見つめる日々

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2009年08月14日(金) 
母の髪がますます薄くなっていく。
頬はこけ、脇腹の痛みにいつも身体を曲げている。
それでも、あと少しでこの治療が終わりになる、そのことが、彼女を支えている。
父はそんな母を見つめながら、毎日を過ごしている。
「半年後、ウィルスが見つからなければ・・・そうすればこの治療もかいがあったというものなのだが・・・」ぼそりとそう呟く。
私は、うんうん、と、うなずくしかできない。

多分娘と唯一といっていいような、夏の思い出の数日間。
それはまさしく言葉どおり、あっという間に過ぎてゆく。

久しぶりにカメラを構え、写真を撮る真夜中。
私は彼女の胸と腹の形がとても好きだ。
淡々と過ぎてゆくその時間。
あっという間に明け方になる。
カット数は二百を越えている。
撮ったはいいが、この後の処理が大変だ、と、ベッドに横になってから気づく。
それでも、久しぶりに撮ることができたことの至福が、私を満たす。

ホワイトクリスマスとマリリン・モンローがひとつずつ、つぼみをつけた。
ぷっくりと膨らんで、徐々に膨らんで、いつ開くのかと私をどきどきさせる。
玄関側のアメリカン・ブルーは、今日も小さな真っ青の花を咲かせてくれる。
夏の空に、とても似合いだ。

何年経っても、その業界の人にとって私は、版芸のにのみやなのだな、と
痛感させられる出来事があった。
私にとってはもはや過去のこと、戻りようのない過去のことなのに。
そして、
もう関係などない、過去のものなのに。

そうやって、一日一日が過ぎてゆく。
今日ももう日が暮れようとしている。その瞬間、一筋の光がさぁっとあたりを照らしだす。
曇った空の模様がくっきりと浮かび上がり、白いビル群は発光し。
一瞬の出来事。


遠藤みちる HOMEMAIL

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