せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2007年03月20日(火) |
「恋の骨折り損」@彩の国さいたま芸術劇場 |
さいたま芸術劇場に、蜷川幸雄演出「恋の骨折り損」を見に行く。 乗り換え途中の武蔵浦和の駅から、夕焼けがすこし残った夜空に細い月が見えた。銀色の小さな魚のよう。 さて、オールメールキャストの「恋の骨折り損」。とにかくきれいだった。 18世紀フランスの大きな(幅が広い!)ドレスがゴージャスなフランス王女たち、対するナヴァール王たち、もうみんな絵のように美しい。絵といっても、もしかすると少女漫画のようだったりするかもしれないけど。いや、そうじゃなくて、ラファエル前派の絵みたいかな。 顔の小ささといい、細さといい、まさに今だけの美しさとしての「若さ」でいっぱいだ。 お話自体は、「だから何なの?」というか、筋立て的にはかなり無理のある、そして、あまりおもしろくない「恋の骨折り損」という戯曲を、今回の上演では、ひたすら「恋」する心の美しさ、はかさな、若さ、純粋さをメインに舞台化している。 すじだてよりも、ただただ「恋心」という抽象的な概念がたちあがっている印象。 一幕の最後(今回の上演版)のナヴァール王の友人貴族、ビローンの長台詞。3年間恋をしないと誓った自分たちの愚かさを語る部分とそこに行くまでの4人の男子のやりとり。それまでは、やや勢いとノリがメインだった若い俳優たちが、真剣に恋の悩む姿が美しい。芝居としてもぐーんとおもしろい場面になった。 去年のロジャーリーズのワークショップでちょっとだけやったこの長台詞を、実際の舞台で聞くのは初めて。演じるのは高橋洋。すばらしかった。 フランス王女一行のなか、一番元気なロザラインを演じる内田滋も、女役を演じながらも存分に芝居をしていて、小気味いい。 王女のお目付役の貴族ボイエットを演じるのは青井陽治さん。25年前に見た薔薇座の「ベント」以来の俳優としての舞台出演だそう。今回は、女子の中にただ一人まじる男性として、ナヴァール王たちからやきもちをやかれる独特なポジション。青井さんのキャラがぴったりな、とてもナイスなキャスティング。 終演後のアフタートークでは、主演の男性陣四人より、翻訳の松岡和子さんから、いろいろな裏話を聞けた。4人の貴族のうち、戯曲の書き込みの少ない二人を演じる苦労などなど。 帰りは、ほんとうに真っ暗な道を歩いて与野本町駅まで。もう少し明るくてもいいのに。
今夜は桜沢エリカさんの特集。 新しく依頼された連載の主人公は年収10億円の男性。「知らないものは書けない」と言い切って、自分の足で取材する姿勢がかっこいい。 「知らないものは書けない」。いい言葉だなあ。ほんとうにそのとおりだと思う。 桜沢さんが家族と一緒に過ごす休日の姿、大勢で囲む食卓の風景。とても当たり前で、とてもあたたかい。 今、脚色させてもらっている「サロン」の登場人物のつながり方の現在形のような気がした。 もう一つ、いい言葉。「お金で買えるものなんてほしくない」。思っていてもなかなかできない言い切りのかたち。 言い切ることの強さと、その強さを持ち続けることの大切さを見せてもらった、そんな気持ち。
土曜だけど仕事。 北千住から、常磐線に乗る。明日まで、常磐線のグリーン車が普通車として開放されている。 何度か乗っているのだけれど、とても気持ちがいい。 無理矢理二階建てにしたような新しい車両。 今日は初めて、二階部分に乗ってみた。 北千住から上野までのほんとに短い時間が、ぐーんと「旅」な気分で味わえる。 明日以降は、けっこうなお値段のグリーン料金。いつか、のんきに旅行に出かけるときに利用しよう。いつになるかわからないけど。 夜、篠原さんと電話で打ち合わせ、もろもろ。来年度の話あれこれ。
夜、危婦人のスギタクミさん、ザンヨウコさん、ヤビマーヤさんと打ち合わせ。 4月の舞台「大部屋女優浜子〜宴の華〜」での、僕がやることについての確認。 蘭浜子の友人の女優、鴇恵(ときめぐみ)が僕のキャラ。 3本のオムニバスのあとのレビューに登場させてもらう、その段取りや衣装などについて、いろいろ話す。 歌う曲の候補がいくつもあがるなか、どれもが「ミュージカル大好き」&「ゲイテイスト満載」でうれしくなる。 帰り、ヤビマーヤさんと途中まで一緒に帰ってくる。電車の中でしゃべり過ぎて、うっかり乗り過ごすところだった。
2007年03月15日(木) |
ワークショップの案内 |
フライングステージのHPに、ワークショップの案内をアップする。 劇団のメンバーが集まるのは、基本的に公演のときだけという、プロデューススタイルの活動をしていたのだけれど、この間、ひさしぶりに劇団員が集まって話をしたところ、やっぱり月いちくらいは集まろうということになった。 各人のスキルアップはそれぞれがそれぞれの場所でやっていけばいいと思うのだけれど、会って話をする、一緒に何かをするということを、改めてはじめてみようと思う。 数年前までは、週に一度、多いときには二度集まってトレーニングをしていた時期もある。 それは、ある意味では、新しいメンバーの養成だったりしたのだけれど、ある時期から、「育てる」ということについてのモチベーションが僕のなかですとんと落ちてしまった。 それは、いつまでも一緒に芝居をつくっていけると思っていた人が、劇団をやめてしまったりすることが何度かあったせいでもある。 そんなわけなので、新たに始めた月一のワークショップは、劇団員のトレーニングというよりは、むしろ、出会いの場だ。 劇団員どうし、また、外部の人にもぜひ来てもらって、いろんな人と出会いたいと思っている。 はじめましても、知らなかった一面にあえるのも、とても楽しみだ。 詳しくは、フライングステージのHPか掲示板へどうぞ。 富士見丘小学校でやってきたこと、また、先日の世田谷パブリックシアターでのワークショップでの経験を生かして、楽しい時間をつくっていきたいと思う。
4月に客演する危婦人さんの「大部屋女優浜子〜宴の華〜」。僕は、浜子の友人ということで、文字通りの「友情出演」だ。 サンモールスタジオの新年会で、僕に主演女優賞を手渡してくれたのが、浜子を演じる、ザンヨウコさん。 今回、僕が演じることになる役のプロフィールが、キキコロモちゃんから届いた。 一読して、感動する。「このキャラ一生やっていたいわ!」と思う。 どんなことになるのか、とても楽しみ。
2007年03月13日(火) |
「サロン」オーディション2日目 |
昨日と同じ会場で二日目のオーディション。 緊張しつづけていたせいか、昨日は家に帰ったら背中がバリバリに張っていた。横になると痛くてつらかった。 昨日と同じように、誠実に向き合うことを心がける。 来週にあと一日を残して、まずは一段落。 打ち合わせのあと乗った帰りの東上線。武蔵野線に乗り換えるのは北朝霞なのに、芝居のことを考えていて、つい朝霞で降りてしまう。寒いホームで15分立っていることに。考えること、考えなきゃいけないことは、いくらでもある。頭の中がいっぱいでいる、芝居のことだけ考えている、この状態が、僕にとっての誠実に向き合うということだ。まずは。
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