皇帝が過ごした上海の2年前。 出てくるお店やホテルの描写が、かなりなじみ深い。
例えば、政通路のバー「ハードロック」といえば、2、3回ビールを飲みに行った所だ。 そして、小説ではおしゃれどころになっているが、留学生の間では「ハードロックに飲みに行こう」というと、世界的チェーン店である「ハードロックカフェの」偽物という位置付けで、笑い話の一つになっていたものだ。
悪の巣窟のように描かれているマティーニのバーにもジャバ夫さんと行った事が有るが、そんな邪悪な酩酊感のある内装だったかどうか。 ただ普通に美味しいカクテル屋さんだった。 確かにお土地柄、外国人は沢山いたような気がするが、皆が異国情緒にあふれたちょい悪親父ではないので、実に健全なお店であった。
どちらかというと(現地人にとって)高級店に出入りする、若い地元民の方が、何かスネに傷持つ感じで、退廃的な雰囲気やデカダンスな様子だった気がする。 夜中に西洋風のお店に訪れる彼らは、確かにお洒落で、前衛的で、時代の最先端を行っちゃってるのよ、僕たちはもう、というオーラを、自分で積極的に出していた。
そんなわけで、世紀末の上海に郷愁を感じる人は、是非一読ください。 色んな発見があるかもしれない。
和平ホテルの女子トイレに抜け道が有るなんて、知らなかった。 ただバンドで一番綺麗なトイレに、只で入れるだけだと思っていたよ。
ロスに来てから、ずっと一時間ごとに起きていたせいか、イサムさん疲れてぐっすり眠っています。 どうしたことか。 昨晩は11時ー5時まで揺りかごで眠っていて、途中で心配になって何度も起きて、窒息してないか確認しに行ってしまった。 今も、朝9時から3時間も眠っていて心配。 いや、良いのか。 寝た子は起こしちゃいけないよね。 うん。
さて、兄夫婦から鯉のぼり(アパートなので、室内用)が届き、今度父が鎧兜を持ってきてくれるそうなので、これでイサムさんの初節句の準備は整った。 とはいえ、お節句は何をするイベントなのか。 皆でご飯を食べるのか。 それはいつもと同じだ。 なんか特別な事をしなければならないのかな。 とりあえず、お寿司の出前をとろうか。 でも痛風のジャバ夫さんはお寿司が食べれない。 ならばサラダか。 ますます特別感がない。 困ったもんだ。
ところで、すまっぷが逮捕された件をジャバ夫さんに言ったら、すごく興奮していた。 すまっぷも人間なんだな、と思って安心したとのこと。 「信じられる?24時間すまっぷでいるんだよ?ストレスだよねえ」 と言うので 「ブリトニーだって、24時間ブリトニーじゃん」 と返したら 「ブリトニーでいるより、すまっぷでいる方がストレスだ」 と強く主張。
ジャバ夫さんの中で有名比率は「すまっぷ>ブリトニースピアーズ」らしい。
そうだよねえ。 ブリトニーは音楽活動だけがメインだもんねえ・・・。 人々の生活の中に、何気なく入り込んでいるすまっぷ率を考えると、すまっぷの方がストレスだよね。
良いじゃんもう、裸になれば。
日本では豚インフルエンザという言葉が流行っているようだが、肝心のアメリカ大陸にあるカリフォルニアでは、一般にはまだ話題にもなっていない。 経済への打撃阻止を優先しているのかもしれない。 健康優先にしてください。
さて、おじいちゃんにイサムさんの近況を報告している「イサムさん写真」ブログですが、おじいちゃん本体がGWにやってくるので、しばらくまばら更新の予定です。
なんでことわっているかと言うと、おじいちゃん以外の人がけっこう見てくれていて、しかもこのページよりもファンが多いようなのだ。
アメリカンアイドルになれ、イサム。
というわけで、一家で戻ってきた初日に、背中痛いが再発。
3月の終わりに届くと言っていたソファーがまだ届いておらず、イサムさんを下に置いては持ち上げ、下に置いては持ち上げ、としているうちに、背中が! しかも、知らない家に来たもんだから、イサムさんは一時間おきにぐずるぐずる。
ジャバ夫さんに任せていた家は、想像よりだいぶましだったものの、やはり一通り掃除をしなければならず、イサムさんをあやす合間に掃除したり洗濯したりでてんてこまい。 掃除はまた明日、としたいところだが、イサムさんが埃を吸うと困るので、さっさと掃除機をかけなければ、という妙な焦り。 あと、哺乳瓶を洗うのだから、流しもさっさと磨かなければ。
妊婦と乳幼児の母親は、巣作り系の指令が脳から出ているそうで、巣が片付かないと全く落ち着けないのだ。 家中うろうろうろうろしてしまう。
ジャバ夫さんはハッカーに仕事を邪魔されたために、連日対策に追われているところ。
もう一人自分が居たら、家事と育児を同時にできるのに。 育児は家事のうちなのか。 やれやれ。
今日イサムさん、小児科で診てもらったら、ロスに戻る予定。 サンタバーバラは居心地が良いけれど、ジャバ夫さんの仕事はロスだし、やはりちゃんと自分の家族で生活をはじめないとね。
そんなわけで、義父母にイサムさんをあずかってもらえるうちに、昨日床屋に行ってきた。 前回結婚式の後にサンタバーバラの有名美容室でカットしてもらった時のことをおぼえているだろうか。 ぱっつりと市松人形にされてしまったことを。
もう市松人形にはさせねーよ?
