皇帝の日記
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イサムさんは繊細ではない。
粉ミルクのメーカーが変わっても、全然気にしないで飲むし。 哺乳瓶が変わっても全く平気だし。 素材がゴムでもシリコンでも問題ない。 おしめが濡れて泣いた事もない。 いくら濡れても大丈夫だ。 育てやすい。
と思っていたら、近所の奥さんが「うちの子は神経質で、毛布が変わっただけでお昼寝しないの」ときた。
イサムさんなんか、家事の合間に床に置いておいても眠ってしまうのに。
しかし、ここで注目したいのは、この奥さん、別に困った風ではない。 むしろ、ちょっと自慢げなのだ。 「うちの子は違いがわかるのよ」うふふん、という言葉が、隠されている(ような気がする)。 そう、イサムさんはおおらかであると思っていたが、もしかしたら、単に違いがわからないのではないか。
イサムさんのお父さんであるジャバ夫さんも、違いのわからない男だ。 掃除する前の部屋と、掃除した後の部屋の違いがわからない。 レタスとキャベツと白菜の違いがわからない。 自分の服の中に、弟の服が混ざっていても気がつかない。(そして弟も気がつかないので、泊まりに来ると、自分の服を置いて、ジャバ夫さんの服を持って帰ってしまう) 妻が50ドルの服を着ていても、5ドルの服を着ていても、同じに見える。 リアリティードラマ「ヒルズ」の登場人物は、全員同一人物に見えている。(男女だけ別なので、彼にとっては永久に「男A」と「女A」のグダグダ話なのである) お酒の味の違いはわかるけど、まずくても飲める。
こういう人と結婚すると、どうなるかと言うと。 楽だ。
イサムさんもこのまま違いのわからない男か、わかっても気にしない男になってくれ。
ところで、最近飲む力が強くなったイサムさん。 哺乳瓶の飲み口をつぶしてしまうので、なんか良い商品ないかな〜とネットで探していたら 「哺乳瓶の乳首が変わると、賢い赤ちゃんは嫌がります」てな事が書いてあった。
・・・賢くないんか・・・イサム・・・。
そうそう、今週末は休日出勤なジャバ夫さん。 土曜日の夜12時になっても戻らないので、寝る前に電話したら、 「11時頃には会社出たんだけどね、ハリウッドで渋滞に捕まっちゃってさー」 って、いかに道路事情の悪いロスでも、土曜の深夜に渋滞って。 「マイケルジャクソンのファンが、ハリウッドの床に埋めてある☆の所に集まって来てて、上も下も渋滞」 なんと。 しかも、周辺のレストランなどは、地方から出て来たファンで、朝から満員状態だそうな。
次々に伝説を作り上げるあなたらしい。
マイケルフォーエバー。
そんなわけでコアリズム。
日本で販売しているのと同じかどうかわからないが、すっかりダイエットへの情熱の失せた皇帝へてこ入れのため、ジャバ夫さんが買ってくれたのだ。
ダイエットへの情熱が薄れた理由とは。 1)二人目が出来たら、どうせまた太る。 2)別に女優じゃないし、産後一年くらいだらだら太っていても、誰も気にしない。 3)一年くらいだらだら太っていたら、第二子ができるかもしれない。 4)じゃあまあいいや、だらだらしたら。
それでもダイエットをしなければならないモチベーションとは。 1)産前の服が入らない。
そう、服が入らないと言う理由だけで、頑張ろうというのだ。 無理だ。 ワンピースを着てれば良いや。
で、だらだらしていたら、ジャバ夫さんが「リハーサルディナーの時のドレスを着て、ディナーに行こう!」と言うので、「入りません」と正直に言った。 結婚式の時は、ベスト体重から更に3、4キロ減だったので、今の体型からすると6、7キロも痩せていたのだ。
凄まじい体型のアメリカ人に囲まれていたため、ジャバ夫さんは、妻が増量した事に気がついていなかったのだ。 どうりで最近、同じ服ばかり着ていると思った・・・。 と、愕然としたようなのだ。
こんなに健康的になったのに、気がついていないとは、その方が驚きだ。 むちむち。
で、このコアリズム。 どうやら、全てのプログラムを完了する頃には、ラテンのダンスが見事に踊れるようになっているのだと言う。 ルンバやサンバやサルサなど、基本動作が出来るようになっちゃうと言うから、すごい。 お得だ。
