ニューヨーク俳優修行日記
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2002年03月11日(月)

そして幕は上がる。


地獄の仕込みの日々が終わり、土曜日から公演が始まった。
先週は水木金と劇場に缶詰となり、照明、音響のきっかけあわせ。
この三日間は役者の為ではなく、照明/音響のためにある。
お陰で役者はただ待つのみ。
これが余計に疲れる。

照明の場合は全てコンピュータ-なのでこの時間を使って
全てのきっかけ(キュー)をコンピューターに打ち込んでいく。
本番ではきっかけの番号を打ち込むだけ。
音響もMDとサンプラーを使うのでその手順の段取りを行う。

普通のお芝居だとシーンが始まれば、あとはそのままとかもありえるが
うちの劇団はとにかく照明/音響の効果が多い。
多分、それぞれ100近くのきっかけがあると思う。
芝居が85分だから一分に1個以上である。
これはもうちょっと大変。

役者の中にも4回ぐらい衣装換えのある人もいる。
僕は今回はほぼ主演なので衣装換えは一切なし。
ただし、照明で暑くなる劇場の中で
ずっとスーツとトレンチと帽子をかぶっている。
初日は始まって5分で汗だくだった。

団員全員かなりナーバスな雰囲気の中で初日を迎え、
僕自身は最悪の出来だった。
2日目の昨日はまずまずの出来。演出家も気に入っていたよう。
お客さんが入るとやっぱり全然違う。
昨日はほど満員だったので気分は良かった。

相方が観に来たので、色々と感想を聞いてみる。
彼女は僕にとっては結構大事な批評家だ。
まあまあだったとのこと。
ちょっとほっとする。

実は今回は作品の3分の2以上のシーンに出ているので
自分のせいで詰らなくなっているのではないかという
勘違いな自意識過剰に陥っていたのでいつもよりかなり緊張した。
初日なんか朝から体が緊張していたし、とにかく台詞を言うだけで
精一杯だった。お陰で2日目なんかNYを離れて何処かに行って
しまいたいとさえ考えた。
しかし、現金なものでお客の笑い声を聞くにつれ緊張もほぐれ
2日目はまあまあの出来だった。

昨日の終演後は演技を勉強するティーンと質問会。
作品に対するいろいろな質問や意見が出る。
思いもよらないような美しい解釈を聞かしてもらって
元気になる。

今日は3日目。これから30日まで火曜を除き毎日公演。
これからもっと良くなっていけるといい。

さて、僕のちっぽけな生活とは関係無しに
世の中では色々な事件が起きているようで新聞を読むと
気が滅入る。芝居なんかしてて良いのかなんて事も
ちょっとは考える。世の中を変えるために芝居してるわけじゃない。
でも、9月11日は多くの芸術家に影響を与えている。
こうは事件から六ヶ月目。
何かのメモリアルがあるらしい。
忘れないこと。
それぐらいしか僕にできることはない。















      

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