ニューヨーク俳優修行日記
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2003年03月27日(木)

転送再び


下記は前回と同一人物からの転送。
彼は現役のテレビのカメラマンです。

ニューヨークから南へおよそ150Km、
米陸空軍の訓練基地、Fort Dixへ、
出撃前の予備兵が親族と最後のお別れをするセレモニーを
取材に行きました。

予備兵とは普段は民間の仕事をしていて、
有事の時に召集される登録兵で、召集後
3週間程の訓練を受けて戦線へ配属されす。
今、前線に出ている陸軍兵の約半数が予備兵で、
湾岸戦争時には26万人が動員され、
今回は現時点ですでに20万人が召集されているそうです。

代わる代わるスピーチする上官達は、
君たちはイラクの人民の自由の為に戦うんだと何度も繰り返し、
きれいなおねえさんがゴッドブレスアメリカを歌い、
牧師が祈りの言葉を読み上げます。
兵士達は無表情、家族は、どうしていいのかわからないよ
うなこわばった微笑みで、ただ呆然とながめたり写真をとったり、
いつか写真で見た太平洋戦争の出征祝いの光景が
目の前で起こっていました。

父親の兵士に抱かれた男の子、今日のセレモニーをどう思うかと
聞かれてはにかみながら「Cool!」かっこいい!と答えました。
黒人兵士の母親、ブッシュ氏の方針を支持するかとの問いに
「しないわよ、必要のない戦争だもの、でもどうしようもないわ、
今はただ生きて帰ってきてくれさえすれば。」と涙をこぼし、
白人兵の母親はただただ顔をゆがめて泣きつづけ、
私のカメラのファインダーも涙で見えなくなってしまいました。

帰り道、カーラジオはイラクからのリポートを流し続けていました。
アメリカ兵の死傷者、捕虜、ブッシュ氏の演説、
「彼等の犠牲に感謝し、祈ります。」

最前線に出る兵は18歳から25歳くらいが一番多いそうです。
私としては、38歳になった今でさえ日々間違いの繰り返しだ
というのに、20歳の頃の自分にどれほどのことが解っていただろうか。
ある意味では子供も同然です。
彼等はどんな気持ちで死んでゆくのでしょうか。
かつての日本兵の少なくない人たちが、死ぬまぎわに
「おかあさん、たすけて」と言ったという話を読んだことがあります。
それほど違わないのじゃないかと思うのは感傷的すぎるでしょうか?

彼等を死に追いやる責任は私達大人一人一人にあります。
私達はこの取り返しのつかない責任の重みを
十分に自覚した上で戦争をしようと決め、
支持すると言っているのでしょうか、
この人達を前にしてどんな顔で同じことを言えるのかと、
そんなことを考えていたら、残念で、また涙が出て来ました。
どうもこの仕事向いていないようです。



      

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