せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年03月19日(日) ラムネ天色堂「チュチュ!」

 天気が良くて暖かいのに、風がものすごい。洗濯は断念する。外を歩いていると手袋がほしくなる。春物のコートに薄着で出かけて、少し後悔。
 ラムネ天色堂「チュチュ!」@明石スタジオ。松本たけひろさんの作・演出。
 男子禁制のバレエスタジオにニューハーフが無理矢理入会しているというところから始まるお話。「浅草シルバースター」でご一緒した、おちないリンゴの方波見さんのバレエ(!)や、小豆畑さんのニューハーフぶりを堪能。江原さん演じる小4の娘がいる母親役が、とても「いるいるこういう人!」というかんじだった。
 ラストの豪華な4羽の白鳥&4羽の黒鳥の男女入り乱れてのバレエ、お見事でした。
 終演後、松本さん、方波見さんにご挨拶して、失礼する。
 明石スタジオ近くの雑貨屋「アジアン」の閉店セールにひっかかり、寄せ木細工のボックスと夜光貝でできた猫の置物を購入。高円寺の街はこのところ急に変わった。駅の改装にともないいろんなお店が進出している。それにしても、古着屋の増え方はどうだろう。
 NHKの芸術劇場を見る。プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」。アリア「私のお父さん」が有名でタイトルはよく聞くのだけれど、見る(聞く)のは初めて。一時間弱の遺産相続をめぐるドタバタ。なかなかおもしろかった。美術がとてもきれいで、いいなあと思っていたら、ヴィッキー・モーティマーによるものだった。なるほど、終幕、壁にずっと水が流れているような効果は、「ナイン」を彷彿とさせる。
 夜中、原稿を書きながら、テレビをつけっぱなし。教育テレビの時間つぶし系の音楽コレクション、特殊は「サティ」。気持ちがやすまるような、ちょっといらっとするようなふしぎなかんじ。ジムノペディ、グノシェンヌ、サラバンド。久しぶりに、サティのピアノをたっぷりと。


2006年03月18日(土) ダイヤ改正

 強い風のせいで電車が遅れて、乗り継ぎがうまくいかない。最寄りの東武伊勢崎線は今日からダイヤの改正で、電車の種類が複雑になり、ややいらいらと出かける。
 仕事の日。年度末の仕事が山積みになって、ほんとに終わるんだろうか?と心配になり、休日出勤。一日、家にいて、台本に向かっていたいところなのだけれど、これが終わらないとそれもままならない。
 帰り、夜になって急に寒くなったので、北越谷からバス。電車のダイヤに連動した時刻表が、ダイヤの変更でとっても不便なものに一変。さっそく20分待つことに。いつもならスーパーで買い物をするところを、駅前にあるこの界隈では一番大きな本屋で立ち読みと買い物。昨日と同じ北越谷の駅前が、普通の風景になっていて、昨日の夜の不思議な空気をあらためて思い出す。


2006年03月17日(金) ピンズログ「ル坂の三兄弟」

 高田馬場の駅で絶対王様の笹木くんとばったり会って、一緒に神楽坂のdie pratzeへ。ピンズログ「ル坂の三兄弟」。森川くんが出演している。
 ある教会の家族をめぐる約2週間のお話。ピンズログは前回の旗揚げ公演「サラミの会」がとてもおもしろかった。はじめのうち、いったいどうなるんだろう?と思っていたのが、最後には完全に引き込まれて見てしまっていた。途中、うわ、もう暗転?と思ったりしながらも、最後には、それもよしと思えてきた。拍手。
 登場人物みんなが、切ってはめたような、いるいるこういう人なかんじで、無理がない。森川くんが演じる、牧師である父親役も。キャバ嬢も、三兄弟のキャラクター違いも、和田好美ちゃんの女子高生も、ストーカーも。キャスティングがとてもうまくいっていて、役者たちは、無理に何かをつくることをしないで、素直に「その先」のことをしている。それが、とてもいい結果を生んでいると思う。セリフをしゃべっていないときの芝居が、印象的だ。微妙な恋心を秘めた高校生が、だまって話をきいているかんじ、携帯をもてあそんでいるかんじ。
 途中、ほんとにいやなヤツだと思って同情できなかった長男の妻が、見終わってみるととても心に残る。なんでそんなことするのかなという思いを、途中までずっと種明かししないままに描いて、最後に実はという背景が見えてきても、それでも彼女が抱える心の闇の、言葉では説明できない部分が心に残るんだと思う。
 森川くん演じる、甲斐性のない父親の「神への思い」が、この芝居全体を包み、支えている。正面向きになりがちなこの空間で、当たり前のように客席に背を向けて、そこにいる彼の背中がとても雄弁だった。
 終演後、みなさんにごあいさつ。一緒に見ていた永山くん、本田さん、キキコロモさん、そして笹木さんと、飲み会に合流する。
 いい芝居を見た後は話がしたくなるものだと思う。今日も芝居の話をいっぱいした。作・演出のピンさんとも、初めましての役者さんたちとも。
 確信犯で終電を逃して、上野から深夜バス。大江戸線の駅から歩く道の途中、上野公園のはじっこの桜が何本か満開になっていて、思わず「満開だ!」と声を上げる。
 一足先のお花見、ほろ酔い気分。いつもならぐたっと寝てしまうバスの中でも芝居のことをずっと考えている。
 北越谷で降りてタクシーに乗る。いつも通る駅前も初めて来る知らない街のように見える。酔っているせいか? 運転手さんと桜の話になり、今見てきた上野の桜の話をしたら、「あそこは早いんですよね」と言われる。上野で働いていたことがあるそうだ。
 家についても、なんだかとってもいい気分の夜。眠ってしまうのが惜しくて、時々部屋の窓を開けてみたりしながら、朝方まで起きている。


