せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年09月16日(土) 「二人でお茶を」初日

 初日。ホテルはススキノのはしっこ、劇場まではタクシーで1000円くらいなのだけれど、少し早めに歩いて出かけることにする。約30分。いい気持ち。
 途中、地下街でよく通っていたパン屋さん、北欧に寄ってお昼の買い物。
 劇場入りして、準備をしていたら、メガネが壊れてしまった。ネジが外れたとかじゃなくてフレームが折れた。ああ・・・と思うが、舞台上ではメガネなしで芝居している。コンタクトはこの頃、合わなくて用意していないのだけれど、なんとかなるだろう。安いメガネを買うのも時間が微妙だし、札幌ではメガネなしで過ごすことにする。
 本番前のアップは、昨日のゲネプロで微妙だった5場と6場をていねいにさらっていく。
 今回の舞台では、初演のときと違って、楽屋が別々だ。というか、開演してからの着替えを森川君は上手の袖で、僕はやや大がかりなので(女装など)下手の楽屋を使うことにした。
 なので、開演前に、二人並んで準備を済ませ、よろしくお願いしますと挨拶して別れると、もう舞台上でしか会わない。これが今回、とってもおもしろい。
 場面が進むごとにどんどん変わっていく森川くんにドキドキわくわくしながら、新鮮な気持ちで舞台の上で生きている気がする。
 という話を楽屋でしていたら、これって仲の悪い、大物女優二人みたいだよね・・という話にもなったのだけれど。
 昨日のような緊張感はそれほど感じずに、さらっと初日マチネ15時開演。お客さんにたすけてもらいながら、また芝居が立ち上がっていった。
 初演よりもややタイムが短くなった1時間35分で終了。何が変わったのかはよくわからないけど、5分も短くなるなんて思わなかった。初演の時の「思いをこめる」芝居が、今回、さらさらと流れているからかもしれない。その分、間をとるところはずいぶん長いこと黙っているような気もするのだけれど。
 休憩時間に、バディさんの取材。見ていてくれたイケメン読者モデルの2人からインタビューを受ける。とっても若くて、かわいくて、あきらかに、「母親」な気持ちで質問に答える。思うことをいろいろしゃべらせてもらった。相澤さん、いい機会をどうもありがとうございました。
 ソワレは19時開演。間の時間があまりなくて、ちょっとあわただしい。コンビニで買ってきた食事をして、全6場の衣装、6ポーズの準備をしていたらすぐに開場時間になった。
 で、無事終了。お客さんにたすけられて楽しく終演。ありがとうございました!!
 森川くん、いっこうさん、本田さんとすすきのに出て、4人で初日乾杯しようということになった。海鮮ものがいいという話になり、なんとなく見つけた炉端焼き系の居酒屋。
 素朴なバイトの男子や、まっすぐ目を見てオーダーをとってくれるおねえさん(女子)など、とっても気持ちいい店。料理もお酒もおいしくて、満足。
 解散して、僕は明日のレインボーマーチの前夜祭に。微妙に遅くなったので、一度ホテルに戻って、第二部の札幌のクィーンたちのショーから見ることにする。
 買い出しに寄ったコンビニで会った、実行委員のイイくんから、昨日の舞台の感想を聞く。楽しんでもらえたようでとてもうれしい。
 ちなみに僕の札幌弁は、三分の二が合ってて、三分の一は微妙だとトモコちゃんに言われた。でも、そのおかしなところがおかしいから、今のままでいいと思うとも言ってもらう。
 会場に戻って、第二部のショーを堪能。札幌のショーは、いい意味でゆるゆるなかんじがとてもあたたかい。東京勢のメイリーやエンジェルが、ステキな貫禄で舞台を引き締めていた。
 ホールの隅で昼間の舞台を見に来てくれたジュソくんとおしゃべり。彼には、「二人でお茶を TEA FOR TWO」の札幌のエピソードをほんとにたくさんもらった。初演を見てもらうことができなかったので、今回とてもうれしい。
 ショーが一段落して、ダンスタイムになったところでお先に失礼する。調子に乗ってがんがん踊ってしまいたい気分だったのだけれど、メガネなしでよく見えないプラス、左耳が聞こえないので、おしゃべりもやや難しい。耳を治しておけばよかった、メガネをつくっておけばよかったとちょっと後悔。


