++浮気の行方++
目次|過去|未来
この世のものとは思えないような 夕焼け ばら色に染め上げられた雲 深い空
母が死ぬと聞いて見た景色
車椅子を押して見た 最期の桜 あふれんばかりの 薄桃色の花びら きらきらと光って見えた木々 絵に描いたような青い空、緑の葉
眠れずに出勤した いつもの雑踏の中 音もなく まわりと同じ世界に存在している気がしなかった
聞けないテープがある。 アタシがまだ赤ちゃんだった頃の テープ 音声しか入っていないテープ 母が死んだあと父にもらったテープ
けたたましい赤ちゃんだった頃のアタシの泣き声から始まるテープ 若くやさしい母のあやす声が聞こえて 止めた。
以来大事にしまったまま 未だに聞くことができない。
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