オーダーは、くるくるパーマ。 それはもう、くるんくるんに巻いてもらおうじゃありませんか。 ついでに、美容室も変えて、大通りにあるお店にした。
行ってみたら、そのお店は日本直輸入のストレートパーマ液を売りにしていた。 なんと。 その店に入って行く、ストレートヘアの日本人が、「くるくるに巻いてください!」という皮肉。
そして、店のあちこちで飛び交う会話が「日本のストレートパーマしますか?」だ。 皇帝を担当してくれた美容師さんが、何回も「本当に巻くの?」と聞いてくる。
隣の柴は青いデスネー。
で、完成した私は、宝塚のオスカルのカツラを、黒くしたみたいな・・・(前髪も巻いてもらった)。 文句が有るならベルサイユへいらっしゃいよ、もう。
歯医者から請求書が届いた。 なんと1300ドル。
え。
何度も、ゼロの数が間違ってるんじゃないかと、数え直したが、間違いない。 え〜。
歯医者代が高いとは聞いていたが・・・。 日本に帰れるじゃん。
内訳は、歯垢除去で300ドル。 検診200ドル。 二本の歯が治療の対象となり、一本が400ドルで、合計800ドル。 でも、その二本の歯は、かなり前から同じような状況(黒いのがポチッとできている)で、日本の歯医者さんは「様子を見ましょう」と言っていた奴だ。
その上、インプラントのお勧めパンフレットが入っていた。 皇帝が一本だけ持っている、根っこのない歯に対して。 でも、その歯も、もう22年間根っこがないんですが・・・。 歯茎を一生懸命マッサージして、筋力で支えている歯。 22年間、手塩にかけて守ってきた歯。 あと10年間くらい、根っこなしでいこうと思っているのに。
インプラントのお値段は、なんと一本4000ドル。
ビジネスクラスで日本に帰ればいい。
子育てしていると、学校で習わない英語が続出する。
「いないないばー」は、「ピッカブー!」と、ピカチューの鳴き声みたいなテンションの高さである。 「鼻くそ(ブガー)」だの「ちっち(うぃーうぃーぴーぴー)」だのを連呼する毎日。
ところで幼児語ってその言語の中で特殊な位置に有るな、と思う。 だって、大人になったら誰も使わないのだ。 おぼえても役に立たない言語。 不思議だ。 子供に発音しやすいというだけで存在する言葉。
ちなみに皇帝は、兄がいたので幼児語をほとんど使わず、一足飛びにはじめから普通に話していた。 「ママ」とか言った事がない。 はじめから「お父さん」「お母さん」だった。
だからイサムさんに話しかける時も、日本語の幼児語が浮かばないので、普通に話している。 ある日思い立って、「おっきして、ぶーぶにのりましょうか〜?」と赤ちゃん用に言ったら、ジャバ夫さんが「その日本語知らない!」と、軽くパニックしていた。 お母さんとイサムの、秘密の言語と思われた。
さて、英語で「ベイビー」は「赤ちゃん」と訳されるが、実は必ずしも日本語の「赤ちゃん」とは一致しないことに気がついた。 「ベイビー」は、何もできない、横になっているだけの無力な存在。 つまり3ヶ月くらいまでの、本当に初期の赤ちゃんのみが「ベイビー」であり、その後首が据わってきて、座れるようになってくると「インファント」、つまり「幼児」となるのだ。
だから、日本人からするといつまでも(3歳くらいまで?)「赤ちゃん(ベイビー)」であるのに、アメリカ人にとっては、すぐに「ベイビー」は卒業。 見るからに赤ちゃんみたいな子に対して「いつまでも赤ちゃんじゃないんだから」という台詞が出てくるのだ。
義父が「イサムはもうすぐ赤ちゃんじゃなくなっちゃう」と言っていて、びっくりしたものだ。
日米おむつ対決は、意外にもアメリカの勝ち。
失礼にも、アメリカの紙製品をあまり信用していなかった皇帝は、日本メーカーの紙おむつを色々買って仕入れていたのだが。 意外や意外、アメリカの紙おむつの方が、様々な面で優れているのだ。
日本の紙おむつは、畳まれている時の成形の美しさの面では勝っている。 だが、装着時に体にフィットするとか、動きにフレキシブルであるとか、おしっこをどれだけ吸収できて、うん○をがっちりキャッチして逃さないだとか、そういうおむつに最も必要な能力は、断然アメリカ製なのだ。
