せきねしんいちの観劇&稽古日記
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篠原さんと二人、来賓席の一番前で見せていただく。近くには宮校長先生や近くの浴風園のお年寄りたち。 まずは3年生、練習も見せてもらった「わが町高井戸・高井戸ばやし」。この間、熱心に意見を言っていた、サクヤくんが、今日もがんばっていた。この間以上に、注意して見てしまう。みんなきれいに獅子舞ができていた。拍手。 4年生の「伝えあうということ」は、練習のときよりも、声がよく聞こえて、とてもわかりやすくなった。車いすやアイマスク体験のシーンでは、保護者のみなさんからも笑い声が聞こえた。拍手。 休憩時間、今年卒業した子供達が何人も来てくれる。みんな兄弟が出演しているのだそうだ。今年の演劇授業の話をいろいろする。もうじき試験なんだそうだ。中学生はたいへんだ。 休憩開けは1年生の「あきとなかよし」。カレンダーが登場して、夏休みの風景がひろがる。セミを捕ろうとする子供達。そこへ「カレンダーをめくり忘れてた」と声があり、場面はいっきに秋になっていく。この展開がとてもおしゃれだった。 みんなで育てた朝顔の枯れ枝でつくったリースを見せてくれたり、Tシャツに秋のいろいろ(落ち葉など)をつけたのを着てみたり。なかなか着られない男の子が一人いて、ようやく着られたときには、大きな拍手が。でも、彼は泣き出してしまった。びっくりしたんだねえと、篠原さんと言い合う。でも、しっかり歌は歌ってた。拍手。 続いて、2年生の「大きくなあれ」。みんなで育てたさつまいもの成長記録を大きな絵本をめくりながら発表。子供達の体験授業に、多くの大人が手を貸しているのがすばらしい(3年生の取材もそうだ)。子供達が拾い上げた大人の声は、どれもすばらしい。さつまいもの茎が、太陽に向かって伸びていくんだということを、僕は初めて知った。拍手。 5年生は、「富士見キッズニュース 〜発信!わたしたちの街『杉並』」。ニュース形式で、富士見ヶ丘の町を取材したものを発表。キャスターが3人、それにQ出しをするディレクターが1人。背景に映像を出して、自然や治安のことなどが、つぎつぎ担当のレポーターから報告される。 自然がどれだけあるかという発表の中では、身の回りの昆虫や小動物が紹介された。カエルやかまきりにまじって「バナナ虫」というのが登場。どんな虫なんだろう? 今度聞いてみよう。 犯罪の発生率の調査では、杉並区がとても「空き巣に入られやすい町」だとの報告が。客席がどよめいた。地域としては中央線の沿線あたりが中心なのだけれど、それにしても「空き巣に入られやすい町」って・・・。 他にもバリアフリーや、どのくらい空気が汚れているかなどなど、興味深いレポートがたくさん。 5年生は、NHK放送体験クラブでの学習を受けて、それを踏まえての発表になったとのこと。いろんな経験をした上での発表というのはおもしろい。ただ行ったというだけでなく、ちゃんと形を変えて、子供達が作り出す何かに生まれ変わっている。拍手。 一昨年の6年生の担任だった大島先生が構成した、演劇形式(キャスターとディレクターとのやりとりなどなど)の発表がとてもうれしく思えた。 最後は6年生。こんな間近で見るのは初めて。どうなるんだろうかとドキドキする。準備の最中に緞帳が開いてしまっていて、最後に登場するゾウの絵が見えてしまったのがちょっともったいなかったね。 それでも間もなく始まった「象をください〜クロアチアからの手紙〜」は、何度も練習を見ている僕もびっくりするくらい「演劇」だった。 体育館の入口に貼ってあった模造紙いっぱいに、彼らが今回調べたいろいろが書かれていた。一枚一枚記録にとっておきたいくらいの緻密さ。それもあって、この舞台があるというのがすばらしい。 一昨日の練習に比べて、みんなひとまわり輪郭がくっきりしたようないかたをしている。セリフも歌声も、しっかりしている。歌っているときの表情も生き生きとしている。拍手。 田中先生に後で聞いたのだけれど、昨日の学内向けの発表のあと、みんなで工夫をしたのだろうとのこと。歌いながら、身体を揺らすのも、きれいに波が生まれていた。感動してしまう。客席では涙ぐんでいる大人が何人もいた。 終わって、給食をいただきながら、「6年生は演劇だったねえ」と篠原さんと言い合う。4月からの演劇授業が、こんなふうに活かされてくるなんてと、ほんとにうれしくなった。 それぞれ衣装を工夫してきた子供たち、ゾウを殺せと迫る大人役のアマノメくんとナナコちゃんは、銃を用意してきていて、迫力が倍増(アマノメくんの銃はイトウくんが持ってきたそうだけれど)。