嫌いな食べ物「キュウリ」
2002年09月14日(土) |
映画インソムニア毒舌感想 |
映画、インソムニアを一人で見て来ました。帰ってから衝動的にワードに打ち込んだ感想を載せておきます。以下。
インソムニアについて
仰々しくCMをやっているので見に行った所CM費用が勿体無いくらいの駄作っぷりに驚かされた。
この映画が掲げている「眠れないほどに恐ろしい」というのは決して嘘では無いが、観客が眠れないほどに恐ろしい気分になれるかというと全くそうでなく、「眠れないほどに恐ろしい」事件を体験するのは主人公である。それなら観客が主人公に感情移入なり出来るのであればこの映画を見ているその瞬間には、観客は「眠れないほどに恐ろしい」体験を間接的にしていることになるが、決して感情移入できるような主人公の設定ではなく、どちらかというと、観客は主人公を他人の目で見るはめになる。よって、この映画のキャッチフレーズである「六日間眠れないほどに恐ろしい事件」というのは間違っては居ないが見る前の観客に過剰な期待感を抱かせて見た後にはがっかり、という何とも詐欺的フレーズである。
それから、この映画は結局言いたいところが判らないというどうしようもなさがある。私が見た限り、言いたいこと或いは表現したいことは少なくとも三つある。
一。 罪人を赦さないという警察官の正義によって罪を重ねていく熟年刑事の人生と苦悩と末路。
二。 一般人は誰しも凶悪犯、犯罪狂、変質犯罪者になりうる。
三。 人間同士のトラブルから発生する錯覚、幻覚、混乱。
素人である私から言わせれば、映像にテーマを設ける場合、なるべく一つに絞って、一つのテーマについて深く掘り下げて表現するのが無難である。例外で、幾つかのテーマを取り上げていながら上手くそれを「一つの穴」として掘り下げている映画もあることはあるが、それが出来ないのならやってはいけない。映像を作る課題を何度か受けた私は、「言いたいこと」がありすぎて一つに縛れず、結局最後まで何が言いたいのか判らない、といった作品を作ったし、見た。これは経験から来た私なりの持論である。
さて、余談だが、映画の内容だけではなく、CMの内容にもほとほと馬鹿馬鹿しい点がある。CMでは真っ赤に塗られた爪をカットする、という何ともおどろおどろしいシーンが起用されているが、あれが重要なポイントになるかというと全くそうでは無い。逆にあれは何でも無い唯の一コマに過ぎない。
死体の始末の際に、そういうことをする、というのは、常識的におかしいと思えども、「殺人狂」或いは「変質犯罪」の表現の仕方としては今ひとつ押しが弱い。
唯一この映画でドキリとすることを挙げろと言われれば、突発的に響いた銃声だった。所が銃声というのは静かな場面で突然映画館中に爆発音が響き渡れば人間の体は驚くに決まっているわけで、ストーリーの御陰でドキリとしたなんてことではなかった。映画の中に感情移入できるわけも無く、唯他人事として捉え、「次はこうなるだろう」と予想したりすることしか出来なかった。
以上を総合して、インソムニアは駄作中の駄作、一流の仮面を被った三流映画(もっと酷いかも知れない)だと思う。これを見るならキラーコンドームを見たほうがずっと面白い。時間の無駄に過ぎない、と思う映画であった。
以上。
さくま