せきねしんいちの観劇&稽古日記
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東武線に乗ってヘッドフォンで音楽を聴きながらパソコンに向かっていた。 急停車したので前を見たら、何人もの人が集まってきてる。何だろうと思って見回したら、僕の左側、ドアをはさんだ車いすスぺースの窓ガラスが割れていた。床は粉々になったガラスの山だ。車の事故と同じで、ガラスは細かく砕けていて、小さなものはさらさらの粉になっている。 車掌がやってきて、近くにいた人に話を聞いている。ヘッドフォンを外してわかったのは、突然ひびが入って、全面にひろがったかと思ったら、となりを走る特急電車の風圧で一気に落ちたという事故(?)の様子。へえ、そうなんだとあらためてびっくりする。 急遽、北千住止まりになった電車を降りたら、何人もの人が携帯で割れた窓の写真を撮ってる。その様子にもちょっとびっくり。 夜、ニュースになったりしてるかなとネットを見てみたら、ニュースにはなってない。まあ、怪我した人がいなかったからね。 朝干して出た洗濯物がきれいにかわいて気持ちいい。どっさり取り込んだら、花粉も一緒に部屋に入ってきたようで、目のかゆみとくしゃみがひどくなった。
2007年03月27日(火) |
劇団劇作家打ち合わせ 演劇集団円「ラプチュア」 |
5月の末に演出をする、劇団劇作家のリーディング(正式なタイトルは「劇読み vol.1」)。今日は、作家のみなさんとの顔合わせというか、打ち合わせ。 作家として、どんなリーディングにしたいかというのをうかがい、僕も自分の考えを言わせてもらう。 今回取り上げる8本の作品のうち、僕の担当は4本。それぞれ全く違うテイストの戯曲を、どう立ち上げていくかをじっくり話し合った。 最終的な演出プランはまだ決まらないけど、絶対におさえておきたいという何点かを伝える。僕のやり方についてのプレゼンだ。 キャラクターを各自がつくって、どう語るかの工夫をして、正面に向かって語りかけるようなものにはしたくない。それぞれがマイクに向かう形の声優さんの録音じゃないんだから。芝居は俳優一人一人の中じゃなく、俳優たちの間、俳優と観客の間にありたい。 ちゃんと上演するのは大変だから、とりあえずリーディングにしてみましたというような「とりあえず」のものにもしたくない。リーディングならではのおもしろさを生み出さなくてはと思う。 印刷して持って行った4本分の仮台本は、それだけでずっしり重い。4本分だものあたりまえだねと作家のみなさんと笑いあった。 夜、近くのステージ円で上演中の「ラプチュア」を観る。オーストラリアの劇作家、ジョアンナ・マレー・スミス作で、演出は、劇団劇作家でも演出をご一緒する山本健翔さん。 円の舞台をみるのはほぼ二十年ぶりだ。養成所の同期の活躍は知っていながら、なかなか見に来ることができないでいた。 今日のキャストのひとり、込山順子さんもその一人。 登場人物は、男女3人ずつ6人の舞台。前見たときは、若々しかった役者さんたちが、みんなそれぞれ中年になっていたことにおどろく。まあ、当たり前なんだけど。 芝居は、ヤッピーなクラスの三組の夫婦、彼らはとても仲がいいんだけど、一組のカップルの家が全焼してしまったことをきっかけに、初めて、自分たちがなんなのかというのを見つめるようになる。たしかだと思っていた友情が、どれだけもろいものの上になりたっていたかなどなど。 全編、ひたすら会話。というか、おしゃべりの連続。他愛のない話が、とんでもないことになってしまうスリル。どんどんとんでもないことになっていく彼らの間柄から目が離せない。 それにしても、これは日本人の会話じゃないなあと思う。きっちり対立することにためらいがないもの。 終演後、一緒に観ていた劇団劇作家のみんなと話したのだけれど、日本人はもっと違う方向に話がずれていくと思う。対立を回避する方向へ。 今日の舞台は、翻訳劇にありがちの「それにしてもよくしゃべるなあ」という感じがちっともしなかった。翻訳がこなれていて、とても自然だ。センテンスの長さが俳優の息にぴったり合っているように思えた。キャストのうでと、翻訳と演出の力、それがせいいっぱいの力業でなく、この芝居をつくりあげているのがすてきだった。
2007年03月26日(月) |
サーカス劇場「ファントム」 |
タイニイアリスにサーカス劇場公演「ファントム」を見に行く。 米軍基地のファントム戦闘機が横浜の住宅地に墜落した事件をモチーフにしたお話。 唐さんのテイストというか、唐さんの手をいっぱい使った、リリシズム満載の2時間。 クセものぞろいのキャラクターが、気持ちいいくらいに台詞をうたいあげてくれる。 母役のそのだりんさんが、とてもすてきだった。 ずっと昔、新宿のシアタープーという劇場で、コクトーの「声」をやったとき、その劇場で会ったのがりんさんだ。今日、音響の操作をしていた世界劇場の小島さんともそのとき何度かお話させたもらった。 二十年以上前にすれ違ったような出会い方をした人たちとの再会。いや、これだけ時間がたつともう初めましての気持ちだ。 唐さんの芝居もしばらく見てないなあと思った。青春を懐かしむような、ある時代を懐かしむような主人公が印象的だった唐さんの作品たち。今の僕は、まっすぐそのままシンプルに向き合えるような気がする。今度見たら、きっとまた違った感想を持つんだろうなと思う。
