愛より淡く
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ずいぶんと久しぶりに実家の父から電話があった。
今にも死にそうなほどか細い元気のない声だったので驚いた。
おまけにものすごく気弱なこと言うし。
さらに
「○○くん(夫の名)にあんまりキツく言うたったらあかんで」
なんて、言うのだ。
心配になったので、後からまた母あてにかけなおした。
「お父さん、どっか具合でも悪いの?」
「ぜんぜん。また負けたんちがうか。もう放っといたってるねん」
なるほど。父は、Pの負けがこむとしょんぼりして、生きる気力をなくしてしまうようだ。
そういえば今までにもそういうことって、いやというほどあったなあ、となつかしく思い出した。
あれは、たしか私が小学3年生くらいの冬の日のこと。
珍しく父がトレンチコートなんか着ていたので、もうそれだけでただごとではないと思ったけれど
父は涙ながらに私にこう言ったのだ
「お父さんは、これから遠いところに旅に出る。もう帰ってけえへん。達者でな、お母さんの言うことちゃんと聞いてがんばるんやで」
そんなことを言って、出て行ってしまったのだ。
「なに、なに、なに、いったいどないしたん?どこに行ってしまうん」
わけがわからず、ただただおろおろするばかりの私だった。
いったいうちらの家はどないなってしまうんやろうって、不安で不安で目の前が真っ暗になってしまった。
今でも、あの時のあの妙に哀愁を帯びた父のトレンチコートの
思えば人騒がせな父だった。
父とPに関するなさけなくてあほみたいな思い出話なら、くさるほどある。
あははははは(しばし思い出し笑い)
そんなふうに、今となっては全て笑い話。
それでものんきに笑ってる場合でもないのだった。
と、急に我に返ってためいきをつく私。
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ありがとうございましたゥ
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