愛より淡く
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2004年01月08日(木) 捨てないで

その後私は、なにもかもイヤになって、実家に帰りたくなった。

でも実家に帰ってもなにも解決しないということが、なんとなくではあるけれど、わかっていた。

実家は、一時的な避難場所にすぎないのだ。

それに、実家には、すでに私の居場所などどこにもないのだ。

私が慣れ親しんだ「わたしの部屋」は、もうどこにもないし。

すべて母に片付けられてしまった。

私の愛用の化粧台ですら、母は、捨てた。

私の母は、あきれるくらい、なんでも潔く捨ててしまえる人なのだ。


みんなみんな知らない間に捨てられてしまっていた。

だけど、捨てられてしまったことを知っても、さほど感傷的には、ならなかった。

ったく、なんで捨てるのんさ。ぶつぶつ。

ちょっとボヤいただけで、終わってしまった。

もともと私には、物に対する執着心がさほどないようだ。

そういえば。なんでもよくなくした。消しゴム、ふで箱、えんぴつ、定規、コンパス、ノート、したじき、縦笛、などなど、いつのまにか、私のそばからいなくなっていたんだ。まるで自らの意思でもって、私の元を去るかのように。いつのまにかいなくなっていたのだ。

その中には、いなくなったこと自体気づいてもらえないまま、私に忘れ去られてしまった物もあるだろう。

今だって、毎日、なにかをなくしている。
毎日、なにかを探している。毎日、なにかをあきらめている。


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テキスト庵さん