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嫌いな食べ物「キュウリ」


2001年12月15日(土) 12月15日7時43分

 ティエリー・ペトルチアーニが死にました。
 自己満足かと思うのだけれど、少々話させて頂きたい。
 彼は、私の愛が一番込められた愛息子でした。思春期という不安定さに、立ち向かわずに怯え、揺らぎ、そして死を愛し、人を愛し、憎み、不安定な時期を送った人間でした。彼の、学園で生きた約八ヶ月は、色々なことを考えたのでしょう。心中未遂、休学、親友の死、恋人との別れ、そして…結局は息絶えました。彼は今頃、微笑みながら、某氏と共に手を繋いで、幸せに湖の底に眠っているのでしょう。
 彼は一人歩きをし、私の指から紡ぎ出される言葉は単なる彼の言葉であって、非常に私を感動させることも、感心させることもありました。

 「言葉も、口付けも、温かみも、刹那だけれど。さよならだけが、永遠なんだよ」

 私はこの言葉を彼から聞いて酷く驚きました。確かにそうだった。彼は(PLさえも知らなかった、永眠の未来を)予感していたのでしょうか。
 彼は生きることの出来ない人間でした。人の出会い、の向こう側に人の別れ、を見、人の愛の裏に人の憎悪を見る。そして限りない欲求をする自分の肉体、クラシックが弾けないコンプレックス。其れ等は全て、「自分の身体を使って人を脅す」という行為にも繋がっていました。
 彼の精神は鉛の球を埋め込んだ硝子球でした。酷く脆く、落としてしまえば塵のように光って消えてしまう。然し本質の鉛は、永遠に溶解されぬ不思議な鉛だったのです。
 最後に、其れでも彼は全ての人を愛していたのでしょう。全ての事柄を死の間際に漸く受け入れ、理解し、そして微笑みながら沈んでいったのです。
 そんな彼に永遠の祝福を。永遠の眠りを。

 ティエリー・ペトルチアーニ、11年生。

 全身で世界の構造全てを愛して受け止めた人。


 …崩壊の美を愛す…


さくま