せきねしんいちの観劇&稽古日記
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小松川高校の演劇部の冬公演だったのだけれど、家で片付けなくてはいけないことが急にできてしまって、失礼する。去年の文化祭も地区大会も行けなかったので、今日こそはと思っていたのだけれど……。 夜、たまりにたまった洗濯ものをしかたなく片付ける。夜干しはどうかと思いながら、部屋干しは一気に部屋が寒くなるので、外に出す。雨は降らないだろうし、明日一日で乾けばいいやといういいかげんさ。 今日も猫と一緒に入浴。風呂上がりのバスマットに汚れた足跡がついたので、抱き上げて前足と後ろ足だけを洗面器に張った湯につけて洗う。足湯。気持ちいいだろうにと思うが、猫は一気に機嫌が悪くなり、いらいらと爪研ぎをはじめた。
目が覚めたら、外が明るい。窓を開けたら、外は雪景色。雪がしんしんと降っている。やられた……というかんじ。 今日は、富士見ヶ丘小学校に、富士見ギャラリーの展示を見に行く予定。 富士見ギャラリーというのは、3年に一度の学内展覧会で、図工や書き初めの作品が校内に展示される。 バスも電車もやっぱりというかんじで遅れまくり、予定よりすっかり遅くなって富士見ヶ丘に着く。駅からの道はほんとに真っ白だ。風も強く吹いていて、カサをさしても雪まみれになる。 富士見ギャラリーの展示は、終了時間ぎりぎりということで、保護者の方々が何組かいるだけの静かな会場。教室に飾られた作品を、ゆっくり観させてもらう。 これまでも図工室の前で見ていた作品が一同に集められているようすは、壮観だった。 6年生のつくったランプ、スニーカーやランドセルの絵にコメントを寄せたもの、白い街の風景。オーディションのときに、フルネームをずいぶん見たので、作品ひとつひとつに子ども達の顔が浮かんでくるようになった。廊下に並べられた木馬もその人らしさがかんじられる。いや、この木馬から感じられるものが、その人らしさとして、彼らの印象に加わっていく。 5年生の守護神シーサーのユニークさ。粘土でつくったシーサーに、背景が添えられ、シーサーの言葉が書かれている。ただ、単体としてでなく、こうした構成までされているのが、ほんとうにおもしろい。 4年生の「ともだちキラリ」は、友達を描いた肖像画。ただし、背景は英字新聞だ。ただ白い画面に描かれているのではない奥行きが感じられる。また、そこにいる友達の表情の豊かさにも感動する。 3年生の「カーニバルへようこそ」は、人形だ。紙粘土でつくった顔に長い胴体。そこに思いつく限りのさまざまな衣装が着せられている。そして、それぞれのタイトル。 2年生の「おいしいよ、おべんとう」は、さまざまな素材を使って作られたお弁当。レストランのサンプルとは違う、素朴さと「これが好き」という気持ちが伝わる。プリン系のデザートが3つに2つは添えられていて、「プリン好きなのね」とほほえましい。 1年生の「おしゃれなとり」は、去年の6年生がつくって、卒業公演の舞台を飾った飛び立つ鳥のカラー版。この間の授業のときも昇降口に飾ってあった。一つ一つの鳥の目が、とっても表情豊かだ。6年生の木馬もそうだけど、目って、ほんとに多くのことを語るんだなあとおもしろい。 その後、吉祥寺に出て、買い物をして、コーヒーショップで一息ついて、外に出たら、雪は止んでいた。なんだか、一番大変な時間に外を歩いていたようだ。その分、雪を堪能した気分。 下北沢へ移動して、燐光群の「スタッフ・ハプンズ」を見る。途中の井の頭線で川崎桜さんに声を掛けられて、話し込む。去年出演していたボタタナエラーのことなどなど。 「スタッフ・ハプンズ」@ザ・スズナリ。デヴィッド・ヘアー作。 911以降、イラク開戦までの、ブッシュ、バウエル、ブレアといった実在の人物達が繰り広げる政治劇。 つい最近起こった、よく知っている政治的事件が、舞台の上で繰り広げられていることへの、微妙な不思議なかんじをまず楽しんだ。 