せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年11月11日(土) 寒い日

 とても寒い日。一日家にいて、パソコンに向かい、いろんなものを書いている。
 富士見ヶ丘関係のもろもろや、来年のフライングステージの公演のための企画書の準備など。
 夜、「宮廷女官チャングムの誓い」を見る。あと一回で最終回。チェサングンとグミョンがいなくなってからは、いまひとつ盛り上がらないのだけれど、物語の行く末が気になって、録画までして見ている。最近見ているドラマはついにこれだけだ。


2006年11月10日(金) フライヤーデザイン

 一日、仕事の日。昨日は芝居三昧だったので、今日はわりきって仕事。
 夜、gaku-GAY-kaiのフライヤーのデザインをお願いしていたランベルティさんから、やっていただけるむねのメールが届く。よかった。今年はどんなイラストになるのか、とても楽しみ。


2006年11月09日(木) 犬づくり

 朝から富士見丘小学校へ。1、2時間目で先週の続きの犬づくり。
 前田先生が、先につくってくれた大きな「ボス」を見せてもらう。おお、すごい、かわいい! いいキャラだ。ボスってかんじがする。教室の後にぶらさげてあるのが、ほんとに、何かがいるような気配がする。
 先週の組み立ての続きで、今日はテグスをつけるのがメイン。
 アマノメくんとペアのキクチくんがお休み。僕はキクチくんのかわりに、先週よりもじっくりと犬づくり自体に参加。先週の全体を見ながらとは違う楽しさ。
 まずは、さあ、組み立てよう!と、足に針金を通して、胴体につけてみた。やった、できた!と立たせてみたら、立たない。足に開けた針金を通す穴の位置が左右でずれていた。どうする? 直そうということで、やりなおし。今度は、ちゃんと自立するようになった。
 つづく、頭をとりつける段階で、また問題発生。首のパイプの上と下の穴が並行じゃなかったようで、首がかしいでしまう。どうする、アマノメくん? これはこれで味があるという彼の意見で、このままでいくことにした。
 頭がついた犬には、糸をつけて、ホットボンドで結び目を固めていく。こんな道具が今の小学校には当たり前のようにあるんだとびっくり。
 僕らのチームもなんとか、この作業までたどりついて、今日はここまで。あとは、毛や耳や目や尻尾をつけていくだけだ。
 早くできたチームから、好きな犬を選んでいく。
 一番進んでいる、イイダくん、マツザワくんチームは、「銀二郎」を選んだ。和風の布をもらって、早くも型紙をあてて裁断している。
 アマノメくんは、11番目の謎の犬を選んだ。登場する犬は10匹なのだけれど、ボスが先にできてしまったので、10チームのうちの1つがあまってしまう。壊れたときの予備でも?ということだったのだけれど、「11匹にします」と宣言。まだ名前がなくて、一覧表に「なぞの犬」と書いてあったので、そのまま「なぞの犬」として登場してもらうことにした。今年もまた、いつのまに、こんなふうに、その場の思いつきというか、現場で生まれたアイデアを活かしていっているのが不思議だ。
 僕は、千枚通しを引き抜いて、こわしてしまったり、ラジオペンチで針をはさんで折ってしまったりと、誰よりも、壊し屋だった。反省。
 いったん、校外に出て戻った、昼休み。学習発表会の練習のため体育館に向かっていたら、図工室に入ろうとしている女子とばったり。1,2時間目の作業が遅れているので、糸とつけるところまでを休み時間に仕上がるとのこと。じゃあ、僕も手伝うよと一緒に図工室にもぐりこんで、ばたばたと糸をつける。予鈴が鳴る前に、なんとか終了。よしと、一緒に体育館へ移動する。
 5時間目、学習発表会練習。
 1時間だけなので、まずは通してみる。その後、感想というか、もっとこうしてみたらどうだろう?ということを言わせてもらう。
 「おーい、サーカスが来たぞ!」というセリフ。「おーい!」がなかなかひろがっていかない。どこにいる人を呼んでるのか、誰を呼んでるのか?と質問、いろいろやってみてもらう。
 半分空いた体育館の戸から、校庭で体育の授業をしている森江先生が見えた。「森江先生を呼んでみて」とお願いする。「気がついて、こっち向いてくれるように」と。「森江せんせー!」叫んでくれるが、森江先生は気がつかない。何人かにチャレンジしてもらう。最後まで森江先生には気づいてもらえなかったけど(授業中だものね)、いろいろな声が聞けてよかった。
 クロアチアの子供達から届いたゾウの絵を手にして、彼らの言葉を伝える場面。聞いているみんなは、話している人の方を向くのだけれど、全部で4人が順番に立ち上がるタイミングに間があって、一度、なんとなく正面を向いてしまう。なので、とぎれることなく、見続けていられるように、「前の人のセリフが終わったらすぐ話しはじめて」とお願いする。立ち上がって、絵を持つ準備も早めにしておく。
 「ゾウが来た!」「どこ?どこ?」「ほら!」というやりとりが、ラスト近くにある。このゾウが観客に見えたいなあと思った。「どこどこ?」というセリフは一人のものだけれど、全員で「ゾウが来た!」と言っている彼女に注目。「ほら!」と客席正面を指さすと、全員でその指の先にいるゾウを見る。
 実際にいないものでも、みんなが見れば、観客に見えてくるからねと話す。それが芝居の、演劇のおもしろいところなんだよと。
 授業のあと、渡り廊下を歩きながら、1月に発表する舞台のタイトルについて、先生方と話す。1組からいただいたものの他、2組さんは、まだ集計していないということで、箇条書きにしたものをFAXで送ってくださいと話す。FAX番号は阿部先生の机に上に置いておきますからと。
 帰り、校門を出たところで、阿部先生によびとめられる。今、あつめたタイトル案が書かれた用紙の束を走ってもってきてくれた。感謝。今夜中に決めて、ご連絡しますとお話する。
 夜、トランスプロジェクトの月嶋紫乃さん、冴瑪悠さんと新宿で待ち合わせ。
 トランスジェンダー、性同一性障害、GIDのみなさんの劇団のお二人。
 公演にうかがったり、フライングステージを見に来てもらったりのおつきあいはあるのだけれど、こうしてお話しするのは、初めて。
 来年の8月の次回公演「双頭の性。」のことをうかがい、フライングステージのことをいろいろお話しする。
 演劇関係のいろいろな人と話す機会はこの頃とても多いのだけれど、やはり特別な気持ちになる。ジェンダーやセクシュアリティの問題をメインにとりあげて、だから演劇をやっているという芯の部分が、とても近しい人たちとのやりとりは、僕にとても元気をくれた。「双頭の性。」、未読なので、今度読んでみようと思う。