2006年09月15日(金) 「二人でお茶を」公開ゲネプロ

 4時に起きて、ばたばたと準備をして出かける。
 3日間留守番のデリ子さんに森川くんが今日一日分のご飯をまとめてあげる。ものすごいいきおいで、わしわし全部食べてしまった。とってもうれしそうに。朝と夜の分をまとめて食べたら、明日の朝、シッターさんが来るまで食べるもの何もないのに・・・とちょっと心配する。
 6時55分羽田発。JALのカウンター前でいっこうさんと待ち合わせをして、さくっと新千歳空港着。
 本田さんとも合流して、札幌へ。会場のブロックは微妙に駅から遠い(近い?)ので、時間もあるし、歩いてみようということになり、カートを引いてテクテク歩いていく。
 10時に劇場入り。お世話になる劇場の前田さんにご挨拶。照明、音響のセッティングを全部しておいてくれた。ありがとうございます。
 トモコちゃんから、オペレーターをお願いしていたメンバーが来れなくなったという連絡をもらい、心配になり、急遽、照明をいっこうさん、音響を本田さんにお願いすることにする。さっそく打ち合わせ開始。
 お昼、となりにある「ファクトリー」のライオンでランチ。何を食べてもおいしく思えるのは、なんでだろう。札幌に着いて最初に食べたものがおいしくてちょっとほっとする。
 劇場にもどり、がつがつ準備をすすめるが、微妙に眠気におそわれ、アンコントロールな時間がやってくる。しかも、僕と森川くんは時間差で。
 2時に来てくれたリョウコちゃんに小道具、消えものの買い出しをお願いする。フライングステージの最初の札幌の公演の手伝いをしてくれたリョウコちゃん。今回もまたお世話になる。
 3時に、ベッドや机、その他の小道具が到着。ベッドはカネゴンの家から。机はリサイクルショップで見つけてくれたもの。舞台にならべて、位置を決めて、よし、これで行こうということに。今回、25年間過ごす、ホテルの一室ができあがった。
 今回、舞台の転換(小道具の出し入れ)を札幌のスタッフにお願いすることにしていたのだけれど、転換の時間がどれくらいかかるかわからなかったので、もう一つの保険として、場面の年代を書いた紙を持って、舞台に登場してもらうという演出を付け加えた。1980年から2005年まで6つの場面をきっちりマークしてもらう。これは照明や音響のきっかけをとるのにもとってもいいアイデア。これをトモコちゃんがやってくれることになった。転換の際の小道具の細かい出し入れ。年代を書いた紙をもってどっちから出て、どっちに引っこむか、などなどやってもらうことがほんとにもりだくさん。それでも、メモをとりながら、きっちりやっていってくれる。
 僕らはとにかく着替えの練習をしなくてはいけないので、照明、音響、それに舞台の転換のトモコちゃんの動きと合わせて、5時から場当たりを始める。
 確実に舞台に出ているときより、楽屋で着替えている時間の方が忙しいこの芝居。メークはしないものの、着替えを必死になってやっているうちに、眠気と疲れはどこかに飛んでいった。
 転換稽古が終了して、ちょっと安心する。本番は、もちろんメークあり。あとは僕は2分でつくる4場のドラァグクィーンがはたしてうまくいくかだ。
 初演のときはどうしても淡泊なメークになってしまったのが心残りだった。今回は、大きなまつげを奮発。それに、リキッドのライナーでなく、パウダータイプの黒いシャドーを用意。1場からアイラインを薄く、でもしっかり入れておくことにした。(この日は、開演前にうっかりシャドーまで入れてしまい、あわてて落とした。それでも微妙に濃いメークが残ってしまい、森川くんに「歌舞伎?」と言われた)
 明日明後日はレインボーマーチ関係のイベントが目白押し。スタッフや実行委員は本番を見ることができないので、公開ゲネプロをやってくれないかとトモコちゃんに言われていた。
 稽古期間も少ないし、朝来て、準備して、夜ゲネプロってできるんだろうか?と思いながら、通し稽古を見てもらうくらいのノリでお願いしますと言っていたのだけれど、ともかくはゲネプロをやってみることにした。もうやるしかないというかんじ。
 僕たちの予想より多くのお客様に見てもらいながらのゲネプロ開演。ものすごいいきおいで着替えをすませて、舞台に出るとほっとする。今回もまたそんなことを繰り返しながら、芝居ができあがっていくことにわくわくして、どんどん気持ちがもりあがって、終演。
 終演後の挨拶でトモコちゃんが声をつまらせた。客席から「がんばれ!」という声がかかった。僕も森川くんも楽屋で感動していた。みんなで芝居をつくったという実感がしみじみとわいてきた。
 トモコちゃんに呼ばれて、舞台からご挨拶。ホントは舞台装置が一式あるのだけれど、送料が大変だったので札幌のみなさんに用意してもらったということ。いいかげんな札幌弁をしゃべってごめんなさい。あれはちょっと・・・というのがあったら、こっそり教えてください、と僕。去年の春に初演したこの芝居をこんなに早く舞台になっている札幌で上演できたことに感謝しています、と森川くん。暖かい拍手をいただいた。
 終演後はとにかく、衣装のかたづけ。今回は、初演のときのマミーのように楽屋でスタンバイしてくれている人がいないので、全部自分できっちりやっておかないといけない。本番中に脱ぎ捨てていった衣装の山をかたづけていく。
 ホテルに近いすすきのに出て、トモコちゃんにカネゴンが新しく始めたお店に連れていってもらう。ご飯をおいしくいただく。カウンターの中のハイビスカス江さんともおしゃべり。
 カネゴンは、トモコちゃんと二人で今回の上演を実現してくれたイカすビアンだ。初めて会ったときの素朴な印象が、今は堂々とした存在感に変わった。最初に会った時以来の札幌の話をあれこれ。10回目のパレードという節目にこの芝居をやれていることが、ほんとにうれしい。どうもありがとうございます。
 その後、トモコちゃんと一緒にハーティ@カフェへ。ケンタとそれになつかしいショーコたちと会う。
 ホテルに着いて、原稿を一本書き、台本を読もうとするが、バタンキューと眠ってしまう。