短いやりとりなのに、ちゃんと芝居になっていた。 5時間目。僕は1組、篠原さんは2組を担当して、それぞれのクラスに。教室にうかがうのはまだ何度目かなのだけれど、なんだか居やすさが増している気がする。今年は、子供達との距離がこれまでに比べて早い時期から近く感じられるようになった。ここ何回か学習発表会の練習にうかがっているせいもあるかもしれない。 来週のオーディションの説明をして、全体をひととおり読んでみる。誰がということではなく、一人一つずつのセリフを順に回して。終わったら、後半をもう一度と思っていたのだけれど、時間切れ。それでも、読んでもらったことで初登場のキャラクターが少し身近になったんじゃないだろうか。 放課後、先生方とオーディションのうちあわせ。どんな決め方をするのかをもう一度確認する。 帰り、篠原さんと駅前のドトールでうちあわせ。感想を言い合い、これからのうちあわせ、それにその他のおしゃべりもいろいろ。
2006年11月17日(金) |
オーディション用台本 |
今日はと明日は富士見丘小学校の学習発表会なのだけれど、明日うかがうことにして、仕事と台本書きの日に。 明日の学習発表会のあとで、オーディション用の台本をこどもたちに渡すことになってる(本番前に渡すと、本番そっちのけで読んでしまうかもしれないので・・・)。 篠原さんは早く書きあげてくれたものを送ってきてくれたのだけれど、僕は押しに押して(またしても)、結局、朝までかかってオ担当部分の台本を仕上げる。 とにかくこれで、65人分の役のセリフが、少なくとも一人一つはあるようになった。 この抜き書きとこれまでのストーリーの説明から、子供達には希望の役を選んで、来週のオーディションにのぞんでもらう。 当初、母親という設定でいた役を、祖母に変更させてもらう。11匹の犬のキャラクターは、どうやら立ち上がってきたんじゃないかと思う。
富士見丘小学校の明日、明後日の学習発表会の全体練習。 全学年のリハーサルを見せていただこうと、篠原さんと1時間目からうかがう。 来週のオーディションの準備(台本書かないと!)や、記録DVDのテキストづくりも終わってない僕たち。富士見丘駅から一緒に歩きながら、ほんとは今日はごめんなさいして、台本書いてた方がよかったかなあと言い合う。 でも、うかがってよかった。 1時間目は、3年生。「わが町高井戸 高井戸ばやし」。地域の取材をして、高井戸囃子を最後に演奏する。映像をまじえたこの発表自体もおもしろかったのだけれど、終わったあとに感想を言い合う時間がよかった。 獅子舞をしていた男の子(サクヤくん)が、もっとこうしたらよかったということを、みんなに対してものすごくきっちり言っていた。一つ言い終わっても言い足りなくて、何度も何度も手をあげる。言うことはもっともなんだけど、なんだこの集中というかがんばりかたは?と思っていたところ、別の男の子が「今日はできなかったけど、本番ではちゃんとやります」と言って、ひとだんらく。 見ていうるうち、一昨年の学習発表会のことを思いだした。当時、彼らは一年生で、ものすごくきっちり踊っていたアリを演じていたのは、サクヤくんじゃなかっただろうかと。森の生き物たちがいっぱい登場するその1年生の発表で、同じに踊ってるのに、なんだか目がいってしまう男の子(アリの役)が一人いた。その子と今日のサクヤくんが、一生懸命意見を言っている姿が重なった。思い違いだったら、はずかしいのだけれども・・・・ 富士見丘小学校とのおつき合いも今年で3年目。毎年6年生だけを見ていたつもりなのだけれど、こんなふうに記憶に残っていることもあるんだと思ったら、とてもうれしくなった。これから、ずっと演劇の授業をつづけていったら、サクヤくんと同じ学年の子供達はどんな6年生になるんだろうと思った。演劇授業の最初の年の卒業公演を1年生として見た彼ら。彼らをずっと見続けていけたらいいなと思った。 続く、2時間目は4年生。「伝え合うということ」。障害のある方々との交流をもとに、車いす体験、アイマスク体験(アイマスクをして、手を引かれながら歩いてみる)などをやってみる。後半は、手話を使っての唄。 これもとってもおもしろかった。あとでうかがったのだけれど、子供達が実際に体験したときの言葉やエピソードをもとに構成されたのだそうだ。言葉がとても生き生きとしていてすばらしかった。 また、全員でのディスカッションの場面での、全員が話し合いに参加しているようす、客席に背中を向けて、座っている姿の雄弁さなどなど、すばらしい場面がいっぱいだった。 