せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年04月16日(日) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
打ち合わせのあと、6場の稽古をして、16:00から通し稽古。今日の僕は、衣装もメークもありで。 一階下の楽屋でメークをばたばたとする。ややナチュラルなかんじになってしまったのだけれど、まあ、稽古だしいいかなと。それでも、すっぴんよりは、かなり豪華に。 通しは、昨日の通しを踏まえて、突き放して演じることを心がける。いろんな手応えをかんじる。プラス、やりこんでいかなければいけない課題も新たに発見。 音響、照明の打ち合わせ。この間、弾いてもらったナオコさんのピアノがデータとして届いて、今日から流してもらっている。生の気持ちがいいかんじに乗っている仕上がり。感謝。 稽古のあと、撤収。この稽古場、ミラクルにはほんとうにお世話になった。 今日はノグが稽古場に来てくれる、搬出のお手伝いだ。こちらも感謝。 片付けて、掃除をして、荷積みのトラックを待つ。 1Fの階段のところに猫の一家がいた。白黒ぶちの母猫が黒猫2匹と他2匹の計5匹でかたまっていた。一匹、好奇心の強い黒が、ときどきちょっかいを出しに来ては、母猫にたしなめられていた。歌舞伎町の野良猫。半端な田舎よりは、ずいぶん食べるのには困らないだろうとは思うけど、みんなそろってやせていた。がんばれ。 お世話になった稽古場は、本来は劇場。家に帰って、台本を開くと新しい木の香りがした。稽古中には、下の中華屋さんが何かをしこんでるおいしい匂いがダクトを上がってくるようだ。いくつものにおいの記憶が残る。 樺澤氏運転のトラックが来て、荷物を積む。こちらは、明日からお世話になる装置の塗り立ての塗料の匂い、それにむき出しの木材の香り。てきぱきとつみこんで、竜太郎さんと一緒にメッセージのマツダリクさんにごあいさつして失礼する。 今度来るのは6月のラ・カンパニー・アンの公演。今度は劇場としてお世話になる。 明日は劇場入り。
2006年04月15日(土) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
6場を稽古して、休憩のあと、通し稽古。今日は衣装をつけて。 今日も大門さんが差し入れを持ってきてくれる。竹の子ご飯にきんぴらごぼう、きゅうりのお漬け物。おいしくいただく。 通しは、前回よりも時間がのびてしまう。セリフが滞ったりした部分もあるものの、芝居を説明しようとしてしまいがちだったのが大きな原因だったと反省。特に僕が。 演じている役をかわいそがったり、正当化しながらの芝居は絶対にいやなのだけれど、今日は、どうもそっちの方向に傾いてしまったかんじ。やっていてとても気持ちが悪かった(自分がね)。 もっともっと突き放して、僕が演じるめちゃめちゃな人(かわいそうな人じゃない)をすとーんと舞台の上に放り出してしまいたいと思う。 今日はまみーが稽古場に来てくれた。僕の衣装のなおしをやってもらう。感謝。 解散した後、二丁目に顔をだそうかと思っていたのだけれど、予定を変更して、まっすぐ帰ることにする。もっともっと芝居がしたい。明日もがんばろう。 初日まであと3日!
2006年04月14日(金) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
昨日の続きの3場の小返しから。 大門さんとのややコミカルなやりとり。段取りにならないよう気をつける。 今回の稽古では、制作の竜太郎さんに、演出助手のような仕事をしてもらっている。声優さんだった経歴がある彼に、今回は、言葉のアクセントについてのチェックをとてもていねいにしてもらえている。 劇中、たくさん登場する「映画」という言葉。つい「えーが」と平らに言ってしまうのだけれど、正しくは、「えいが」と最初がきちんと高い、「い」の音もちゃんと発音する。 僕の鬼門は「手術」。つい「しゅじゅちゅ」と言ってしまっている。なんでこんなに書いたんだよ?と自分を責めたいくらい。それもかなりシリアスなシーンで出てくる言葉なので、ほんとに気をつけないといけない。「タキシード」「フィルム」、そんな言葉も、今風のたいらなアクセントで読んでしまうのを、きちんと高低をつけて発音する。「それだけで時代感が出る」と竜太郎さん。ほんとにそうだ。僕も「タキシード」とていねいに発するだけで、何か古めかしい時間に触れたような気がする。 続く、4場。前半の森川くんのやりとりのあと、後半は、大門さんの沢村源之助とのやりとり。下座の音楽を鈴木さんに入れてもらって、ほんとうに「糸に乗って」の芝居。七五調のセリフに僕も気持ちよくのっからせてもらう。座り芝居は客席から見えにくくなってしまうので、位置をていねいに調整する。それでも、最後には、僕も台本から自由になって芝居だけをさせてもらう。こんなことしたことない。大門さんが「劇場間違えたと思われるんじゃない?」と言っていたけど、そのくらい思い切りの歌舞伎、新派、大衆演劇、日本の芝居のおもしろさを、まずは僕が楽しませてもらっている。 その後は、休憩、そして、僕と森川くんのシーンをさらっていく、3場の前半、そして4場。お互いへの感情がどう深くなるのかを、稽古の合間の休憩時間にああだこうだとおしゃべりする。 一年前の「二人でお茶を TEA FOR TWO」もいっぱいおしゃべりしながら作ったなあとなつかしく思い出す。 続いて5場。僕と森川君だけの場面。はじめ、どうやってやろうかということを、二人がそれぞれに考えた結果、とっても成り立たないまま終了。成り立たなさがとってもわかりやすくて、大切なのはお互いをちゃんとかんじながらその場にいることだということが、よくわかった。二度目からは、その上で、小道具の扱いを工夫する。失敗しながら、いろいろチャレンジしていく。 初日まであと4日!