戦争は絶対に反対だという立場のパウエルの苦悩が、物語をどんどんひっぱっていく。 見ていて、まるでラシーヌの悲劇を見ているようだと思った。まるで「ブリタニキュス」。ラシーヌの世界の人物は政治の話をしていても、大元にあるのは、権力への欲望だったり、情念だったりする。現代の政治家たちも、彼らをつき動かしているのは、ほぼ同じもののように見えてくるのが、恐ろしかった。そこには、民衆はいないから。 最後に登場したイラクにもう何年も帰っていないという人物の言葉が重かった。「自分の国のことを自分たちでなんとかしないと、こういうことになるんだ」。 民衆がいないままの政治家達のやりとりの最後につきつけられるこの言葉。 終演後、坂手さん、工藤さんにご挨拶。青井さん、篠原さん、谷さんと中華屋さんで軽く食事。 帰りの電車の中で、出演していた中山マリさんとばったり会って、芝居の話をいろいろ聞き、感想をあれこれ話させてもらう。
今日も一日、仕事。たまりにたまっていたつけで、今日は終電までばたばたとかたづけることに。 夜から雪という天気予報は微妙に外れて、夜中になっても曇り空のまま。 山手線がやっぱりというかんじで遅れて、帰れなくなったらどうしようという不安を抱えたまま、とりあえず電車を乗り換えていく。 イライラした気持ちのまま、なんとか最寄り駅までたどりつき、駅からの道を一人で歩き始めてようやくほっとする。ほんとに雪は降るんだろうかというような、いいかんじの夜だ。
一日仕事の日。「オーディション終わるまで他のことができない」と篠原さんと言い合っていたのだけれど、終わった今日は、ほんとにいろいろなことがずーんと前に進んだ気分。もちろん、稽古はこれからだけれど、やらないといけないことがどんどん具体的に見えてきて、気持ちがずいぶんラクになった。 今日、オーディションの結果を聞いた子ども達はどうしているだろうと、気にかかる。土曜日の富士見ギャラリーで会えたらいいなと思う。 ビデオが壊れてしまったので、少ないDVDの中から「雨に唄えば」を見る。「贋作・毛皮のマリー」でじっくり見て以来の久しぶり。長いよなあと思った、劇中のミュージカルシーンのおもしろさを改めて確認。ジーン・ヘイゲン演ずるところの悪声&悪役の女優リナにどうしても感情移入してしまう。
2006年01月18日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
今日は、オーディション。 今回は、6年生全員、75人が、かならずどれかの役につけるよう、篠原さんと2人で75の役を用意した。 その中で、希望者が多かった役についてのオーディション。 授業の初めから、子ども達の集中のしかたに圧倒される。いつも、きっちり集中できる彼らだが、今日は、いつもにましてぴりっとした緊張感がある。 全員が台本を持って、オーディションの場面を演じる人を見ているのだけれど、「台本じゃなくて、演じてる人を見よう」という、僕らがいつも言っていることが、とても当たり前のようにできていた。たまに、集中が切れたかなと思える場面では、子供たちの中から、「台本見ないよ」とか「壁によりかからない」といった声が自然にあがっていた。 やりたい役をやるのが一番だというおとなたちの一致した意見で、希望者が一人の場合は、オーディションなしで決定。 希望者が多かったのは、僕が「未来の友情」に新しく付け加えた「門番」の役だった。それぞれがみんないい味で、ぼけとつっこみの役どころをいいかんじに演じてくれた。 主人公に対立する「氷」の役の希望者は2人。それぞれ長台詞を語ってもらった。二人目に演じたヒデキくんが演じ終えたところで、見ていた子供たちから、溜息とも歓声ともつかない声が拍手と一緒にあがった。 授業のあと、校長室で打ち合わせ。今日は、何時までかかるかわからない配役会議だ。 