「伝え合うということ」というタイトルは、障害のある人たちが「伝え合う」ということがメインであるのだと思うけれど、この発表をつくりあげた、子供達がこの発表をみんなに「伝える」ということにちゃんと取り組んでいるのがすばらしい。 担任の見米先生は、演劇授業の一年目、一昨年の六年生の担任をしていらした。演劇授業が、きっちり、今回の学習発表会に活かされているということが、とてもよくわかった、ほんとうにうれしかった。 20分休み、校長室で、篠原さん、平田さんと来週のオーディションの打ち合わせ。今、決めなければいけないことがいっぱいあることが判明して、1、2、5年生のリハーサルはごめんなさいする。 オーディションの準備をすすめる。6年生全員分の役の確認とセリフの確認。 給食をいただいて、お昼休みいっぱいかかって、一息つく。 5時間目は、6年生のリハーサル。 通しての練習。体育館に並んだ椅子に座って、正面から見せてもらう。 ひとまわり大きく、くっきりとした輪郭になったような印象の舞台。 午前中の2学年を見たせいか、さすが6年生だなあと思えてくる。 最後に感想を伝える。発表が終わった今の気持ちと始まる前の気持ちの違いを考えてみよう。どんなふうに違うかな? だんだん、積み重なっていかなくてはいけないけど、一番はじめも、今のもりあがった気持ちで始めてみよう。そうするともっともっとたくさん積み上がって、高いところにみんなでいけるからねと。 授業のあと、田中先生、阿部先生、平田さんと一緒に、オーディションの打ちあわせ。去年の6年生のオーディションがどうだったかということをまずはお話する。若林先生と森江先生がどんなふうに考えてくださったかを。 その上で、今年はどうしましょうかという相談。僕たちより、ずっと子供達のことがわかる先生方に、一番いい方法を決めてもらう。 来週の水曜の午後がオーディション。それまでに子供達にオーディション用の台本と配役一覧を渡さないといけない。 明日明後日は、学習発表会の本番なので、土曜の終了後、5時間目の授業を、オーディションの説明にあててくださることになった。 それぞれのクラスで僕と篠原さんが説明をして、新らしい台本をみんなで読んでみる。合同でやるより、読む機会が増えた方がいいだろうという判断。 打ち合わせの最後に、今年は去年以上に、先生方との打ち合わせが出来ていることについてのお礼を伝える。忙しいなか、ほんとに時間をつくってくださっていることに感謝だ。 帰り、篠原さんと歩く駅までの道、去年の6年生、一昨年の6年生の何人も出会う。みんな大きくなってびっくりだ。「おぼえてる?」と聞かれて、「おぼえてるよ!」とこたえる。 朝8時半から、夕方4時過ぎまで、一日中いたことになる今日だけれど、やっぱり来て良かったねと篠原さんと言い合った。 夜はオーディション用の台本の僕の担当部分をせっせと書く。これまで子供達が書いてくれた作文を引っ張り出して、役名や設定に活かせるものを拾い上げていく。 夜中に篠原さんから、篠原さんの担当分が仕上がって送られてくる。僕は、まだ仕上がらない。明日、一日がんばって、しめきりは、明後日の朝だ。
夕方から、大門伍朗さんの一日限りの特別公演に伺う@篠原演芸場。 樺澤氏、なおぞうさん、クニオさん、小林くん、對馬さん、東くん、サトミちゃん(お母さんも!)と一緒に見る、豪華&盛りだくさんの大衆演劇。 ビールを片手に、全編楽しく拝見する。各劇団の座長総出演の第一部「豪華なミニショー」のあと、第二部「はぐれ草」。大門さんは、気だてはいいのに器量が悪い大店の姉娘をせつなく公演。「ムーンリバー」に出演してもらった羽田さんも、若い衆&大家さんの役で出演してるのが、とっても新鮮。 声を高くつくらないでの女形の芝居や、客席とのやりとりなどなど、わくわくおもしろいことがいっぱい。 第三部のショーで、大門さんは、「九段の母」でまず登場。ほんとのおばあちゃんになって、客席から歩いていく姿が、見事だった。 歌舞伎座で見る長唄や清元の踊りとは違って、歌謡曲に乗って繰り広げられる踊りは、見ていてとてもわくわくする。退屈しないのはなんでだろう?とふと思ったのだけれど、そんなの当たり前でみなさん、お客様を楽しませるために工夫をしているんだからと気がついた。 芝居があって、ショーがあってというのは、僕らが毎年やっているgaku-GAY-kaiとおんなじだなあとも思った。意識はしてなかったけど、なんだそうなんだと思ったら、またいろいろ楽しいことが思いつけそうな気がしてきた。 ちなみに、大門さんが、今年のgaku-GAY-kaiに出演してくれることになった。芝居じゃなくて、踊りを1曲だけれど、今から楽しみだ。 終演後、大門さん、それから羽田さんにご挨拶。みんなでわらわら駅まで歩き、對馬さんと一緒に埼京線、武蔵野線、東武線で帰ってくる。
