嫌いな食べ物「キュウリ」
教室の窓に、腰掛けて、ひとりのしょうねんがそうしてただじっと、白い髪を夕日に煌かせて、いた。
目の前に広がるのは。
机、鉛筆、筆箱、プリント、出し忘れのレポート…
そんな類。
その中で少年は一人、静かに腰掛けていた。
後ろに広大な夕日を背負って。
そのとき、ひゅう、と風が泣いた。
髪が乱れて世界を隠す。
からから…
鉛筆が一本、机から落ちるのを見ることが適わなかった。
そうして少年はたった一人、
窓辺に座ったまま、
小さく小さくこう呟くの、で、す。
「いったいあれのいったい何が、落ちていった?」
「僕は何にも見てないから聞いてないから。」
「そうして何にも……知らないんだぜ」
さくま