2003年08月23日(土) |
博多座 『鳳凰伝』 『ショーストッパー』 |
最初見たい要素は・・・ともえちゃんの首切り役人とかなみちゃんのアデルマ、 そしてタニオカくんのバラク・・・だった。 でもすしおさんの首切りも見たかったし、かなみちゃんのタマルも見たかった。 散々、迷った。迷ったあげく・・・行くことにした。
大劇場で見た時は「なーんて自意識過剰なカラフなんでしょう。」と思った。 今回もそれは拭えたわけではなかったけど、そんなことはどうでもよくなってしまった。
まず、すしおさんのティムール王。 弱々しく、哀しいくらいの父王だった。 でも「ナゾに挑む」と言った息子カラフに「もう足手まといにはなるまい。」と 言い別れる時はなにか凛とした強さが見えた。
かなみちゃんのアデルマ。 ふーちゃんのアデルマも好きだった。 けど、ここまでアデルマの悲劇性をくっきり見せられると唸ってしまう。 おそらく初めて他国の異性の優しさに触れたんだろう・・・。 だから心奪われたのだろう。 ナゾに挑むカラフを初めて認識した時の動揺、 ナゾをとき進む時の喜び、そして3つのナゾをとき終えた時の安堵感、 ナゾをとくことができたということは・・・トゥーランドットと結ばれる・・・という 現実に気がついたときの絶望感。 それはそれは本当に鮮やかだった。
人のものになるくらいなら・・・と半狂乱で鞭を振り回すアデルマの焦り、 そして中国から出て行け・・・と言われた時、 初めて自分の犯した罪に気がついてしまう哀しさ。 アデルマの心の動きが手にとるようにわかった。
ともえちゃんの首切り役人。 新公の時も凄みが増し、メイクも不気味さを加えていた。 暗闇で不敵な笑みをたたえ、目つきで人を見下す。 そしてバラクと戦う時には何か血が騒ぐような不気味な笑みを浮かべ、 首切り役人という役目を全うするように見えた。 ところが、タマルの子守唄を聞き、はっと我に返り、動揺を隠せない。 ジリジリと中国皇帝やトゥーランドットから離れていき、 手をダラン・・・とたらし、脱力したまま、死にゆくタマルを見つめていた。 セリフがないのにここまで芝居をしてしまうなんて・・・と驚いた。
タニオカくんのバラク。 ミズのバラクに比べて“おぼっちゃま”だった。 野心は見えない・・・あまり見えない。 でも暗がりの中から登場するだけでソコが明るい。 盗賊の頭として慕われるのがわかるような気がした。 「ああ、かつては王子だったんだ。」とわかるような気がした。
それからすごかったのはやっぱり花ちゃん。 タマルの死をきっかけに自分の哀しい立場を再認識してしまうシーン。 ボロボロと泣いていた。 「行ってしまった・・・。」という悲鳴のようなつぶやきがとても哀しかった。
いやいや、ツッコミどころは満載のストーリーであったことは間違いない。 やはり、会ったばかりのバラクに「おまえの話は聞き飽きた。」だとか、 トゥーランドットを初めて見たあと、「あいかわらずだった。」というバラクに 「いいや、おまえは見ていない。」と失礼な言葉の数々を投げかけたり、 「おまえのオトコはココだ。」に始まり、「おまえが愛するのはこのオレだ。」と びっくりするような自信マンマンな言葉を叫ぶカラフもだし、 ナゾに挑むペルシャの王子の若さも「ナゾが解けたらどないすんねん。」だし、 だいたい、首切り役人ったら、バラクが死ぬ時「生きろよー。カラフ―――っ!!!」 と叫んでるのだから、“あの王子の名”も知っているはずなのに、 知らんぷりしているのとか・・・・・・「そりゃないやろ。」のテンコモリだった。
でも見終わったあと、「よくデキたイイ話だわ。」と思った。
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ショーも見ごたえがあった。
人数が少ないから、役代わりがあったけど、 ともえちゃんがいろいろなところで活躍しているのがうれしかった。 プロロ静かな躍動感があった。 人数の少なさを感じさせない迫力だった。 ジャズが楽しかった。めちゃめちゃ楽しかった。 見ていてワクワクした。下級生たちも大活躍。
パリのかなみちゃんのかわいさは最高。 客席からの登場で客席からため息がもれる。 キッラキラの笑顔。 そんな癒しのあとに妖艶なタンゴ。 すしおさん、タニオカくん、はるひ、はつねちゃん、ともえちゃん・・・ 「ともえちゃんが入った。」と大喜び。花ちゃんをリフトさえしてしまう。 すしおさんがめちゃめちゃ妖しくてカッコよすぎ・・・。 1人席だったから騒ぐこともできなかったけど、平常心ではなかった。