しかも、サイズが細かい。 小さ過ぎて産まれたイサムさんにも、最も小さなサイズのおむつがちゃんとフィットし、その後も小刻みにサイズがアップして行く。 成長に合わせて、最も正しいサイズのおむつが使えるわけなのだ。
さて、義母は「業務用」が好き。 ミルクもおむつも、お尻拭きも、インターネット通販で業務用のを一箱、ごーんと買ってくる。 新生児用おむつと、一ヶ月用のおむつも、ごごごーんと届いた。 あっという間にイサムさんは大きくなって、使えないおむつがででーんと残ってしまった。
しかし、期せずしてアメリカの友達は今ベビーラッシュ。 あちこちに出産祝いと称して、どどーんとおむつを送っている。
究極の消えもの祝いじゃあないかしら・・・。
でも100%使ってもらえる。
写真を撮る時に、何をイサムさんに着せたら良いのか。
前にジャバ夫さんの買ってきた、ライオンさんの服で良いんじゃないでしょうか。 と思っていたが、ジャバ夫さんが 「日本の親戚に配るんでしょ?イサムジャパンデビューでしょ?」 と、妙に張り切っているので、義父母にイサムさんをあずけて、近所のベビー服屋さんへ。
3ヶ月までの服って、すぐに着られなくなっちゃうんだよ。 もったいないよ。 今でさえ、着替えきれないほど3ヶ月の服持ってるのに。
ぶつぶつ言いながら見てみると、圧倒的に女の子のベビー服の方がかわいい。 イチゴや、あらゆる動物のモチーフが一杯。 ピンク、フリル、パステルカラー、リボン、ギャザー。 ああ〜かわいい。
それに比べて、男の子の服は、バラエティーに欠ける。 使っている色が青、水色、緑、白、黄色、茶色と、実に地味。 モチーフも、乗り物、スポーツ用品、恐竜といった、デフォルメされてもかわいいんだかどうなんだかわからない、マニッシュな物ばかり。 動物モチーフは、男らしさとかわいさの拮抗で、かろうじてライオンさんか熊さんか犬。 うーん。 甲乙付けがたいかわいくなさ。
ジャバ夫さんが「これだ!これがかわいい!」と一枚選んで・・・
って、それ! こないだ買ったライオンさんですよ!!!!
危ない危ない。 同じ服を二枚買うところだったよ、お父さん。
さあさあ、結局どんな服を選んだのか、乞うご期待。
実は義母が好きだ。
というような事を言うと、なんとなくわざとらしかったりするかなーと思ってあまり話題にしていなかったのだが、彼女はとてもできた人なのだ。 なんだか色々できるので、ついつい異国のわけわからない嫁は色々お願いしてしまうのだが、全て嫌な顔一つせず、ばしばしこなしてくれる。
歯医者の予約から、ベビーグッズの買いそろえ、電子機器の接続まで。 保険の選択の時も、ファイナンシャルプランナーばりの詳しさで指導してくれた。 イサムさんを出産したとき、病院で髪ゴムを落としてしまったのだが、しばらく髪の毛じゃまだなーと思って過ごしていたら、ある日そっと洗面台に新しい髪ゴムが置いてあったりもした。 (しかしそれが、そっと業務用の大パッケージでびっくりした) 細かい事に気がつく割に、けっこう大雑把で、やることが一々豪快なのも面白い。
イサムさんのベビーシッターももちろんしてくれるが、育児の仕方で、あーしろとかこーしろとか言わない。 きっと、息子と嫁が間違った事をしていて、何か言いたい気持ち一杯な事も有るだろうが、聞かれなければ絶対に口出ししないのだ。 立派だなあ、と思う。
イサムさんが結婚すれば、立場が変わって私が誰かの姑になる日が来るのだが、とても今姑がしてくれているような手厚い世話を、嫁にできるとは思えない。 能力面からも、精神面からも、まだまだ自分には不足している部分が沢山あるのだ。 親切だと思って色々口出しして、「お義母さん、うるさいわー」と思われる自信が有る。
そんなある日のために、今から精進しておこうと思う。
と、いうような事を、イサムさんは「お母さん、うるさいなー」と思うのだろうが。
皇帝

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