せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年02月19日(日) |
「夜空が僕らをみつめてる」 |
前回は、ちょうど同じ時期に、おとなりの劇場で芝居をしていたので見られなかった。久しぶりのサニーサイドウォーカーの公演。 しっかりつくりこまれた大学の屋上のセットにまず圧倒される。壁の質感のみごなこと。二方を客席にするという設定もおもしろい。 大学のUFO研究会のOBたちが久しぶりに集まっての群像劇。それぞれの人物は、いるいるこういう人というかんじなのだけれど、お話が進むに連れて、あれれと思うような展開に、見ていてノッキングをかんじてしまう。 全員そろって宇宙人がやってきたという嘘のビデオを撮影しようというくだり。なんで急にそんなことになったのかよくわからない。そして、ひとしきり騒いだあと、また本筋に戻っていくかんじが、なんだかよくわからない。 自殺した当時の部長の存在は、お話の要になるところだけれど、ラスト近くに「実は……」ということが判明しても、それが登場人物に対してどういうことなのかということがよくわからない。もう一押ししてほしいのに、なんだかお話は先に進んでいってしまって、微妙な不完全燃焼感。 装置、音響、受付の表方にいたるまで、スタッフワークはとても見事で気持ちがいい。 俳優陣では、客演の枝野萌さんが、底抜けに明るいキャバクラ嬢をみごとに演じていた。話の筋とは関係なく、森川くんと2人ならんだ一瞬がとてもステキで、なんだか2人のために一本芝居を書いてみたくなるような、そんな気持ちになった。
ラ・カンパニー・アンの久しぶりの新作。南阿佐ヶ谷、ひつじ座にて。 いつも思うのだけれど、ここほど、女の人のすごさや弱さやかっこよさ、つまり、丸ごとの女というものを見せてくれるところはない。今回もまたその印象を深くした。 伝説の龍と蛇が当たり前のように登場して、見ていてなんの違和感もないというのは、やっぱりすごいと思う。 彼女たちが演じるジェストダンスというのは、どこか日本舞踊や能に似ているのかもしれない。その人物でありながら、その場の情景や景色にも変化していき、その変わり目が自然でよどみがないところ。 中でも、西山水木さんの魚が陸に上がって、地上を走り出すという動き。この手のものは何度も見てきているのだけれど、水の質感や獣が草原を走るときのようすまでがつたわってくるよう。 明樹由佳さんは、伝説の龍。戦のために都へ行った夫に会いたい百姓の女。禁を犯して龍に変身して、空を飛んでいくが、あと少しというところで神の怒りに触れ、雷に打たれて死んでいく。ラストシーンで、龍として語っていた(ジェストダンスで)のが、ふと髪に手をやり、まとめて、汗をふき、当たり前のように農作業を始める。その変身のしかたのあざやかだったこと。 開演前から全員が舞台にいてにぎやかにしている舞台づくり、劇中の男と女のすったもんだのお話と、ダイナミックなシーンが当たり前のように共存しているのがおもしろい。今回もまた、とても刺激的な舞台を見せてもらった。
2006年02月17日(金) |
富士見丘小学校演劇授業 |
全員集合しての練習。1時間目から3時間目まで。 はじめに田中さんにアップ。今日は、ストレッチと数を数える声出し、それと最後は鬼ごっこ。 子ども達に教室の椅子を持ってきてもらって、客席の位置にならべてもらう。 出番がないときは、今日はそこに座ってみてもらう。見ている人の気持ちになれるよう。 今日は、はじめからとてもいい緊張感で全員が集まっている、そんなかんじ。 冒頭から、体育館全体を使って、練習していく。場面と場面のつながりでは、出演してない人はどこにいるのかということを確認しないといけないのだけれど、今日の目的は、まず他のチームのやっていることを見るということにした。 「放課後の卒業式」の朝の場面、続く教室の場面。声が聞こえないところ、教室の外で雪合戦をしている二人の靴音が大きく響いて、そちらが気になってしまうところなど、考えなくてはいけないことがいろいろ見つかる。 続く、ダンス。ほんとによく練習してきたんだなあというのがわかる。どこから登場するかを決めて、何度も練習。だまって75人全員が走り込んできて、ポーズをとるのは、とてもかっこいい。登場からダンスまでのつながりをくりかえす。 演劇授業チームは、僕もはじめて見るので、どうなっているのか興味津々。エレベーターにとじこめられた人たちの即興劇。