愛より淡く
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今日は日曜日で、焼け跡の後始末の作業をしてくださる業者もお休みで、比較的自由になれる時間がとれた。
家のそばにある物置きは無事だったのだけど、なんでもそこの物置きは縁起が悪いのでずっと以前から壊せ壊せと言われていたそうなのだ。
実はうちの夫は戸籍上では三男なのだけど、二男が生後2ヶ月の時、その物置きで亡くなっているのだ。奇しくも原因は「火」
物置きから夫がかつて読んでいたと思われる大量の書物が出てきた。幼少期の絵本や童話、偉人シリーズなどなどは、ダンボール3箱くらいにびっしり入っていた。私も小さい頃、絵本とか童話とか大好きだったけど、こんなにたくさんは買ってもらえなかった。だからうらやましかった。
「ちびまるこちゃん」「ドラえもん」「じゃりんこチエ」「美味しんぼ」 「ドラゴンボールZ」などのコミックも出てきた。
あとは加藤諦三氏の本がたくさんあった。夫いわく「加藤諦三はオレの命や」 学生時代に夢中で読んでいたとのこと。
以下加藤諦三氏の著作のタイトルだけ一部抜粋
「自分を嫌うな」「自分を許す心理学」「思いこみの心理」「やさしさと冷たさの心理」「はったりの心理」「強気の人弱気の人」
などなど。夫がこんなに読書家だったとは知らなかった。おびただしい本の量だった。文芸音痴だとばかり思っていたけど、古今東西の有名な作家の本もズラリとあった。これらを全て読んでいるとしたら、私の数十倍の読書量になってしまう。ひえー。ちょっとシャク。
あまりの豊富な書物の量に驚いたことを夫に話すと
「そんなもんじゃないぞ。二階の部屋にはもっとあったぞ。みんな燃えちまったなあ。もったいないあなあ」と言ってしんみりしていた。
それにしても、いったいそれらの書物で得た知識はあの夫のどこに残っているというのか?全て身にならず消えてしまったのかな?わっからん。
今、時間がある時にちょこちょこっと、夫がかつて読んでいたらしい石川達三氏箸の「女性の虚偽と真実」を読んでいる。エッセイのような女性論のような本だ。
例えば↓のようなことが書いてある。
「男に浮気をするなというのは、犬に一夫一婦制の道徳を教えるのと同じことだ。」
「不道徳な性生活は劣等意識を招くけれど、道徳的な性生活をもつことは、人間の牝の誇りであるらしい」
「情事と結婚とは、行為は同じであっても、本質は違っている。結婚の目的は繁殖種族保存であるが、情事はそれ自体が目的で、繁殖の意図は持っていない、つまりお互いの、心をふるわせるような消耗だけが目的なのだ」
「女は誰かから求められているという自覚によって、生きてゆく自信を支えられる」
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