2006年04月13日(木) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
西ヶ原のスタジオで、ナオコさんにお願いするピアノを聞かせてもらう。「上海リル」のアレンジを何パターンか。場面の説明もしながら、いろいろ聞かせてもらう。録音はまた改めてということで。 降りてみるのは初めての上中里、知らない街だけれど、不思議にあったかい街並みが新鮮だった。 稽古は、昨日の通し稽古を踏まえての小返し。 ラストのセリフを大幅に変更。読んでもらって、まずは確認。うん、とってもいいかんじだ。これならきれいに幕が下りる。 音響の鈴木さんが今日からついてくれる。台本の最後に書いたト書きの音を流してくれた。イメージで書いたものなのだけれど、実際に流れてきたら、いい効果になっている。早速、これでお願いしますと伝える。 小返しの1場、2場は、音がいっぱい。これまではイメージするしかなかったものが、どんどん音を出してくれていって、とっても芝居がはずんでくる。気持ちの切り替えに、外の音を聞くというのが、芝居の中での大きな出来事になっている。さりげない、それでいて大げさなやりとりが続く今回の芝居では、相手のセリフと動きに、ずっと集中している。そのなか、ふっと聞こえてくる外の音が、今ここにいるんだなあという気持ちをささえてくれている。 劇中で、使う古いトランクを家から持ってきた。二十歳の頃、コクトーの「声」をやったときに買ったものだ。中には当時の芝居のチラシや台本や手紙やらがいっぱい入っていた。今日、出がけにその中から、養成所時代の卒業公演の写真を見つける。すっかり忘れていた。こんな写真があったんだとなつかしい。今もつきあいがある何人か、このとき以来会っていない多くの同期たち。二十歳チョイ過ぎの自分も、なかなかに新鮮。当時の僕は、今の僕を見たらどう思うだろう?とちょっと考えてみる。 一緒に見つけた、1984年の「王女メディア」のフライヤー。大門さんが出演していた舞台。増上寺で見たんだった。白黒で映っているコロスの女達の中、これがそうと大門さんに教えてもらう。 なつかし写真大会で持ってきた養成所の僕の写真。大門さんも昔の写真を持ってきてくれて、見せてもらう。とってもイケメンだ! ほんとに。 大門さんとの稽古は、「同じ芝居ができない」といってもらっているけれど、それで全然だいじょぶだ。同じ芝居をやろうとして、あれ、なんだか違くない?と感じてしまうより、ずっとちゃんとした時間を生きた気がする。今日もまたそんな思いを深くした。 1場の稽古をしながら、とっても汗をかく。僕と森川くんは汗だく、大門さんもうっすらと。動きの多い場面ではあるけどなぜ?と思っていたら、雨が降り出す前の湿気が多い時間だったようだ。稽古のあと、外に出たらけっこう強い雨足で雨が降り出していた。
2006年04月12日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 「ミッシング・ハーフ」稽古 |
朝から、富士見丘小学校。今日は、新六年生、第一回の演劇授業。扉座の体験教室だ。 遅刻して途中から見学させてもらう。 今日は歯科検診の日。保健室の前で小さな男の子がいるのに出くわす。目があったので、「おはようございます」と挨拶したら、小さな声で「演劇の人?」と聞かれた。「そうだよ。きみは何年生?」「三年生」「今日は歯科検診?」「うん」「虫歯あった?」「なかった」「よかったね!」とちょっとおしゃべり。 体育館に6年生全員が集合。去年と十数人の違いのはずが、とっても少なくかんじる。そのうちに、これから彼らは育つんだと気がつく。 卒業していった去年の6年生も、はじめはとってもちっちゃかった。一年でどんどん大きくなっていくんだなあと、これからの一年のことを考えた。 扉座のみなさんは、茅野さん、田中さんに、横内さんまで来てくれて、プラス劇団員、研究生、十数人の大所帯。今年もお世話になる音響の青木さんまで、大人が総出で、子ども達に演劇のおもしろさを体験させてくれた。 チームに分かれての「さよなら先生」。今年は、これまで以上にまとまりがよくてびっくり。みんな、とてもいい集中のしかたをしている。 これまでの2年間の先輩の発表を見ているからだろうか。積極的にやってやろうという姿勢がたのもしい。ただ、「上手にやろう」とがんばっている子がずいぶんいて、そのことよりも、自分らしく、その場にいて言葉を発していってくれた方がいいのになあと思うことも。 それでもやっぱり、今年もまた泣かされてしまう。青木さんの絶妙な効果音と音楽の入り方と、シンプルな別れの場面のセリフ。初めて見る子ども達が、芝居とかなんとか言う前に、場面の子ども達そのものに見えてしまう。 去年は、朴訥だけどていねいに言葉を発している子供たちに心を打たれた記憶があるのだけれど、今年は、彼らにきっちり向き合っている扉座の俳優さんたちにも感動した。 