とじこめられた状況と、それからどうなったかというその後のお話ができていた。 未来の友情チームは、この間の練習を踏まえてなので、のびのびと動けている。最後の歌の場面で、それまで見ていた全員に参加してもらう。今日はお休みのヒデキくんの代役のユウヤくんがただ一人舞台の上、残りの全員は舞台の下から彼に向かって歌いかける、そんな演出。ユウヤくんにはどんなふうに映っただろう。 地震の場面の地響きをどうしようかと考えていたのだけれど、子ども達が足踏みする音でいこうとその場で決定。それぞれ足を踏みならし叫びながら、舞台上に駆け上がっていく。これもまたすごい迫力。最後に氷から来た手紙を読む場面では、手紙でなく、舞台から氷がボールを投げるということに変更(昨日の夜、篠原さんと相談した結果)。この間買って今日忘れてきてしまったボールを、今度彼らに渡そうと思う。 最後の卒業証書の場面を初めてやってみる。みんなでつくった歌も。「放課後の卒業式」という芝居の全体が見えてきた。 とても寒い体育館で、こどもたちはとてもよくがんばった。この緊張感で本番までがんばってほしい。 授業のあと、校長室で講師陣は演出面の打ち合わせ。それぞれのチームの問題点について。ラストシーンの演出のアイディアが浮かぶ。今度ぜひやってみようということになった。
2006年02月16日(木) |
富士見丘中学校発表会 |
富士見ヶ丘中学校の演劇授業の発表会。去年一年間一緒だった彼らが、中学に行ってつづけてきた総合的学習の時間のなかの演劇授業。その発表会。 出番前の子ども達に見つかると、彼らが盛り上がってしまうので、こっそり来てほしいと言われたので気をつけていたのだけれど、受付前のトイレに来た、何人かに「あ、関根さんだ!」と言われ、まんまと見つかってしまう。まあ、しょうがない。 発表されたのは、調べ学習をもとに、彼らが作り上げた芝居。クラス毎に1本ずつ、計3本。食べ物についての調べ学習は、移動教室に行ったときに近くの養豚場に行って話を聞いたりしたものが元になっている。電話して、取材を申し込んで、話をきいてくるというのが、なんともすてきだ。 「以前は子豚に名前をつけていたんだけれど、別れるのがつらいので、今はもうつけていない」という養豚場の人の話。それを聞いて、「複雑な気持ちになった」という彼ら。かわいい子豚の描写。まっすぐ届く言葉に涙ぐむ。 発表後のシンポジウムにも参加させていただく。現場の先生方、講師のみなさんの話を聞きながら、思うことがいっぱい。いらしていた富士見丘小学校の先生方のお話を聞いて、また泣けてきてしまう。今日はほんとに泣きっぱなし。哀しいとか、腹立たしいとか、うれしいとか、そんなものが、一緒になっての涙。 帰りに篠原さんと二人で明日の授業計画を立てる。明日は、3チーム合同の久しぶりの授業。体育館を使っての、場当たりもかねてのもの。3時間の授業時間を配分して、準備してほしいこと、授業の目的などを、きっちり組み立てる。あとは明日、どうなるか。 本番まで残り少ない時間を大切に使って、子ども達に芝居のおもしろさを少しでも伝えたい。もとい、真剣に考え苦労しながら、楽しんでほしいと、心の底から思っている。願っている。祈っている。
2006年02月15日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 絶対王様稽古 |
富士見ヶ丘小学校の授業。今日は、2時間めが芝居の練習。初めから3チームに分かれて。3,4時間目は、本山新之助さんによる、全員で踊るダンスの振付だ。 「未来の友情」チームは、体育館。田中さんにウォームアップをお願いする。「じゃあ、走ろう!」ということで、全員で体育館を走り回り(僕たちも)、途中から鬼ごっこに。大人二人は、死にそうになり、子ども達は涼しい顔。 今日は、実際に本番の舞台になる体育館での稽古。はじめに、体育館の使い方というか、冒頭からの動き、どこでやるのかということを説明する。バスガイドのように、「はーい、こっち来て!」と、全員で移動しながら。 ひととおりの説明が終わってから、初めからの立ち稽古。一人お休みの子のかわりに田中さんに代役をお願いする。一人だけ違うたたずまいで、「子ども達の方がぜんぜんちゃんと存在してるし、できあがっているアンサンブルに一人くわわるのはもうしわけない」と言っていたけれど、それまで、ただセリフを順番にしゃべっている段階の子供たちの芝居が、田中さんが一人入ったせいで、どんどん回り始めた。 