愛より淡く
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昨夜、真夜中に突然電話が鳴った。
電話は、私のすぐ近くに置いてあったのだけど、それまでぐっすり眠っていた私も、それですぐに目が覚めてしまった。
それでも私は、怖くて電話に出ることができなかった。
こんな夜中に電話だなんて、不吉な知らせに違いないと思って、どうしても電話に出る勇気がなかった。
呼び出し音を聞いている間、ありとあらゆる不吉な知らせを思い浮かべて、恐ろしくなってしまっていた。呼び出し音を耳にしながら、じっと身を縮めていた。冷や汗が出て、心臓の鼓動が激しくなった。
電話に出たら最後、その内容を聞いてショックのあまり気を失ってしまうかもしれないと思った。
電話が止まるのをひたすら祈るしかなかった。
やがて電話は止まった。
すぐにまたかかってくるかなと思ったけれど、かかってこなかった。
「何でもありませんように。何でもありませんように」
とひたすら祈りながら身体をこわばらせていた。
動悸は、なかなかおさまらなかった。
「なんでもない。なんでもない」
自分に強く言い聞かせながら、眠りに入っていた。
5時過ぎにまた電話が鳴った。
今度は覚悟を決めて、恐る恐るとった。
長男の友だちからだった。
長男に聞けば、早起きする必要があったので、寝過ごさないように、友だちにモーニングコールを頼んだそうだ。
最初の電話もその友だちからのようだった。
ああよかった。本当によかった。と胸をなでおろしたのだった。
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