気になるヴェネチア。 魅惑的な美しさで登場するタニオカくんのアントニオ。 そこへ登場するかなみちゃんジュリエッタ。 美男美女のコンビ・・・。 ミズ&まやちゃんも好きだった。 でもタニオカくん&かなみちゃんもいい。 全く違うキャラの違うシーンを見ているようだった。 だけどあまり悲劇的なものは感じられず、 どちらかというとかなみちゃんがいつかサソリになってしまうちゃうか・・・という 錯覚に陥ってしまって・・・まあそれはそれで楽しかったのだけど、おかしかった。
カルナバル。無条件に好き。 白い衣装なのにどこかヤラしい妖しさがある・・・すしおさん(←バカ) 総踊りのあと、ワオさんの歌・・・のあと、少な目の大階段が出て、 センターにタニオカくん・・・ぱあ―――っと明るくなる感じがした。 あれよあれよ・・・という間にフィナーレ。 もっと見ていたいもっと見ていたい・・・そう思った。 めちゃめちゃ楽しかった。
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22日と23日の午前の部を見た。 22日は興奮サメやらズ・・・夜中の2時半まで飲み歩いた。 悪友たちとずーっとはしゃいでずーっと笑い転げて・・・。 ヘロヘロになってもまだゴキゲンだった。 その日寝たのは・・・4時を過ぎていた。 ったく・・・博多の夜は最高〜〜〜〜っ!!!
後ろ髪を強く強く引かれながらも千秋楽はあきらめて・・・帰宅。
大劇場で見た時よりもずいぶんと楽しめた公演だった。 ヨカッタ・・・楽日間近で見て・・・。 初日あいてすぐ・・・とかに見ていたら、もっと見たくなっていただろうから。
2003年08月08日(金) |
星組『王家〜』 兄弟愛と友情。 |
わずか3度でラスト・・・MY楽。
初見は必死で見て、2度目少し余裕で、 そして新公をはさんで、ラストの日。
新公を見てから本公演を見ると少し感覚が変わる。 演ずる生徒たちも何か変わるとよく言うが、見る側も少し変わる。
今回は汐美ちゃんとしいちゃんにヤラれてしまった。
エジプトに支配されてしまっている祖国エチオピア。 そして妹のアイーダ。 今はエジプトの若き将軍ラダメスに心を奪われているけど エチオピアにかつての平和が戻れば、きっとアイーダの心も元に戻る・・・と 信じているかのようにさえ思えた。
エジプトの捕虜となってしまった父王アムナスロ。 そのアムナスロの命乞いをするアイーダ。 そのあとエジプト兵にひどい目にあわされるアイーダを 同じく自分もエジプト兵に囲まれているためかばうことができない。 ファラオの声でエジプト兵たちが殴るのを止めた途端、 ウバルトが「アイーダっ!!!」とアイーダに駆け寄った。
グっときた・・・泣けてしまった。
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ラダメスがアイーダとの逃避行に失敗しただけでなく、 エジプトの裏切り者として刑を受けると決まった時、 ケペルは動けずにいた・・・目は大きく見開き、ラダメスを食い入るように見つめていた。 そしていよいよ石牢に閉じ込められる瞬間、 「何か言いたいことはないか・・・」と問われ、ファラオとなったアムネリスに 問いかけをするラダメス。 そのラダメスに「もうヨケイなことは言わないでくれ。」と懇願の眼差しを向ける。 そしてラダメスが石牢に消えて言ったその時、なんともいえない顔で 閉じられていく石牢を見つめ、「ラダメスっ!!!」と叫んだ。 目にはいっぱい涙が浮かんでいた。
せつなかった。すごくせつなかった。 戦友への刑を自分の手で与えなければならない いや、他の者ではなく自分が与えることが救い・・・この葛藤が見えるようだった。
この今回の作品は見れば見るほど深みが増し、 見終わって日にちが経つにつれて、その重さが残ってくる。 何度も何度も見たくなる作品だった。
全ての配役がまさにぴったりで、ムダがなく、見ごたえ充分だった。 あ、ヨケイなシーンがなかったワケではないけどね。
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