せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年03月12日(日) |
「宇宙人の新撰組」千穐楽 |
2日だけの公演なので、今日は千穐楽。 gaku-GAY-kaiのように一回きりというのとはまた違う、不思議な感覚。 普通なら、2日落ちしそうなところを、これで最後!といういきおいで、気持ちはずいぶん盛り上がっているかんじ。 アルピーナさんとこの劇場のあたたかさについて話す。公共ホールの冷たさとは全然違う、この劇場のこと。上のコマ劇場につめかけるたくさんのお客さんの思いや、それを受け止めて、芝居で食べているたくさんの舞台人の思いが、地下のこの空間にも満ちてるんじゃないだろうか? 楽屋入りの前、楽屋口の前で北島三郎ショーの自由席のために並んでいる多くの人たちを見て、さらにその思いを深くした。 開場前に全員舞台に集合して挨拶。ダンスと立ち回りの確認を、僕たちは客席から見せてもらう。 そして、開場、開演。 出番が終わると階段を上って楽屋へ向かい、衣装のチェンジ。実は舞台からとても遠い楽屋も、ここなら許せるかんじ。二度目の着替えは舞台下手から、ロビーを歩いて楽屋まで戻る。歩きながら、息が切れるのは、距離のせいではなく、稽古でいためた胸のせいで、呼吸が浅くなっているからだ。 カーテンコール、緞帳が降りる舞台はひさしぶりだ。昨日は、頭を下げて緞帳が降りるのを待ったのだけれど、今日は、笹木さんによる演出の変更で最後に顔を上げて、緞帳が降りきるのを待った。出演者全員と今日も握手&ハグ。お疲れさまでした。 ロビーに出て、お客様にご挨拶。どうもありがとうございました。 楽屋を片付けて、打ち上げまでの時間、アルピーナさん、小林くんとサザンテラスのアフタヌーン・ティーで話をする。今回の舞台ことをいろいろ。 21時からの打ち上げは、23時には失礼して、終電で帰ろうと思っていたのだけれど、楽しくおしゃべりしているうちにあっという間に0時近くになってしまい、朝までいようと予定変更。みっちり話しこんでしまう。 始発が出る時間に、一足お先に失礼する。アルピーナさん、小林くんと「出てよかった」という話をして解散。 徹夜明けの朝は寒さを余計に感じるものだけれど、今朝はなおさら。乗り継ぎのよくない電車を乗り継いで、最後は朝日に照らされる雲をながめながら。7時過ぎに帰宅する。 今回の王様の舞台は、出番は少なかったけれど、とても好きになれた舞台だった。ミュージカル風というわくぐみというよりも、いいセリフがいっぱいあったのがうれしかった。 近藤勇の「人にやさしく自分に楽しくしてれば、そこがお前の場所になる」という言葉や、「仲間をつくれ」というセリフは、それを語る有川くんのすばらしさともあいまって、僕は毎回、袖で聞きながら、ほろっとしていた。 フランスの劇作家ジャン・アヌイには、内容にあわせて「黒い戯曲集」「桃色の戯曲集」というのがある。笹木さんがこれまで書いてきた戯曲が、同じように分ければ「黒い戯曲集」に入ると思うのだけれど、今回の「宇宙人の新撰組」は、間違いなくもっと明るい色の本になるのではないだろうか。その両方を持てるということは、とてもすてきなことだと思う。 ともあれ、楽しく舞台に参加させていただいて感謝だ。今回の舞台に出てなかったら絶対に知り合えなかった劇団鹿殺しのみなさんと会えたこともとてもうれしく感謝している。 みなさん、ほんとうにお疲れさまでした。そして、どうもありがとうございました。
2006年03月11日(土) |
「宇宙人の新撰組」初日 |
