大きな樹木がありました。
夏はいっぱいの葉をつけて そよそよ風をうけていました。
樹木は冷たい雨からぼくを守ってくれました。 樹木は大きなぼくの寝床でもありました。
ときには樹木に登って一緒に 遠くのきれいな街の景色をみて感動しました。
けれど、寒い寒い冬がきました。
樹木を覆っていた葉っぱはひごとに一枚 ひらり二枚
あっとゆうまに剥き出しになった木肌が とても寒そうで痛そうでした。
この冬のりきれるかなぁ・・?
樹木に容赦なく冷たい雨や、風が
ぼくにはどうすることもできなくて 小さなレインコートをかけてやりました。
しかし、それは樹木にとっては 気休めにもならないものでした。
ぼくは樹木のそばにいるのがやっと。
ふっと足元を見ると
樹木が散らした葉っぱが地面いっぱい ふかふかであったかそう。
そこからひょっこりと花が顔を覗かせていた。
寒い冬を越えて必ず暖かい春がやってくるのだと
また樹木がきれいな花を咲かせる春がくる。
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