嫌いな食べ物「キュウリ」
2002年12月24日(火) |
クリスマスに祈る二つのこと |
恋人へ
恋人になって丁度一年が経った。
最初は長く続かないだろうと思った。貴方は女性で、今まで女性を好きになるという傾向も無かったと言うから。貴方の告白は、私には大きな友情の勘違いだろうと思われた。
あの時私が貴方に恋愛感情を抱いていたかどうかは判らない。
確かに私と貴方は友人であっても一緒に寝ていたし、毎晩魘される貴方を胸に抱いて寝ずに夜を過ごしたりもした。貴方が何時も噛み締め、舐め、苦痛の声を上げながら寝ていたその唇を、貴方が知らずに私が戯れに唇を押し付けたこともあった。けれどもあの時私が貴方に恋をしていたか如何かはもう今となっては判らない。
貴方は可愛かった。友人であった貴方は可愛かった。だから貴方に口付けをしたし、だから貴方の言葉を疑いながら受け止めもした。
あれからもう一年。男性の告白を受け止めずに、酔うまで酔って、私に告白をして来た日から丁度一年。すぐに返事をせずに、悩むだけ悩んだ後、次の日に受け止めた日から一年。
最初は戸惑った日もあったろう。口付けやセックスや、愛の言葉も。嫉妬した日もあったろう。男性に劣等感を抱えて傷つけた日も。
成長をしようと思う。貴方をずっと見守りたい。貴方から貰ったキャメルのジャケットの内にナイフを隠して。汚らわしい手が貴方に近付かぬように。
一周年おめでとう。
姉へ
貴方は多分、私に劣等感を最初に植え付けた人です。それでも私は貴方を愛してる。家族として、貴方はとても誇らしいから。
私が未だ小学生だったとき、大学受験を迎えた貴方にこう聞いたことがあった。
「お勉強して何が楽しいの?」
貴方は私の頭を撫でて、苦笑などせずに朗らかに笑ってこう言った。
「お勉強は皆辛いものよ、けれど判るようになると楽しいものなの。」
そうして貴方は医者になった。おじいちゃんの葬式で貴方は入学式で独りだった。こんなにお金も時間も掛けずに、ずっと自分を守ってきた人。ずっと自分を信じてきた人。なると言ったものになれる人。年齢など関係無い。親戚中が貴方を信頼している。私は誇らしい。
貴方は今闘病生活。ストレスで子宮に大きな腫瘍が出来たのだってね?
毎日夜勤と仕事。夜中に鳴る携帯の音。眠気を感じさせないてきぱきとした指示。何も無い冷蔵庫。労働なんてものじゃない、地獄じゃないの、そう言った私に、でも楽しいから、そう言って終わらせてしまった人。毎日身体に気を付けてと言っているのに。
26日に手術、28日に退院、そしてもう1日に診察と夜勤。未だ傷口は糸が取れていない筈なのに。
貴方には適わない。私が何をしたわけじゃない。貴方は色々やり過ぎた。何人の命を助けたか知らない。何個の病気を抱えたか知らない。
無事に退院して下さい。
もう甥や姪の姿を拝めなくても。
…眠いのに眠れない…。そうして今はもう既に朝5時半を回る。
明日は色々楽しいことがある筈なのにこれじゃぁ朦朧とする唯の馬鹿だ私。表参道とか丸の内とかお台場とかさぁ…。眠気できっと駄目駄目だな。今日ほどミンザイ(睡眠薬)を欲しいと思った日は無い。凹むよ。自分死ね。ていうか死ぬように眠れ。
さくま