でも痩せたラティーノを見た事が無い。
そんなわけで、昨日はジャバ夫さんが、「今日一日イサムの面倒は俺が見る」と宣言したので、就寝前までお任せしておいた。 金曜日は、日本の入籍記念日なので(ジャバ夫さんに戸籍は無いが)、プレゼントに赤ちゃんフリーな一日をくれたのであった。 別に何するわけでもないが、マッサージに行って、アパートの庭にあるジャグジーに入って、最近通販で買ったコアリズムを試したりして、リラックスな一日だった。
夜寝かしつけるのに、多少テクニックがいるので、そこだけお手伝いした。 赤ちゃんが夜寝るためには、気持ちを落ち着けなければならない。 赤ちゃんは興奮していると眠れないのだ、当然ながら。 そして、赤ちゃんは自分の感情をコントロールできないので、大人が手伝ってあげなければならない。 ちょっと部屋を暗くしたり、黙って揺すってあげたり。
だが、ジャバ夫さんは、イサムさんを遊ばせていた。 ぷーぷー鳴るおもちゃや、バウンサーなどであやしているのだ。 イサムさんは、お父さんに遊んでもらって大興奮。 これでは眠れない。 眠いのに眠れないので、イサムさんは段々不機嫌に。
ついに夜10時頃、ジャバ夫さんギブアップ。 「寝てくれないよ〜」とイサムさんを返品して来たので、お母さんのスペシャルテクニック、「おでこを生え際から眉毛に向かってナデナデ」の術で、5分で撃沈。 これはお母さんのお母さん直伝の技でござるよ、ニンニン。
昨日は寝るところだけしかイサムさんの世話をしていなかったのだが。 今朝起きて、ジャバ夫さんが仕事に出かけてから、イサムさんをチェックしたら。
後頭部に毛玉が出来てますけど・・・?
お父さんと、何をして遊んでいたの、君は。
全然伸びない毛を、一束毛玉と一緒に刈りました。 断腸の思いだ。
ところで、産後太り対策にコアリズム。 本当に効くんだろうか。 乞うご期待。 ちなみに、産後4ヶ月で、ベスト体重+3キロまで来てますよ〜。
妊娠中痛かった背中の筋肉だが。
お腹が引っ込むにしたがって、段々痛くなくなって来た。 はー。 やっぱり皮が突っ張っていたのね・・・。 とほっとしたのもつかの間。
今や成長曲線を上回る勢いで成長しているイサムさんだが、まだ首が据わっていないので、持ち上げる時に、全身を支えてあげなければならない。 で、持ち上げては降ろし、持ち上げては、と繰り返していたら、あっという間に肩と背中が痛くなって来た。 たまに、イサムさんが抱っこを要求しているのに、力つきて持ち上げられないときがある。 これではいかん。
ジャバ夫さんの平日の休みを狙って、近所のマッサージ屋さんに行って来た。 90分の背中フルコースマッサージ。 特に、右肩は触ってわかるくらいにガキガキだったので、集中的にもんでもらう。 はー。
少しだけ体が軽くなった。 ほんで、家に帰ったら、大声で泣くイサムさんと、途方に暮れているジャバ夫さんがいた。
イサムさん、知恵がついて、お母さんがいないと泣くようになりました。 余計な知恵を・・・。
以前ちらっとクーポンについて書いたが。
アメリカの安売りスーパーでは、必ずと言っていい程、色んなクーポンが色んなところにくっついてくる。 レシートの裏に直接プリントしてあるのが代表的だが、雑誌とかの広告にもバーコード付きの値引きクーポンがついていたりして、マメにちょきちょき切り抜いて、財布の中に入れておくと、いざその商品を買う時に、ぱっとレジで取り出せる。
クーポンと言っても、日本のけちけちした値引きとは、ひと味違う。 5ドル10ドルがばっと値引くのだ。
しかも、日本のクーポンに多い「ただし」がほとんど無い。 一回の会計にクーポンを何枚も組み合わせて使えたり、そもそもスーパーですでに値引きしている商品から、更に引いたりできる。
それは単に、ぼーっと働いている労働者はイレギュラーな事が出来ないので、商品と一緒にバーコードをピッとするだけで良いクーポンじゃないと、レジがつまるからかもしれない。
クーポンなんてケチ臭い、と思わず、これがやってみるとはまるのだ。
アメリカに住み始めた頃は、小さな英語でごちゃごちゃ書いてあるのが、意味を理解するのがメンドクサイので、多くのクーポンを只の紙切れだと思って見過ごして来た。 だが近頃心を入れ替えて、ハサミ片手に生きる事を心がけた結果、先月300ドル近く節約できた。 でかい。
