愛より淡く
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泣いた。といっても声をあげておいおい泣いたわけではない。鼻をすする程度。たぶん、彼は自分が情けなくて泣いたのだろう。
私にあんな言われ方をされたのも情けなかったのだろう。
私をあそこまで追い詰めたのも情けなかったのかもしれない。
私だって泣いたんだ。泣きながら今まで積もりに積もらせていたことをみんなぶちまけた。
「悪かった。おわびに今日は全部家のことやるから。あんたは寝てな」
そう言い、彼は台所の山積みになった洗い物を片付けはじめた。
彼がさっさと出かけて行ったのを知って、なにもかも嫌になって放ったらかしにしたままふて寝していたのだった。
「ひえーーコレ全部洗うと一週間はかかるわ」
と悲鳴を上げながら?も洗っていた。
私は毎日毎日それだけの洗い物をこなしているんだ。
作って食べては洗い、また作って食べては洗う。
一年365日ずっとずっとくりかえしているのだ。
もちろんこれからも、生きている限りずっと、続けていかなければならないことだ。
それから散らかり放題で気になっている部屋を片付けてくれた。
「俺は能なしだけど片付ける能力だけはあるんや。人間なにかしらとりえはあるもんなんやで」
と言いながらせっせと片付けて行った。
私だったら、丸一日はかかるところを、2時間ほどで片付けてくれた。
おかげで見違えるようにきれいになった。すっきりした。
すっかり片付けられた部屋を眺めながら
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ありがとうございましたゥ
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