2006年09月14日(木) 「二人でお茶を」稽古

 札幌行きの荷物をまとめる。ああ、もっと早くにやっておけばよかった・・と後悔しながら押入から衣装をひっぱりだす。結構な大荷物になってしまったことにびっくりしながら、カートをごろごろ引いて稽古へと向かう。
 今日は後半の3場を中心にした稽古。分量としてはそれほどではないのだけれど、短い場面でふたリの関係がどんどん変化していく気の抜けないシーン。
 1995年、2000年、20005年の3つの場面。時代が今に近いのと、二人の人物の距離が長い年月を経て近くなっているので、人物を作ることはちょっと横において、ただやりとりの深さを追求するかんじ。
 たった一年しか経っていないのに、稽古しているときの気持ちが微妙に違っているのがとてもおもしろい。それは、あれから何本もの芝居が僕の体をとおっていったせいかもしれないし、一度全部作ったものにあらためてもう一度取り組んでいるせいかもしれない。
 前はただただ一生懸命にやるしかなかったのが、今回は、少し距離をおいてああやろうこうやろうと楽しめているのだと思う。
 明日の朝の飛行機がとっても早いので、今晩は森川君の家に泊めてもらう。美猫のデリ子さんを見ながら、初演の初日前にデリ子さんがいる横で台本を書いていたことを思い出す。


2006年09月13日(水) 「二人でお茶を」稽古

 全6場のうちの前半、3場の稽古。
 動きながら、芝居を作っていく。
 この芝居は、短い場面の連続なので、仲の良かった二人が2分後には大喧嘩をしている。
 そのめちゃくちゃなかんじに体を乗せていくのがおもしろい。
 わくわくと稽古する。
 さもない台詞とやりとりが、あ、ここいいなあと思える場面になったりしているのを、確認しながら。
 札幌のブロックの前田さんとやりとり。照明や音響のお願いを快く聞いていただいた。感謝だ。
 前半3場といいながら、台本のページ数としては2場の終わりでちょうど半分になる(1場は長いので)。
 一番大変な1場が手に入って、2場と3場を稽古して、今日はここまでにする。いいかんじに頭がいっぱいになってる。
 帰りの電車で台詞を頭の中でさらう。初演の稽古では一度もしなかったことだ。覚えていることに驚きながら、ぶつぶつとしゃべり、冷たい雨の中帰ってくる。