2006年11月08日(水) 風呂

 富士見丘小学校のDVDのテキストに向かう。早くこれを仕上げて、今年の台本をメインにしないと。だんだん気持ちがあせってくる。
 ひさしぶりにゆっくりとお風呂に入る。夏の間はシャワーで過ごすことが多かったので、おおもう冬なんだなあという気持ち。オイルヒーターもそろそろ物置から出してこないといけない。


2006年11月07日(火) 学習発表会の練習

 予定が変更になって3、4時間目の授業にうかがった富士見丘小学校。来週末の学習発表会の練習だ。
 今日は音楽の畑先生が来てくださって、音楽との合わせを中心に。
 クロアチアから送られてきたゾウの絵がパネルになっている。いろんなゾウがいてほほえましい。それがゾウ?というものから、まるで写真のように緻密なものまで。
 3時間目のあと、5分間の休み時間。あけた4時間目はみんな急に元気に生き生きとしてきた。やっぱり身体が暖まって、気持ちも盛り上がってからのほうが、おもしろくなるんだね。
 みんなで歌っているときにつまらなそうな顔をしている子を列から連れ出した田中先生。楽しそうに歌ってるみんなのようすを見てご覧ということ。
 たしかに列になって(合唱団のような隊形)並んでると、自分以外の人の様子はほとんどわからない。こういう群読と合唱でも、お互いを見るっていうのは、大事なことなんだ。列に戻った子たちは、みんな前よりもずっと生き生きとした表情になっていたと思う。
 最後に、篠原さんと僕はひとことずつ(?)感想を伝えた。
 体育館の一番後に座ってる人に届くように声を出すともっとよくなるということ。鴻上さんが授業のときに言っていた、「まず身体を楽しく動かしていると、気持ちも楽しくなってくる」ということは、ほんとにそうなんだなあと思ったということ(だから、どんどん楽しく動いてみよう!)。
 1年生から5年生までのみんなが聞いているこのお話は、全員で一つの物語を語っています。戦争が激しくなってサーカスのゾウが動物園に来たこと、どんどん動物が死んでいったり殺されたりしたこと、戦争が終わったこと、などなど、セリフで伝えなければいけない大事な情報は、それが聞こえないと、お話全体がわからなくなってしまいます。みんなで一つのお話を、下級生のみんなに伝えてあげてください。永井さんが、即興劇の授業で言っていた「場を支える」ということは、今回の発表でも、とても大事なことです。みんなで、このお話を支えてみてください。本番までまだ一週間ありますね。もっともっとよくなるのを楽しみにしています。
 今年度、学習発表会の練習を見学させてもらっているのは、3カ年計画の最後の年の今年、演劇授業でのノウハウを先生方に伝えたい、現場で使える言葉としてお渡ししたいと思っているからだ。
 ただ、演劇をやろうというのは、なかなかむずかしい(富士見丘の子供達にはそうでもないかもしれない。低学年からワークショップをいろいろやっているから)。だから、こういう学習発表会や学芸会での演劇発表の練習というのが、とっかかりとして一番わかりやすいんじゃないかと思う。これは前回、杉並第一小学校におじゃましたときにも思ったことでもある。
 篠原さんと話したのは、「場を支える」といった言葉を共有できるといいねということだ。先生方と子供達が同じように演劇の言葉を共有している。
 このところ、一年目の授業の記録DVDのテキストをつくっているせいで、よりいっそう現場の先生方に受け渡したいという思いが強くなっているんだと思う。テキストを書きながら、今日のような現場にいられることは、きっと意味のあることだと思う。
 明後日は、1、2時間目の「犬づくり」のお手伝いにまたうかがう。前田先生から、一体先行してできあがりつつある犬のようすを聞く(たぶん「ボス」)。次回は、糸をつけたり、犬らしいかざり(毛)をつけたりする作業。どんどんおもしろくなる。どんな犬たちが生まれてくるんだろう。
 お昼、給食をいただいて、失礼する。いつもの演劇授業以外のイレギュラーな授業でうかがっているのに、給食までいただいてしまって、ほんとにもうしわけない。いつもごちそうさまです。
 文科大臣に届いた自殺予告の手紙の話をひとしきり。いじめと自殺。手紙の中にあった「先生は何もしてくれなかった」という言葉がせつない。まだ何とかなる。死んじゃだめだよ。君が死んだって、いじめたやつらは心を入れ替えたりしない。何も変わらないんだから。まずはむりやり学校に行くのをやめてみようよ。何ヶ月かの休みなんて、長い人生を考えたら何でもない。僕も、中学のとき、登校拒否してた経験があるから言うけど、ほんとだよ。篠原さんと二人、元いじめられっ子同士として話をする。