朝、1カ月分をためてしまった古新聞を廃品回収の集積所にもっていく。予定した電車に乗れず、新宿までのショートカット、つくばエクスプレスで向かうことにする。 メイクがあるので少し早く入ろうと約束した十時入りに少し遅れて劇場入り。 早めに入ったというものの、場当たりの前にメークを終えるのはなかなかあわただしい。仕度が終わった頃に、ちょうど昨日の続きの場当たりが始まって、ラストまでを順に。 初めての回り舞台を経験する。おおーっと思わず声が出るかんじ。動き始めと止まったときにカラダがぶれないよう気をつけるが、なかなかむずかしい。それでも、かなり気持ちは「上がった」!! その後、懸案だったキックボードにも挑戦。リノとパンチで微妙にすべりが違うのではじめややとまどう。段取りをアレンジしてなんとかめどがたつ。 予定を少しだけ過ぎた時間からゲネプロ開始。これまでなかった小道具や衣装が、続々投入されて、なんだかものすごいことになっている。 芝居もラストに向かってどんどん熱くなっていき、いい終わり方になった。 休憩のあと、準備をすませていったん舞台に全員集合した。 みんながそれぞれ、きっといるだろう劇場の神様にあいさつをした。シアターアプルは、とても気持ちのいい劇場だ。初めてなのに、しっくりとあたたかく、とても広いのに広さを感じさせない懐の大きさがある。昨日小屋入りしての今日で、すっかり僕らの味方になってくれた、やさしい劇場だ。 小道具と表方の段取りの都合で開演をずいぶん押させてもらって初日の幕が開いた。 開演前、絶対王様、鹿殺しのみなさんは、それぞれ、開演前の気合い入れの儀式(?)を。ひとつながりの楽屋なので、僕たちもやらなきゃねえと、みんなが舞台に向かったあと、アルピーナさん、小林くん、トシくんの4人で、手を合わせて気合いをいれてみる。ゆるゆると。 今回もまたお客様にたすけられ、ささえられながら、2時間の芝居が誕生していった。稽古場では思いもよらなかった結末が見えてくるのが、本番の面白さ、舞台のおもしろさ、そして、それを信じて芝居をする役者達のすばらしさだと思う。 最後の幕が下りて、緞帳のうしろでみんなで握手&ハグ。 終演後、楽屋口で、去年「猫のヒゲのしくみ」でご一緒した星さん、ワンダラーズの沖本さん、土井さんはじめ、大勢のみなさんにご挨拶。どうもありがとうございました。 あと一回のステージ、楽しく、怪我のないよう、つとめたいと思う。
2006年03月10日(金) |
「宇宙人の新撰組」仕込み |
夕方から、シアターアプルへ。客演の僕らは、すっかり舞台ができあがってからの劇場入りだ。 小屋入り前に、紀伊國屋の下のセイセイドーでメイク用品を買う。残り少なくなったフェイスケーキ、ドーラン、それにいつのまにかどこかにやってしまったらしい板刷毛も購入。いつもよりは少し大きな劇場なので、メークもぱっちりやってしまおうと思う。一昨日、マルゴリータ奈須に教えてもらった、鼻の穴に塗るタイプの花粉症のクスリもゲットする。 劇場入りは、とても新鮮。王様のみなさんがわりふってくれた楽屋に化粧前をこしらえて、メークを始めて、場当たり開始前に無事終了。昨日の通しの時にちょっとピンクっぽいかもと思ったメークを少し手直ししてみた。 場当たりを頭から始める。僕たちは、とりあえず出てみて、衣装とメークのチェック。動きや転換は、明日あらためてということに。 客席から舞台を見て、あれこれ考えることがいっぱい。初めての劇場なので、わからないことがいろいろあるけど、少しでも早く劇場を味方にして、いいものを見ていただけるようにしたいと思う。 チケットの予約を受け付けています。絶対王様さんのご厚意でフライングステージ割引がありますので、どうぞご利用下さい。僕宛にメールをいただけたら、折り返しご連絡いたします。前にも書いたのですが、僕はこの芝居をとても楽しんで、そして愛しています。多くのみなさんに見ていただけたらと思っています。みなさんのご来場をお待ちしています。
2006年03月09日(木) |
「宇宙人の新撰組」稽古 |
朝、高円寺に寄って衣装その他のピックアップ。稽古は、稽古場での最後の通し稽古。 衣装を着て、メイクもする。昨日買ったプリーツプリーズに、その他の衣装を組み合わせて、3ポーズを決めた。でメイクをして、ウィッグを重ねて(!)、できあがり。 メイクをすませて巨大になったアルピーナさんと2人、これでだいじょぶとちょっと安心する。 昨日小林くんにお願いしたキックボードに乗ってみる。ローラースケートの代案だ。ちゃんと乗るのは実は初めてでやや心配だったのだけれど、なんとかなりそうだ。 本番前の最後の通し稽古。衣装ありで。自分が出ていない場面を前の方から見せてもらう。