場面は駅のホーム。下手側が線路。上手側から走り込んできた子ども達に向き合って立つ先生は、子ども達のいきおいによっては、客席側から見ている僕たちにまるっきり背中を向けることになる。 芝居しようと思う役者は、つい、客席を向きがちだけれども、今日の扉座のみなさんは、そんなこと関係なく、客席に背中を向けて、子ども達に向き合ってくれていた。背中しか見えなくても、僕たちには、先生を見ている子ども達の顔がよく見える。それで全然いいんだ。俳優さんたちの背中を見ながら、観客の子ども達は何を感じただろう。 最後の挨拶で青井さんは、「上手な学芸会」になってしまうことへの心配を話していた。僕も、今から、上手にいいものをと目指すより、なんだかわからないけど、みんなで一生懸命になれるものを、楽しく作っていきたいと思う。今年のめやすにしたいと思うことがなんとなく見えてきたような気分。 給食をいただきながら、今日の感想を話し合い、これからの予定を確認する。今年は劇作家協会が関わる三年間の計画のまとめの年。どうまとめていくか、来年度のことも考えていかなくてはいけない。そのことを中心に、一度話し合いを持ちましょうということになった。 駅までの道を扉座のみなさんと歩き、横内さん、篠原さんと協会の打ち合わせ。「今年も始まったねえ」と言い合う。
稽古は、昨日の続き、5場と6場から。ていねいに組み立てていく。 今日も大門さんが、差し入れの牛スジと煮たまごをもってきてくれる。こんにゃくとちくわも入ってる。ダイエットにもなるし、コラーゲンもいっぱい。古漬けのきゅうりと大根にショウガをあえたもの、スナックえんどうを明太マヨネーズであえたものも一緒に。おいしくいただく。ごちそうさまです。 休憩のあと、通し稽古。とにかく通してみようということで。 スタッフのみなさんに見守られながらの初めての通し。 今日のところは1時間50分。もう少し短くなるはずだ。問題点もいろいろ見えてきた。 稽古の後、スタッフのうちあわせ。照明、音響を中心に。 帰り、見学に来てくれた小林くん、音響の鈴木さん、クニオさんと駅まで。鈴木さんは、扉座の研究所の卒業公演「LOVE LOVE LOVE 」の音響をやっていた方。今日の授業の扉座のみなさんの話でもりあがる。
2006年04月11日(火) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
当日パンフの原稿を書く。 稽古場では、稽古前に大門さん、森川くんと三人で当日パンフ用の対談の収録。記録用のカメラをまわしながら、妙に固くなりながら、それでも途中からは言いたい放題なノリに。 稽古は、昨日の続きの6場から。最後までいったん行って、それから、今日は1場からをさらっていく。 久しぶりの1場が、いいテンポで進む。終わりが見えると、最初がどのくらいでいけばいいのかというのがわかるからかもしれない。 続く、2場。森川くんが、自前のスーツ姿でいてくれるので、いろいろな芝居が具体的になってくる。帽子のあつかい、などなども。 大門さんとのやりとりの緊迫感をその前後の対比が見えてくる。 3場。短い場面をテンポ良く運ぶ。いっきにやって、思い切り息が切れてしまい、笑われる。そんなに激しい場面でもないのに、ぜーはー言ってしまっているのが自分でもおかしい。 続いて4場。僕にとっては一番つらい場面。はじめ、思い切り感情を外に出してしまう。一番やってはいけないと自分でもよくわかっている、手綱をまったくしめない、感情のままに動いていくもの。二度目は、そうではなく、感情ではなく、理性で律していくように努力する。それでも、ある一点を超えたところのいっぱいの感情を大事にしていく。 森川くんとの立ち位置、ややありえないような、動きだけの瞬間が、雄弁に何かを語っている。セリフじゃない、やりとりが、見えてくる。だから芝居はおもしろい。 大門さんとのやりとり。やさしく気を遣ってもらいながらの、激しいやりとり。最後は、お花があがってもいいくらいの、堂々たる幕切れだ。 続きは明日ということで、少し早めに終える。
2006年04月10日(月) |
「ミッシング・ハーフ」稽古 |
稽古のあと、衣装パレード。21時より。小池さんに見てもらいながら。 大門さんの衣装が豪華だ。沢村源之助のかつらもかけてもらって、すごい迫力。 森川くんには、時代がかったスーツをいろいろ着てもらう。 ノグとマミーがきてくれる。衣装についての相談にのってもらい、ノグには軍服についてのあれこれを今日も聞く。マミーには写真をとっていってもらう。 どんどん具体的に見えてきて、わくわく、ドキドキしてくる。初日まであと9日!
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