デパートのクーポンとか、時々「100ドル以上買うと25%オフ」「更に200ドルで30%オフ」「ついでにこの25ドル券プレゼント」とかいう、投げた感じの物がDMの封筒とかにくっついてくるので、とっておいて、家具とか大物を買うときまで冷蔵庫に貼っておくのだ。 今使わなくても、いずれ使うかもしれない。
だから、クーポンを始めると、ごちゃごちゃしてくる。 自分が何のクーポンを持っているか、把握しながら生きて行かねばならない。
たかがクーポン、されどクーポン。 奥が深い。
昨日はイサムさんがぐずぐずしていたので、車を出す事にした。 イサムさんは、車に乗せると、揺れが気持ちよくてぱたっと眠ってしまうのだ。
さて、でも無駄に車を走らせるのもなんなので、何か目的が欲しい。 近頃日本の若者の間で、ロス発信のkitsonなるセレクトショップが流行らしい。 と、ジャバ夫さんに言ったら、「それならビバリーヒルズで見た事がある気がする」とのこと。 ふーむ。 ビバリーヒルズに行くには、ハイウエイ405を通る必要がある。
しかし皇帝、テキサス時代からずっとハイウエイを運転した事が無い。 合流するところが怖いし、出て行くところも怖い。 あと、別の路線と混じるところも怖い。 ビバリーヒルズだと、途中ハイウエイ10と交差する点がある筈。 いーやーだー。
・・・いやしかし、このままアメリカに住むのならば、ハイウエイを利用しなければならないだろう。 子供が熱を出したりして、すぐに病院に行かなければならない事になったら、ハイウエイだ。 ジャバ夫さんがいない時に、サンタバーバラの義父母になんかあったら、ハイウエイに乗らなければならない。 うーん。
じゃあ行くかあ。 と、意を決して飛び出して行った。 が、チキンなので、結局行きはハイウエイに乗らずに、だらだら地上を走って行った。 良い感じの揺れで、イサムさん撃沈。 苦手な立体駐車場に入って、カートに乗せたら、イサムさんの目が、突然「ぱちーん!」と音がしそうな勢いで開いてしまった。 ああ〜もっと寝ていて〜。
しかし、アイドルイサムさんはお外にいる間は、とても良い子なのだ。 うんともすんとも言わず、ベビーカートを誰かが覗き込むと、絶妙なタイミングでにっこり笑って、ファンの心を鷲掴み(いつからファンに・・・)。 結局kitsonはロデオドライブからは撤退していたので、行かなかったが、30分程周辺の高級ブティックをうろちょろし、暇そうな店員さんの話し相手をして、イサムさんがパパラッチに見つかる前に帰る事にした。
帰りはどきどきのハイウエイ。 かなり緊張していたが、丁度時間がラッシュに差し掛かっていたので、交通量は多かったがスピードが遅く、危なげなく通る事が出来た。 懸案のハイウエイ交差は、カーナビのおかげさまで難無くクリア。 日本では考えられない程でこぼこの道のおかげで、イサムさんも再び撃沈。
家に戻って時計を見たら、出かけてから2時間しか経過していなかった。 しかし自分的には大冒険。 頑張った。
イサムさんは、ロデオドライブにもファンを作って来た。
朝10時くらいになると、いつもイサムさんがお昼寝を始めるので、その頃にシャワーを浴びるようにしている。
ところが今日は、昨晩渋滞のハイウエイを夜中に走って帰って来たので、眠くて眠くて、一緒に眠ってしまった。 ふがっと起きたら、11時。 イサムさんはまだ眠っていた。 ほんなら、と、シャワーを浴びて、お水を止めたら、それまで水音で聞こえなかった泣き声が「ふんぎゃー!!」と聞こえて来た。
あー起きちゃったんだー。 と思いながら、急いで浴室から出て来たら、未だかつて無い程の大声で、泣きまくるイサムさんを発見。 「ふんぎゃー!ふんぎゃー!ふんぎゃー!」 と、まるで漫画みたいな泣き方。
自分の「ふんぎゃー!!」のあまりの音量にびっくりして、更に「ふんぎゃー!!」と泣いている状態。 あーお母さんが悪かったよー。 と、抱っこしてあやしても、もう興奮しすぎて、自分でもどうやって泣き止んだら良いかわからない。 むせたりしながら、しばらく何をするにも抱っこしたままでいたら、そのうちようやく泣き止んだ。
泣き止むと、呆然としているイサムさん。 あーぼくは何がそんなに悲しかったんだっけ?
