Murmure du vent
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世界中の宝石を集めたような夜景が、眼下に広がっていた。 ルビー色の夥しいストップランプ、虹色のお台場の観覧車、ダイヤモンドをちりばめたレインボーブリッジ。 不意に甘い香りが僕を包んだ。 耳元で彼女が囁いた「貴方を好きになりそう…」
あれから何年たっただろう。
仄暗いバーラウンジで猫のような瞳が私を捉えた。 そしてあの時と同じジャスミンと白檀の秘密めいた香り。
「もっと貴方を好きになりそうなの…」
男を弄ぶ大人の女の香りは輪廻という意味。
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