新撰組のそろいの羽織は、殺陣をしているとほんとうにきれいでかっこいい。ホンモノの新撰組も、それを考えてこの装束を選んだんじゃないだろうか。 劇中のレビュー(!)場面で、今日高円寺からピックアップした衣装を持ってでた。ばかでかくて派手で、「あり」ということになったのだけれど、通し稽古のなか、だんどりで倒れたら、支柱にしていた棒が肋骨にもろに当たってしまった。ものすごく痛い。転がっているシーンだったので、苦しそうにもだえてもぜんぜんありなので、しばらく苦しむ。立ち上がっても、痛みはそのまま。咳やくしゃみをすると、痛みが走る。 通し稽古終了後の休憩に小林くんと2人で食事に出る。大通り沿いのラーメンやで、とんこつみそラーメンを食べる。なかなかおいしかった。 休憩後は、小返しの稽古をあちこち。全員揃うラストシーンの稽古が、細かいアイデアを言い合いながら、ていねいに組み立てられていった。 今日は小道具等の荷積みのため稽古はやや早めに終了。全員でトラックに荷積みをして解散。 今回、稽古場として借りた、ここは元小学校。それもかなり手入れされている廃校で、使っていてとても気持ちがいい。終了の時間が9時をちょっと過ぎても、他の公共施設のように頭ごなしに怒鳴られたりすることもない。とてもありがたい、うれしい稽古場だった。お世話になりました。
2006年03月08日(水) |
「宇宙人の新撰組」稽古 |
朝から出かけて買い物。衣装を探す。今回、僕は、イメージとして「美輪さん」を考えているので、衣装は美輪さんがよく着ている、イッセイ・ミヤケのプリーツプリーズで行こうと思っている。手元に2着あるので、カラフルなものをゲットしてコーディネートしたい。今年の新作でこれがいいというのがあったのだけれど、5月にならないと発売にならないということで断念。それなら古着屋さんで見つければいいやと、時々のぞく銀座の「rt」で派手目なものを2着ゲット。 もう一つ探していたローラースケートはどこを探しても見つからず断念。代案を考える。 今日の稽古は、通し稽古。早い時間に体育館で。鹿殺しのプレラさんが、それほんとに着るの?というようなすごい衣装。アスリートのようなすがすがしさ。 通しのあと、夜、アルピーナさんが復帰。衣装を笹木くんに見てもらいながら、僕らの場面を中心に小返し。明日の通しは衣装メイクありでいくことに。どうなるか楽しみだ。 高円寺からの荷物のピックアップは中央線が遅れているので明日に。まっすぐに曙橋のマルゴリータ・奈須邸へ向かう。去年のgaku-GAY-kaiの荷物をピックアップ。大荷物を宅急便で送って、少し身軽になって帰ってくる。最寄り駅からはタクシー、ちょっとへとへとだ。
2006年03月07日(火) |
富士見丘小学校授業 「宇宙人の新撰組」稽古 |
今朝起きたら、左耳が聞こえない。昨日スタジオでヘッドフォンをかけたときから、なんだかおかしいとは思ったのだけれど、あららというかんじ。 ぼくは、ずいぶん前から左耳がよく聞こえなくて、耳鳴りが持病なのだけれど(台本書けなさのストレスから来た、突発性難聴だと思ってる)、今朝はまるっきり聞こえない。びっくりする。ストレスって何?と不思議な気持ちだ。 絶対王様の稽古はとても楽しくて、今回初めての鹿殺しさんたちもとてもすてきな人たちで、芝居をしてることそれ自体がとってもハッピーなのに、それで何がストレスになってんの?と自分に問いただしたい。 今日は2時間目から富士見丘小学校の授業を見学させていただくことになっているので、シャワーを浴びて、とりあえず出かける。ラッシュにもまれて、明大前に着いた頃、ようやく「あ、戻った」というかんじで電車の音が立体的に聞こえてきた。まずはよかった。 授業は、2時間目が長崎先生による5年1組の国語。4月から演劇授業を一緒にやる子供たちだ。伊藤さんと拝見する。教科書を使っての授業だけれど、子供たちが話し合う。情景を考えて、それぞれの意見を言い合う。発表のしかたもとてもいい、自分の意見だけでなく、人の意見も代弁する。演劇授業の参考にと思って、うかがったのだけれど、とてもおもしろかった。 3時間目までの20分休み、今日は全校での持久走。