2006年03月16日(木) 沈丁花

 気がつけばもう3月も半ば。芝居の稽古と本番でわたわたしていると、あれ、もうそんな?というかんじで、季節が変わっていく。
 外を歩いていると沈丁花のにおいがする。切り花の沈丁花を花屋に出くわすたびに探すが、なかなか見つからない。肉厚の花は水揚げがむずかしいのかもしれないが、なんでだろう?
 そういえば、秋のキンモクセイの枝も花屋では売ってるのを見たことがない。あんまり香りが特徴的なので、家中お手洗いになってしまうからか? それにしても「沈丁花の香り」なものは、ないよなあと思ったりする。
 町を歩いていて、あまり身近に香るものではないのかもしれないと思う。遠くからふとただよってくるのがちょうどいいのかもしれない。


2006年03月15日(水) 一年前

 新作を書いているとき、台本に煮詰まると僕は、自分がこれまで書いた台本を読み返す。最後の「幕」や「おわり」という字を見て、「あんなに苦労したけど、書き上げられたんだから、今度だってできる!」と自分をはげます。
 今回の「ミッシング・ハーフ」では、そんなふうに煮詰まるということがないまま書き進めることができている。
 もっとも資料をあたったりするのに手一杯で、それどころじゃないという理由もあるのだけれど。
 「二人でお茶を TEA FOR TWO」の台本を送るねと約束したままうっかりそのままになっていたことを、改めて人づてに連絡をもらい、あ、そうだったと、久しぶりに台本を印刷してみる。
 去年の今頃、夢中になって書いていた本だ。つい読み返してしまい、いろいろなことを思い出す。というか、ちょうど一年前の今日、僕はこの台本を書き上げたんだった。感慨深い。
 うわ、これよりおもしろいもの書かなくちゃいけないという、追いつめられたような気持ちにはならず、たんたんと、ここはおもしろい、ここはまだ手を入れられると冷静に読むことができた。
 そして、やっぱり、これより絶対おもしろいものにするぞと思う。
 この期に及んで見ておきたいビデオが出てきた。明日借りてこよう。


2006年03月14日(火) 前にすすむ

 仕事に出かける。電車の中でも聞こえる音の変化が気になってしかたない。まだおさまらないということは、王様の芝居から来るストレスじゃないんだ、ほらね、と妙に勝ったような気分。あ、でも、これから続く舞台から来る緊張だろうか。とにかく、芝居がらみでストレスがきて、耳が聞こえなくなるのは、納得がいかない。予定を立てて、来週には病院に行こうと思う。
 たまっていたメールに返事を書く。HPも更新する。BBSにもお礼と連絡事項の書き込みを。
 楽しくていい気分だけを大事にして、前に進もう。余計なことは考えない。たんたんと歩くように、やらなきゃいけないことを、楽しくやっていこう。


2006年03月13日(月) 左耳のこと

 ちょっとだけ眠るつもりが爆睡してしまい、仕事に行くことを断念する。休みの連絡をしたあと、今度は覚悟をきめて二度寝した。
 この間から続いている左耳の耳鳴りと難聴は、まだおさまらない。どういうタイミングで激しくなるかというのを、探ったりしているのだけれど、しばらくは病院に行けそうもない。まるっきりの突発性難聴は発症してから1週間が大事という話を聞いたけれど、僕のように聞こえたり聞こえなかったりというのは、もう少し様子を見てもいいだろうと、自分で決めた。
 それにしても、声が聞こえにくいときと、妙に頭に響くときがあるのは困る。どっちかひとつにしてほしいもんだ。
 夜、NHKのドキュメンタリーで、不思議なタコの生態や、富山湾の生き物たちを見てしまう。
 実際に入ったり潜ったりするのは、苦手だけれど、海のことを考えると、気持ちがとてもおだやかになる。イライラしたとき、僕がイメージするのは、深い静かな海にまっすぐに沈んでいく自分だ。


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