泣き止んだので、クッションの上に置いて、コーヒーを作りに台所に行ったら、また「ふんぎゃー!!」再開。 そうだった!お母さんが僕を置いて行っちゃうから泣いてたんだ!! 置いてかないでー!!
というわけで、今日はもう抱っこしっぱなし。 あー。
でも、皇帝はシャワー15分か20分くらいしかかかってないんだけど・・・。
旅行に行っている義父母の家の、様子を見に行ってきた。 ロッキーがお留守番している。
家の前の海に、サーファーが沢山来ていた。 どうやら附近のビーチがサーフィンのメッカらしく、波を追いかけて来たサーファーが、家の前まで流れて来たらしい。 海には所有権がないので、知らない人たちが庭先で泳ぐ事になるのだ。
ポーチに座って、イサムさんにミルクをあげながら、サーフィンを見学した。 人が集まると、海鳥やアシカといった生き物達は逃げてしまうようだった。
イサムさんが大きくなったら、サーファー相手に、庭先でレモネードを売らせたら、もうかるのではないだろうか。 いや、サーファーの冷えた体には、ホットコーヒーの方がありがたいかもしれない。 むしろ、ラーメン屋の方が良いか。 おでんだ。
とか考えていた。 家の換気をしただけで、特に何もしなかった週末。
ボディーボードでも習うか。
寝ぼけながら納豆を混ぜていたら、トースターの上にこぼしてしまい、朝から絶望した。
さて、男達はうるさい。
特に男親と息子達は、仲が良かろうと悪かろうと、何かと無意識に張り合うので、一緒にいるとうるさい。 我が家だけの事かと思っていたが、どうやら夫家でも同じで、義父とジャバ夫さん、義父と義弟、ジャバ夫さんと義弟、どの組み合わせでも、一緒になると何かとうるさい。
息子「お父さん、その話もう聞いたよー」 父「じゃあもう一度聞け!」 息子「何回同じ話するんだよーもー」 父「お前に話してるんじゃない!」 とまあどこのご家庭でも、似たような現象が見られると思うのだが。
しかも、無意識にその場にいる女性陣にジャッジを求めるところがある。 義母であったり義妹であったり皇帝であったり。 息子「皇帝もその話聞いたよねえ?」 嫁「あーまーそーかねー?」(なんとなくお茶を濁す) 父「ほら聞いてない。この話はこれから面白くなるんだぞー」 息子「こないだ話してたよねえ?母さん」 母「ふーん?」(やり取り自体に興味がない)
こんなシーン、一度や二度ではない。 しょっちゅう同じ事をしているのだ。 あーアホくさ。 いやいや、本人達はいたってまじめなのだが。
ジャバ夫さん、しみじみと 「俺のお父さんは、なんであんなに自己主張が激しいんだろう?」 と首を傾げていた。
そもそも、義父はアメリカ人であり、スコットランド系であり、南部出身の男性であり、弁護士で政治家。 もう、世界中のうるさい要素を片っ端から集めて、濃縮して、還元しないまま粉を固めて錠剤にしたような人なのだ。 それにしては、穏健派だと思いますけど。 政党も鳩派だ。
と、意見を述べると、ジャバ夫さん納得。 「そうかー。お父さんはじゃあいい人なんだ」 うん、あれで、けっこう色々譲っていると思いますよ。
でも、両雄並び立たず(?)、顔を合わせると、やっぱり言いあう二人なのであった。 不思議ですね、男達。
イサムさんが産まれた時、母親フェロモンの影響か、「こんなにかわいい生き物はいない!」というくらい、イサムさんがかわいく見えた。
で、先日生まれたてのイサムさんの写真が必要になり、パソコンでぽちぽち見てみたらば。
・・・虫みたい・・・。
手足が痩せてて、顔もなんだか細いし、まぶたが重そう。 動き方もカクカクしていて虫っぽい。
何故あんなにかわいく思ったのだろうか。 それが赤ちゃんの罠か。
そして、今のイサムさんがどう見えるかと言うと、やっぱり「こんなかわいい生き物はいない!」なのだ。 虫みたいだったのに、こんなにかわいくなって。 良かった。
もう少しして、今の写真をみたら、また違って見えるのだろうか。 冷静な自分はもうどこにもいない。
ところで、皆様お気づきかもしれないが、イサムさんちっとも髪の毛が生えてこない。 いつごろ伸びてくるんだろうねー。 まるこめ。
皇帝

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