青井さんは、「誰がどの役を演じても大丈夫」という嬉しい言葉を残して、先に帰られた。 田中さん、鈴木さんと今後のことを打ち合わせしたあと、若林先生、森江先生、平田さん、篠原さんと、75の役、一つ一つについて、検討していく。 僕と篠原さんは、今日のオーディションの印象を中心に、先生方は、授業全体、クラスでの人間関係までを考慮しての配役会議。 五時過ぎまでかかって、ようやく終了。 音楽の畑先生と、作曲についての打ち合わせをして、篠原さんと二人、失礼する。 校門を出たところの横断歩道をわたっていたら、コンビニの角から自転車に乗った6年男子に声をかけられる。今まで打ち合わせしたことがバレてしまうねえと言いながら、駅までの道を歩く。
2006年01月17日(火) |
「ながいながいさんぽ」 |
仕事の帰り、池袋のデパ地下で買い物。ちょうどやっていた「練馬漬け物物産展」の最終日。たくあんを売っていたおばちゃんにつかまり、いろいろと味見をさせられ「たまり漬け」の最後の一本を買う。「おまけね!」と言って、一緒に漬かっていた昆布やら何やらがどっさり。奥からおじさんが出てきて、「これも」と塩を一袋くれた。どさっと重い荷物を抱えてバスで帰ってくる。 帰りに買った須藤真澄「長い長いさんぽ」。去年、連載されたものの単行本化。十数年前、僕の部屋からもらわれていった子猫ゆずについて、須藤さんが描き続けていったマンガ「ゆず」のほんとうの最終回。なんてしあわせな猫だろうと思い、彼を思う須藤さんの思いの深さに、僕はこんなに愛せるだろうかと振り返ってしまう。今日もまた、電車の中で涙目になってしまう。 バスを降りて、家の近くまで来たら、角の家の庭から、うちの猫が飛び出してきた。知らん顔してあるいていたら、向うもどこかに行ってしまった。と思ったら、家の玄関にたどりついたところで、猛ダッシュで走ってきた。かわいいじゃん、うちの猫も。彼を通してゆずに何かが伝わるのなら、こいつのことを大切にしてやりたいと思った。 ミクシィのマイミクさんに教えてもらった「きっこのブログ」というブログをこの頃よく見ている。日常のささいなことから、政治のことまで、幅広く、そして饒舌に勢いのある文体で語られているのがとても気持ちいい。アナウンサーの今泉清保さんのブログとならんで、二大お気に入り。未見の方はぜひ検索してたどりついてみてほしい。 夜、「贋作・Wの悲劇」に出演してもらった木村佐都美さんと電話で話し、8月の「ムーンリバー」への出演をお願いして、快く引き受けていただく。主人公の妹役。ちゃきちゃきの中学生を演じてもらおう。
2006年01月16日(月) |
非戦を選ぶ演劇人の会打ち合わせ |
朝、ほんとにぎりぎりの時間に、台本をメールで平田さんに送る。今日これから印刷して子ども達に配布してもらう。いつもながら遅くなってしまってほんとうに申し訳ない。カットしているつもりが、やはり長くなってしまい、あとは稽古しながら考えようと思う。 昼から、えり子さん宅で非戦を選ぶ演劇人の会の打ち合わせ。大きなテーブルを囲んで今年の予定をみんなで話し合う。予定以外のこともいろいろ。今日もまた有意義な時間。 終了後、えり子さんと宇宙堂の劇団員の加藤記生さんと打ち合わせ。加藤さんへの8月のフライングステージ公演「ムーンリバー」への客演のお願い。スケジュールを調整してもらい、引き受けてもらえることになった。加藤さんには、男まさりな女子中学生の役を演じてもらう。宇宙堂の公演では、これまで男子役が多かった彼女、今回は「男っぽいけど」女子をお願いすることになる。 帰り、梅ヶ丘で途中下車して、駅前の美登利寿司であなごの寿司、梅ヶ丘に住んでた頃、ほんとによく通ったアルパジョンでシュークリームを買って帰る。余分に買って妹のところへ。電話して取りに来てもらった。
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