2007年03月24日(土) |
フライングステージWS |
久しぶりのフライングステージのトレーニング。もとい、トレーニング的な要素は各自でやってもらうことにしたので、ワークショップ。 最寄り駅からのバスに乗り損ない、時間に遅れるわと思いタクシーを止める。ワンメーター分、運転手さんと桜の話をひとしきり。 時間には間に合ったものの、メンバーがそろわず、しかたなく開始を遅らせることにした。 今日のメニューは、コミュニケーションをメインにしたもの。フライングステージでこれまでやっていたシアターゲームに、この間のナショナルシアターのワークショップで学んだことをとりいれてみた。 10時近くまで、休憩をはさみながら、わりとみっちり、ワークを積み重ねる。頭の後ろの方、普段はつかわない部分がきーんと痛くなってくる。リハビリになってる証拠、ずっと使わないでいた証拠だろう。そんなに動いていないはずなのに、あちこちが筋肉痛になってるのも、ラクしてた証拠だ。 来月は、もう少し先のことをやってみようと思う。 帰り道、ひさしぶりに外郎売りをさらってみる。今の自分の状態がよくわかる。驚きとやっぱりねの気持ちが入り交じる。トレーニングは各自でやること。僕がまず率先しないと。
寝坊してしまい、あたふたと家を出る。 富士見丘小学校卒業式。 10時開始の式にぎりぎり間に合った。体育館の手前にはすでに六年生が整列していて、ばたばたと走っていったら、「関根さーん!」と手を振ってくれる。今日のみんなは、きりっとしたブレザー姿。またいちだんと大人びて見える。 体育館の中、来賓席の篠原さん、健翔さんのとなりに座る。 今年で三度目の卒業式だ。今年もまたいっぱい泣かされてしまう。 校長先生のお話では、篠原さんの去年の舞台「ギフト」の話が登場。 ギフトとは、プレゼントという意味だけではなく、天からさずかった才能だということ。そんな才能や、夢を、大切に生きていってくださいと。 卒業証書の授与。今年は、名前を呼ばれた子供達が壇上で一人一人、一言挨拶をする。将来の夢だったり、今の気持ちだったり。 こんなのはじめてだ。ただ、証書を渡す時間だと思っていたので、びっくりする。 最初に呼ばれた1組のアマノメくんから、一番最後2組のヨシナガさんまで、誰もがきっちり自分の言葉で、自分の気持ちを語ってくれた。広い体育館全体に届く、いい声で。 一年間の演劇授業の最後に、これがあるような気がしてとてもうれしい。もっと言わせてもらえば、三年間の授業のおしまいが、このスピーチなのだなあと思った。 一昨年の六年生は、最後の発表会で、即興で今の気持ちを話す、というのをやった。みんなよくできていたけど、それでも、うまく伝えられなかったり、話すことにためらいがあったりという場面も生まれた。 あれからちょうど二年。富士見丘小学校が通年で行ってきた、対話、会話の授業と、演劇授業、その結果が、今日の彼らの堂々としたスピーチになったのだと思う。 このスタイルは、小学校の卒業式としてはままあるかたちなのだそうだけれど、富士見丘小学校でははじめてとのことだ。 演劇授業についてしゃべってくれた人も何人かいた。俳優になりたいと思うと言ってくれた人、演劇授業で学んだことをこれからも生かしていきたいと言ってくれた人。ありがとう。 その後、卒業の言葉。六年生が六年間の思い出や今の気持ちを全員で語る。その間に、「光速マシーンに乗って」の劇中歌2曲も歌われた。この曲を聞くのも、今日が最後だと思うとまた泣けてきた。 式のあと、特活室にいる卒業生に、篠原さん、健翔さんと挨拶する。 こうやってここで彼らと向き合うのは何度目だろう。でも、今日が最後。 「卒業式は今年が三度目で、僕は泣き虫なので毎年泣いてしまうんですが、今年はじめて、なんで涙が出るのかわかったような気がします。一緒に舞台をつくった『仲間』とさよならするのが、さびしいんだとわかりました。いい思い出をたくさん、ほんとうにありがとう。みんなには、夢も希望も、思い出も、仲間もいます。これからも元気で生きていってください。ありがとう!」。僕は、こんなことを話した。 その後、校庭で卒業生を見送る。五年生がつくったアーチをくぐって、歩いていく彼らを拍手で送り出す。 その後、子供達、保護者のみなさん、先生方と、わいわい写真に撮られる。 帰り際の昇降口で聞いた話。昇降口には、「光速マシーンに乗って」に登場した11体の犬の操り人形が天井から吊られ飾られている。 その中の一匹、犬のチョコを見た一年生が「どこを押すと鳴くの?」と聞いたそうだ。チョコの声は、ルイちゃんの担当。ほんとうに犬が鳴いてるようないい演技だった。その子は、チョコと歩ちゃんの場面にとっても感動したんだって。すごいね、ルイちゃん。歩役のスギヤマさんも、チョコの操りのイイダさんも。よかったね! 春は今日から始まったというようなあたたかい日。校庭の早咲きの桜の濃いピンクやこぶしの花の白が青い空にはえてきれいだった。 みんな、卒業おめでとう!