2006年09月12日(火) 「二人でお茶を」稽古

 昨日につづいて稽古。
 今日も全体を読み合わせしながら、台詞の確認。
 この芝居は、相手とのやりとりがすべてで、緻密な動きが必要な場面というのはそんなにない。
 段取りも初演と同じでいこうと思うので、まずは、体にこの芝居を入れていく作業を緻密に。
 札幌の劇場、ブロックは楽屋が下手側。初演時の部屋の入り口は上手だったので、「出入りを逆にする?」という案もあったのだけれど、体が覚えている感覚を大事にしておきたかったので(変換する作業がめんどくさかった)、舞台奥の大黒幕の後ろを通り抜けることにした。
 もっとも舞台には壁がないので、板付きは、下手からそのまま可能だ。
 いっこうさんが来てくれて、森川くんのプロンプターをしてくれる。
 僕はいつものように、まだ台本が放せない。
 それでも、ああ、こうだったと思い出すことがいっぱい。この膨大な台詞の芝居がだんだん、手の内におさまってくるような感覚。
 帰りはいっこうさんと駅まで。 


2006年09月11日(月) 「二人でお茶を」稽古

 週末の札幌での「二人でお茶を」の稽古。
 昨日千秋楽だった森川くんの舞台の話などをして、まずは、読み合わせ。
 去年、1場ずつ稽古しながら書いていった芝居を、初めて一気に読む。
 いまさらながら、2人しか出てこないこの芝居の、台詞の量の膨大さにびっくりする。
 よくこんなものやったなあとおもってしまう。
 僕も森川くんも、この舞台の初演以来、何本もの芝居の台詞が体をとおりぬけていった。
 そんな体であらためて向き合う、この芝居の人物が、とてもなつかしい。
 さっくりと読んだあと、発送する荷物の確認。
 今回は大道具がない。
 この芝居のために用意した机や椅子、電気スタンドは、ほんとに古臭くていい芝居をしてくれるのだけれど、札幌往復の運賃がバカにならないということで、今回は全部札幌で用意してもらうことにした。
 舞台になるホテルの壁もなし。
 リノリウムの床と大黒幕と袖幕にかこまれて、ベッドと机と椅子だけの装置。
 照明も音響も札幌のみなさんにお願いすることになった。
 東京での初演とはずいぶん違った印象になることは間違いないのだけれど、このやり方もありだとおもう。
 とっても身軽に役者だけで出かけていって、全部用意してもらって、芝居だけをしてくる、そんなかんじ。
 荷物を確認したあと、もう一度読み合わせ。
 さっきよりは、ずいぶん体になじんできた印象。よーく覚えているところ、ぜんぜん記憶がないところなど、全体に濃淡がある。
 このムラをならしていく稽古をしていくことになるのだと思う。
 今日はここまで。


2006年09月10日(日) 「許しつづける女たち」稽古

 今日も劇作協で原稿書き。でかけに渋谷のデパ地下のラ・テールでお昼のパンとシュークリームを買っていく。僕はここのパンがとても好きだ。ついでがあると何かしら買ってきてしまう。
 体調を崩した、篠原さんのところの猫ボンネットちゃんは今日も入院している。突然具合が悪くなったんだそう。酸素テントの中でぐったりしているのに、篠原さんが少しなでたら、ニャーと鳴いたという話を聞き、僕もせつない気持ちになる。
 今日は、ドキュメンタリージャパンの角田さんをまじえて映像のからみを中心にした構成の打ち合わせ。
 全体像が見えてきて、作業もぐーんとすすんだかんじ。
 
 夜は「許しつづける女たち」稽古。幡ヶ谷にて。
 3場のラストまでという約束だったのだけれど、残り2ページを残して、ごめんなさいする。
 それでもキャストが全員登場した! 声の出演の山本くんも含めて。おかしな人たちがせいぞろいだ。
 3場のラストは、全体の構成をもう少し考えさせてほしいということで保留にしてもらう。
 どんどこ読んで稽古していく。
 初登場したタマキちゃん、スミケン、アッくん、それに膨大な台詞のミカちゃん、「意味がわからない」が口癖になってる役の有賀くん。みんなとってもいいかんじだ。
 札幌の「二人でお茶を」のため、僕は一週間稽古に顔を出せないということもあり、初めてみんなでのご飯にご一緒する。「ふらんす亭」で肉を食べる。楽しくおしゃべり。一息ついた気持ち。実は知り合ったばかりんのメンバーとすっかり楽しく一緒にいられる関係になっていることがうれしい。なんだかんだと終電で帰ってくる。
 台本のつづき、もっともっとおもしろいものにしていかなければとあらためて思う。
 なんとか乗り越えた大忙しの週末。ちょっと一息ついて、「二人でお茶を」の台本を読み始める。


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