3Fの教室から、みんなが(先生方も)走っているようすを見させてもらう。 初めは、「それは持久走じゃなくて、ダッシュでしょ?」というくらいだったのが、だんだん落ち着いていく。走り方も一人一人ばらばらで、知っている6年生の子たちは、やっぱりその子らしい走り方。一緒に走っている仲間とのようすもほほえましい。先に下級生が終わって、上級生だけになると、またペースが速くなった。わざとじゃないんだろうけど、なんだかいいねと伊藤さんと話す。 3時間目は、甚野先生による算数。篠原さんも一緒に。少人数クラスでの授業。さっきの持久走の話から授業に入っていくその自然さとうまさに感動する。 学校の先生というのは、教壇に一人たって、授業時間いっぱい一人芝居をしているようなものだと思っていたのだけれど、今日の甚野先生の授業は、そのイメージをぐーんと上回るおもしろいものだった。 授業を進めていく先生の話し方もとてもおもしろいのだけれど、子ども達一人一人との会話、そして、ぴりっと厳しくなる瞬間のあざやかさ、そして、何よりも算数を教えるプロとして子供たちに向き合っている姿がステキだった。 4時間目は、2組で長崎先生の国語。1組と同じ内容だったのだけれど、子供たちが違うとこれだけ違うんだというのがおもしろかった。 教室の雰囲気も1組と2組とは全然違う。そのこともあらたな発見だった。 授業のあと、給食をいただいて、今日の授業のこと、そして来年度の演劇授業の打ち合わせ。今年以上に先生方に参加していただくかたちの授業になりそうだ。今日初めて間近で見た子供たちとのこれからの一年。楽しみがいっぱいだ。 休み時間に6年生と再会する。あいさつやおしゃべりをいろいろするなか、「放課後の卒業式」のセリフをまたやってくれる子が何人もいてうれしい。 中でも、「未来の友情」の炎役だったジュンヤくんが、女の子たちに「炎やりなよ!」と言われて、「え……?」と言いながら、「違う、違うんだ!」という場面をやってくれて、うれしかった。終わった芝居で遊べるっていうのは、彼らの中に、芝居がいい思い出として残ってることだと思う。今度会うのは卒業式だ。「泣かないでね」とさんざん言われて、いつもなら「泣かないよ!」と言い返すのだけれど、もうボロ泣きしてしまうことは明らかなので、「泣くよ、泣くとも」と返事しておく。 夕方から稽古場へ。笹木さんは昨日よりも少し顔色がいい。稽古も順調。稽古のあと、王様チームは今日もまた音響さんの事務所へ。朝から夜までほんとに大変だ。 僕らは、稽古だけで参加させてもらっているのだけれど、王様のメンバーのがんばりには頭が下がる。 夜、高円寺に寄って、荷物をピックアップする予定が変更に。まっすぐ帰ってくる。
2006年03月06日(月) |
「宇宙人の新撰組」稽古 |
仕事に行くが早めに上がらせてもらって稽古場へ。 通しには途中から参加できるかと思ったら、笹木さんの体調がとてもよくなくて、有川さんを中心にした小返し稽古。 笹木さんはほんとに具合が悪そうで顔色が悪い。代役?という話もちらちら出て、ドキドキする。 それでも、笹木さんとは、僕が劇中で歌う歌についての打ち合わせをさせてもらう。ついでに今回の芝居についての話もあれこれ。 僕は、今回の「宇宙人の新撰組」、いい話だなと思える。最初の読み合わせのときにはなかったラストシーンを先週もらってから、なおさらそう思うようになった。歌ったり、踊ったりの、笹木くん流に言えば「でたらめにもほどがある」お話の中に、ほのぼのと暖かいものがちゃんと流れている。 僕らがいつもやっているような歌ったり踊ったりというのは絶対王様の公演では久しぶりだ。着物を着て、がんがん踊っているみんながとてもかっこいい。 稽古後、早稲田にある音響さんの事務所へみんなで行く。待ち合わせがなかなかうまくいかなくて、駅の上のコンビニの前で、しばらく立ち話。お茶やら軽くお酒なんか飲んだりして、ちょっと早い、お花見の気分だ。 事務所に移動してバタバタと作業。終電に間に合うように気を遣っていただいて、演出助手のキクチさんと一緒に帰ってくる。
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