2007年03月22日(木) |
スロウライダー「Adam:ski(アダムスキー)」 |
スロウライダー公演「Adam:ski(アダムスキー)」@三鷹市芸術文化センター星のホールを見に、久しぶりに三鷹まで。 仮設でつくられた急傾斜の客席が、まずこわくて、ドキドキする(最上段の一番端っこだったので)。 折口信夫をモデルにした「先生」とその弟子たちのお話。 お話もたくみ、役者さんたちもていねいな芝居で、とても緻密な時間と空間ができあがっている。 ホラーということだったのだけれど、見ながら思ったのは、恐怖と笑いってほんとうに紙一重なんだってこと。 今日の舞台では、ある意味「男同士」の愛が描かれていて、その関係性の上に恐怖がのっかってる。僕は、どこかで「男同士」の愛に恐怖を感じないようになっているので(もしくは、そういう前提は拒否したいと思う)、純粋な恐怖の分量が少し少なくなっているのかもしれない。 これは、切ないコメディにもなるんじゃないかな、でもこの舞台はそうじゃないんだね、と思いながら見ていた。同じ状況を描いても、全然違うものが生まれる可能性があるっていうのは、おもしろいことだと思う。 帰り、来るときはバスに乗った道を三鷹駅まで歩く。ぐいぐいと。 渋谷に出て、稽古帰りの危婦人のみなさんと合流してカラオケで歌の練習。 スギさん、ザンさん、キキコロモちゃんに、少年社中から客演の井俣太良さんも。 候補曲をザンさんとデュエット(?)。その後、井俣さんと二人で少年隊の「仮面舞踏会」を熱唱。今日はこんなところで・・・。
2007年03月21日(水) |
創作舞踊名流顔見世「百雀会」@浅草公会堂 |
まみぃこと石関準くんと元制作の高市梅莟さん出演の舞踊会、「百雀会」@浅草公会堂へ。 高市氏は、春謡流の師範、春謡妙左という名取り、マミィも今回、春謡妙左京という名前をいただいての名取披露だ。 妙左京さんの踊り「松江舟歌」を朝一番で見る。鮮やかな緑の着付けが若々しくてきりっとしたいい風情。 その後、「サロン」のオーディションのために、劇団制作社の事務所へ向かう。 前回、会えなかった方たちとお会いする。今回も「誠実に」を心がける。 その後、また浅草へ戻り、妙左さんの出し物「長崎ぶらぶら節」を拝見。長崎の芸者の座敷舞。妙左京さんも妹分の芸者として登場して、台詞も芝居も、しどころいっぱい。妙左さんは迫りで奈落に降りて、早変わりで登場。この後半の踊りがすばらしかった。いつもは古典の重厚な出し物が多いのだけれど、この速いテンポで、振りの手数の多い踊りが、とても生き生きと演じられていた。二人の連れ舞の部分も見事。拍手拍手!! 出番の終わった二人に楽屋口で挨拶。お疲れ様でした。 帰りは、ひさしぶりな、さっこさん、いっこうさん、それにノグ夫妻にトシくんたちと、歩きながらのおしゃべり。観光地浅草の人混みにややびっくり。 雷門前の人力車のお兄さんが、外国からのお客さんに「ジンリキシャドウデスカ?」と、怪しい外国人がしゃべるような抑揚で呼び込みをしていた。有効なのか?
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