2006年11月06日(月) 反省会とミーティング

 夜、非戦を選ぶ演劇人の会のミーティング@梅ヶ丘ボックス。
 梅ヶ丘の駅前は、しばらく見ないうちにまた様変わりしていてびっくり。北口の風景が全然違う。大きな自転車置き場ができているのにも驚かされた。
 8月のリーディング(@新宿スペースゼロ)の反省会とこれからのこと。
 根岸さんが差し入れしてくれたかやくご飯のおにぎりとお寿司をいただきながらの話し合い。
 来年に予定している次回のリーディングについて。選挙の前になんとかやれないだろうかと、あらためて計画を立ててみることになった。
 ひさしぶりに集まって、いろんなことを話すことができて、ほんとによかった。
 前回のリーディングは、「ムーンリバー」の楽日の翌日で当日しか参加できなかった。実行委員全体として、これからの会の運営のしかた、当日の準備、打ち合わせについて、反省するところも多かったけれど、反省したんだから、あとは次に活かせばいいというだけのことだ。
 疲れてやめてしまうというのが一番つまらないと僕は思う。どんな運動でも、ある程度の期間が過ぎると、「これからもつづけるのか?」という問題にぶつかるんじゃないだろうか。前回のリーディングは、ちょうどそんなタイミングだったかもしれない。
 でも、ここで声を上げるのをやめるのはいやだ。なんだか、敵の思うつぼじゃないかと思う。
 常田さんが話してくれた「主権在民」という話。常田さんのお母さんが、学校で憲法についてまず教わったのは、「戦争放棄」も大事だけれど、まず「主権在民」ということ。私たちは、政府が間違ったことをしないよう、いつも見張っていなくてはいけない。
 ほんとにそのとおりだ。政治家にまかせてしまうんじゃなくて、僕たち一人一人が、もっと世の中のことに目を光らせ、耳をすませていなくてはね。


2006年11月05日(日) 月夜

 早起きして、掃除と洗濯。今日は一日天気が持ちそう。何度も何度も洗濯機を回して物干し一杯に干す。クローゼットから出した冬物のシャツや毛布でも洗って、母親にあきれられる。出しっぱなしだった冷風扇も物置にかたづける。オイルヒーターはまだ出さない。部屋がちょっと広くなった。
 弟達が来る。久しぶりに会うのだけれど、妹の家にすぐ行ってしまって、僕はいつもとかわらない日曜日。仕事に出かける。
 予定がおして、行こうと思っていたぷれいす東京のイベントをパスする。東くんがリーディングで出演していたのだけれど、残念。ごめんなさい。
 家について、教育テレビでやっていた「小学校に英語がやってくる?」を途中から見てしまう。小学校の授業に英語を取り入れることについての教師と子供、海外(韓国)での実情などをていねいに取材している。気がついたら「英語」を「演劇」におきかえて見てしまっていた。
 小学校の英語の授業は、総合的な学習の時間で行われているのだそうだ。小学校の英語の授業のようすがいくつか紹介されていたけれど、それはほとんど英語を使ってのコミュニケーションやゲームだった。日本語でこれをやると、そのまんま演劇になるんじゃないかなあと思ったりした。だったら、先に演劇をやろうよとも。
 その後、篠原さんと電話で打ち合わせ。メールのやりとりの約束をして、それぞれ原稿に向かう。いい月夜。


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