嫌いな食べ物「キュウリ」
それは一つのものを象るらしい。
そうしてそれが壊れたあとに、
何かとても不可思議なものが、
そこから抜け出て霧のように散っていくらしい。
魂とか、
精神とか、
そんな単純な、
そんな下らないものじゃぁない。
散るその瞬間に、
酷く瞬いて人の目を焼き潰すらしい。
ほらあそこ。
ほらあそこ。
ほら、
ほらまた。
そんな風にあの人は、
優しく光り散るそれを教えては、
私の目を一つずつ、
そうして潰していってしまった。
だからきっと、
私はその象る何かが、
一体何であるか、
もうその光を見ることのできない所為で分からない。
ねえ、
もう教えてもらっても、
何も見えないんだ。
「ほら、
ほらまたあそこ。」
さくま