体育館という難しい場所で、子供たちは大丈夫だろうかというのは、全くの取り越し苦労だった。それは、考えてみれば当たり前で、僕らにとっては「遠い場所」の体育館も、子供たちにとっては、ふだん遊び慣れている、自分の家のような場所だからだと気がつく。「放課後の卒業式」の教室の場面の自然さと同じかもしれない。 順にやっていったのだけれど、2時間目の終わりの時間はすぐ来てしまった。今日はここまでにして20分休みをとろうとしたら、「もっとやりたい」と子ども達から声があがり、もう10分だけつづけることに。 舞台の上と、フロアとのやりとりのダイナミックなかんじが、とてもおもしろい。 だいじょうぶ、いける!と思えるようになった。 子ども達も、そんな手応えを感じていたんじゃないかと思う。 休み時間に、他の2つのチームも集まってきて、ダンスの練習。 とにかく75人、全員で踊る。田中さんも里沙ちゃんも、篠原さんも僕も、今日は踊ってみる。 その他に本山さんのアシスタントのお二人に、森江先生と若林先生。校長先生に、副校長先生に平田さん。十人の大人たちが、結果として、全員で手分けをして子ども達を見守りながら、2時間分の授業時間、正味90分で、49秒間のダンスができあがった。 本山さんは、最終的な本番の立ち位置にも気を配ってくれて、最後には本番と同じフロアと舞台と舞台下のスペース、つまり体育館全体に75人が整列してダンスする場面ができあがった! 振りもこんな短い時間で?とおもうほど、みんなちゃんとしてる。本山さんの振りつけのかっこよさに、全員で踊るというすごさがくわわって、とてもいい場面になりそうだ。 授業のあと、明後日の授業の打ち合わせをして、解散。 夜は、絶対王様の稽古。僕は今日が稽古初日。どんな芝居になっているんだろうとわくわくしながら稽古場へ。 挨拶と自己紹介のあと、いただいた台本をさっそく読み合わせ。初見で、読み合わせということ、プラス「テンション高めで」と笹木さんに言われ、がんがんやってしまう。去年の暮れの「贋作・Wの悲劇」が残っているような、大きめな芝居の気分。楽しくやらせてもらう。 後半は、何度か読み合わせをして、シアターゲームをして、おしまい。初めてお会いする女優さんたち、去年の9月以来の絶対王様のみなさん、そしてgaku-GAY-kaiの以来のアルピーナさん。楽しく、芝居をさせていただけそうだ。 終了後、駅前で軽く飲んで帰ってくる。とても楽しい、お酒とおしゃべり。終電ぎりぎりの帰りの電車の中でも。
明日の富士見丘小学校の授業の準備をする。 先週もらった楽譜を読むが、ところどころよくわからなくなってしまうので、近くのホームセンターでキーボードを買ってきた。おもちゃ売り場のそれでも3オクターブある大きなもの。いっぱいボタンがついていて、「いろんな音色が出ますよ」と説明されたのだけれど、よく見たらそれはデモ曲の設定だけで、押してみたら、同じ音色でにぎやかな音楽がいろいろ流れるだけだった。 それでも、音をとるには充分。明日、一緒に歌えるように練習しておく。
朝、ばたばたと出かける。やらなきゃいけないことをいくつもかかえたまま。落ち着かない一日。 書かなくてはいけないものに取りかかり、いくつかは送り、いくつかはペンディング。 仕事の帰り、池袋のデパ地下でバレンタインのチョコレートのフェアをのぞく。今年は、この人に!!という目的はなしに、初めて見る「テオイプロマ」というお店で、自分用にオレンジピールにチョコをコーティングしたものを買って帰る。ついでに見かけた神楽坂の五十番の出店で、五目肉まんも購入。 DMの整理にとりかかるが、今日も途中まで。もう一息というところ。 注文していた、おりがみの本が届いたのを受け取ってくる。なつかしい作家の、そのわりには知らない作品ばかりで、やや期待はずれ。それでも、子供の頃、よく見ていた、折り方の説明の図がなつかしい。折り紙を前に折ってみようというのではなく、ただこの本をながめて、想像しているのが楽しい。新聞で将棋の棋譜を読むようなものかと思っておかしい。 「ミッシング・ハーフ」の稽古スケジュールが届く。8月の「ムーンリバー」の稽古場が押さえられそうとの連絡も。よかった。明後日からは絶対王様の稽古が始まる。これからしばらく芝居がつづく。いいかんじのわくわくした気分。
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