午前中、劇作家教会で理事会。もろもろの議題と一緒に、来年度の富士見丘小学校の授業についての話も。もうすぐ来年だ。今年もおしまいだと思うと感慨深い。 教育部としてこれからどんなふうに富士見丘での授業がつづけられるか、また、広げていけるか。考えることはいっぱい。
今日は1時間目が学習発表会の練習。家を出るときはとても寒い冬の朝なのに、電車を何度も乗り換えて富士見ヶ丘に着く頃は、小春日和のあたたかな日になっている。 校庭での全校集会から帰る子供達とすれちがう。6年生は、まっすぐ体育館に向かったはずと、あわてて体育館に行ったら、まだ誰もいなかった。 真っ暗でしーんとした体育館。渡り廊下の向うから、六年生がやってきて、無事合流。女子に「朝早くからありがとうございます」と大人びた挨拶をされる。 今日も畑先生の伴奏つきで通してみるのがメイン。初めに田中先生が、「今日は寒いので少しゲームをします」と宣言。みんなで走り回って、田中先生が手を叩いた数のグループをつくって座るというもの。5人、6人、9人。僕も一緒になって走り回る。ここ何回かの学習発表会の練習と、犬づくりに参加しているせいで、なんだかみんなとの距離が近くなったような気分。でも、練習はきっちり見せてもらう。 まず、前回、僕が提案した後半のゾウを見つける場面を見せていただく。「練習したんですよ!」と田中先生。なるほど、みんなきっちり正面にいるゾウを見ているのがわかる。よしよし。 続いて始まった通しの練習は、朝一ということで、まずはなかなか声が出なかったり、みんなで声を揃えてのセリフの勢いがいまいちだったり、微妙なかんじではじまった。それでも、途中の唄「動物がいなけりゃ、動物園じゃない!」あたりから、声も本調子に、ノリもよくなってきた。 お休みの子の代役は、次のセリフを言う人が二人分語るということに。今日お休みだった人の分もルイちゃんが、がんばった。前の人のセリフはたしかに覚えるものだけれど、実際やるのはなかなか大変だ。でも、そのちょっと大変なことをやってるせいで、ルイちゃんのいつものパートも、とても生き生きとしたものになっていた。おもしろいなあ。 途中で登場した、ゾウの絵(子供達が遊んでる)はとても生き生きとした素晴らしいものだった。先週の犬づくりの時間、特活室で描いてたのはこれだったんだ。 終了後、伝えた感想は、最後に出てきた声をはじめから出せるようにがんばってみようということ。大勢いるからだいじょうぶだと、全員が思うと、すとんと元気がなくなってしまいます。それと、冒頭の国の名前をみんなで言うところは、初めの「インド!」の人ががんばると、つづくみんながんばれるね。責任をかんじてがんばってください。 11月の体育館はとっても寒い。Tシャツ一枚の子も何人かいたけど、すわりっぱなしで、授業の終わりには、みんな「さむーい!」と言いながら、外に飛び出していった。 今日の5、6時間目で、先週のつづきの犬づくりをするとのこと。僕は、今日は失礼しなくてはいけない。田中先生に、「何か注文はありますか?」と聞かれたので、「だいじょうぶ、おまかせします」とこたえる。犬づくりチーム以外は、菜園の堆肥運びをするそう。総合の時間ならではの使い方だ。ともあれ、早めに犬をつくってくれるのは、とてもうれしい。11匹の個性的な犬たちを、ていねいに描きわけないと。 今度は、全体リハーサルの日にうかがう予定。犬たちがどんなふうにできあがってくるか、楽しみだ。
2006年11月12日(日) |
ラズカルズ「火取虫」 |
午後、メジャーリーグで樺澤氏と助成金関係の打ち合わせ。今年もまたこの季節がやってきた。駅前で買ったケーキを食べながら、あれこれ話して、宿題をもってかえる。 夜、ラズカルズ「火取虫」@劇場MOMO。 松本たけひろくん、江原さん、まじりんたちのユニットの旗揚げ公演。 ぱっとしないラーメンやの二階を舞台にした、しみじみと切ない人間模様。まじりんは、SMの女王さま。黒いビキニ一枚の澤唯さんを赤い縄でしばりあげたりするのを実際にやって見せてくれる。まじりんの女王さまは、「ほらこわいだろう!」と脅すのではなく、淡々と追いつめていくかんじが、ステキだ。ちょっと怖いはずのSMが、なんだか不思議な儀式のようにだんだん見えてくる。セクシーな雰囲気はそのままで、ちょっと楽しくなったりして。僕だけか・・・? 終演後、山本くんに声をかけられる。久しぶりにおしゃべりする。新国立の養成所ももうじき卒業。初めて会った頃より、ぐーんと男っぽくなった印象。たのもしい。
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