せきねしんいちの観劇&稽古日記
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夜、マルゴリータさん宅へ、年末のgaku-Gay-kai以来、預けっぱなしの荷物(女装関係)をピックアップしにうかがう。 途中で、イチゴと黄色いチューリップを買って、手みやげというか長く預かってもらったお礼がわりに。 短い時間の立ち話のみで、荷物をいただいて、失礼する。 今日は、春のような陽気。カートをひいて歩く道も、ほんのりと春めいて、お花見の帰りのような、ほろ酔い気分になる。飲んでないのに。 鏡花の「日本橋」に出てくる、「雛の節句のあくる晩、春で朧で御縁日」というのは、こういう夜なんじゃないかな。鏡花の台詞をしゃべりなら、いつもより余計に歩いてみる。
ひなまつり。僕は桜餅が好きだ。ついでに言うとひなあられも好きだ。 なので、この季節は、3月3日の前に、桜餅もひなあられも何度も食べてしまい、ひなまつり当日は何もないことが多い。 今年もまたそんなかんじ。 夕飯のあと、パンを焼く。といっても、材料を量ってホームベーカリーに入れるだけのだけれど。この頃のブームは、くるみパンだ。ざくざくと砕いたくるみを一緒に入れて焼くと、生地をこねているうちに、なんとなく粉々になって、うっすら茶色、というか薄紫色のパンが焼き上がる。 ずっと起きている夜中、何度か階下に降りて、ホームベーカリーをしばらくのぞいている。いい気分転換。同じように、僕はこんなふうに洗濯機を見ているのも好きだ。
劇作家協会の会報「ト書き」の原稿を書き上げる。 富士見丘小学校の三年間について書いた。 限られた字数であれもこれもと欲張ったら収集がつかなくなり、結局、何をやったかを具体的に書くよりは、この三年で僕が得たもの、そして、これからのことを会員のみなさんに向けてお知らせしようとわりきった。 実質、篠原久美子さんと僕とが中心になって動いている、富士見丘小学校の演劇授業だけれど、これから先、どうやっていこうかと考える。 これまた限られた予算の中でできることは何か。三年間で積み重ねたことを、きっちり外に向かって発信するいうのが、今の僕には一番意義のあることに思える。 一年目の授業風景をまとめたDVDとは違う、「芝居づくり」について。そして、富士見丘小学校の先生方と、僕たち劇作家、演劇人が、どんなふうに、共同作業をつみかさねて、子供達に向き合っていったか。 四年目になる来年は、今年よりもまた一つ先のことを目指していきたい。まだどんな芝居をつくることになるかは、見当もつかない。うまくいくか、途方にくれるかもわからない。 でも、この間のワークショップでディディとクリッシーに言われた、「一度、途方にくれることが大事だ」という言葉が、勇気をくれる。 今年の「光速マシーンに乗って」も、はじめのうちは「どうなるんだろう?」と思っていた。でも、そこから始めたからこそ、あの舞台ができあがったんだと思う。 「大人がやりたいことを子供達にやらせる」んじゃないというのは、こういう出発点のことを指すんだと気づいた。
篠原さん、平田さんと一緒に、杉並区役所へ。 教育長の井出さんにご挨拶。この間できあがったDVDをお届けして、富士見丘の次年度のお話をさせてもらう。 「光速マシーンに乗って」のお話や、演劇授業について、いいお話をいっぱいうかがった。 その後、篠原さんと、打ち合わせ。久しぶりに話すことがいっぱい。来年の準備は、もっと広い視野で考えていかないといけない。その予定などなど。 ずっと抱えている「サロン」、また新しいアイデアが浮かぶ。前向きな気持ちのいい一日。
フライングステージのメンバーの新年の顔合わせ。もう二月だけど、今年初だ。 みんなの予定を繰り合わせていたら、こんな時期になってしまった。 去年一年のこと、今年のこと、来年のこと、いろいろ話す。 会って話しながら、ああ、やっぱりここが帰ってくる場所なんだなあと思った。 すっかり忘れていた我が家にほんとに久しぶりに帰ってきたような気分。 予定の時間が過ぎても、話はつきない。 ビジネスライクなつきあいではない、つきあいがここにはやっぱりあるんだと思った。 劇団フライングステージの「劇団」という肩書きを外してもいいんじゃないかと思った時期もあったのだけれど、やっぱりくっつけておこうとあらためて思った。 各自がそれぞれの場所でそれぞれのやるべきことをやりながら、それでも、かけがえのないよりどころとして存在する、そんな場所として、これからもありつづけたいと思う。 公演の回数は一時期にくらべて少なくなったけれど、劇団員が集まる機会は、月一くらいでもっていきたいということになった。 トレーニングというよりは、むしろ、近況報告の場になるんだと思う。 「やあ、久しぶり」と言わないでいいような距離のつきあいを、あらためて始める。
TV番組「リンカーン」を見る。 お笑いコンビ「フジワラ」の藤本敏史が、ゲイのマーチングバンドに参加する、海外に行かない「ウルルン」だ。 ステレオタイプのゲイを、番組的にうまく使って、きっと見ていて、いやーな気持ちになるんじゃないかと思っていたのだけれど、これがなかなかいい番組になっていた。 藤本敏史の真剣な向き合い方も好感が持てたし、ゲイだからといって、下に見るような視線は全く感じられない。 サークル内の軋轢、とてもきびしいリーダーでもある指揮者の彼のカミングアウト、そして初めての大会への参加。 端々で、やや構成したんじゃないの?という感がなきにしもあらずだけれど、ゴールデンタイムにこの番組がしれっと、放映されていることがとてもうれしい。 企画としては、キワ者的な扱いだったろうと思うのだけれど、出演者(お笑いのみなさん)の視線がまっすぐでとても真摯だったことが、後味のよさを生んだと思う。 なかなか思うように演奏ができないメンバーに対して、厳しいだめだしをする指揮者の彼に、フライングステージを始めたばかりの頃の自分を見たような気がした。年齢もほぼ同じくらいだ。 どうしてできないの?とか、やるって決めたんならやろうよ!とか、僕も似たようなことを言って、当時のメンバーをひっぱっていた。 あの勢いというか、むちゃくちゃさがなくなったのはいつ頃だっけかなと、もはや懐かしさすらかんじてしまう。 指揮者の彼に、もし会う機会があったら、いろいろ言ってあげたい気がする。きっといつか会える、そんな気もしている。
富士見丘小学校の発表会の後の打ち上げに参加できなかった青井さんと、あらためて講師チームで打ち上げをしようという企画があったのだけれど、僕は、仕事が終わらずごめんなさいする。 後から、里沙ちゃんのブログで、青井さん、健翔さん、篠原さん、里沙ちゃんの4ショットを見る。ああ、行きたかった・・・。この顔ぶれで飲んだことは一度もない。これからもなかなかない機会だったのに。残念。
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