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■ あふれる思い。番外編。その2.
アキラさん視点って、ヒカルよりも難しい気がします。私がアキラさんファンだから? …どうしてもなんかうまくかけないんで、後日書き直ししたいかも。毎度のことだけど(苦笑)
「あふれる思い。番外編。その2」
結局、かなりの時間を悩むことに費やしたものの、アキラはヒカルに電話をかけることはしなかった。
アキラの高いプライドが邪魔をした、と言ってもいいかもしれない。 もしかしたら、ヒカルはアキラが誰から番号を聞いたとて気にしないかもしれないが(ヒカルが聞いたら怒るかもしれないが)、それでも、アキラはヒカル自身から教えて欲しいと思ってしまったのだ。
(何でボクは…)
そう思ってしまうのだろう。 自分自身でも、わからない。 何故、ヒカルに対してだけ、こんなにも調子を狂わせられてしまうのか。 それも、あの名人戦の日から、碁に打ち込む時間以外はいつも心のどこかにヒカルがいる。 あの笑顔が離れない。 ヒカルのことを思うと、心の片隅がほんのりと暖かくなる。そんな気持ち。
その気持ちの呼び名がなんなのか、まだアキラは気がついてはいない。
そのまま、ヒカルに会えないまま何日かが過ぎて、ようやくアキラは手合いの日に棋院でヒカルと会う機会に恵まれたのだった。
「塔矢!久しぶりだな」 手合いを終え、相変わらず元気な笑顔を見せて、ヒカルが駈け寄ってくる。棋院の入り口で、アキラはドキドキする心臓を抑えて、ヒカルが近づくのを待った。 「久しぶりだね、進藤」 アキラの隣にたって、ヒカルが嬉しそうにうなずく。 「名人戦からまだ何日かしかたってないのにな。なんか、こうしてオマエと話せるのって、いいな」 「…そうだね」 ヒカルは意識していないのだろうが、アキラはさっきからヒカルの一言一言にはやる心をおさえきれないでいる。 こちらに向けてくる笑顔も、声も。ヒカルという存在が、アキラの中で大きく変わり始めているのをアキラは自覚した。 それでも、それは今まで自分には近い年齢での友人がいなかったせいなのかもしれないと考えてしまっていたアキラである。ヒカル同様、いまだに特定の人への特別な感情など持ったことのないアキラにとって、それは仕方ないのかもしれなかった。
打つ約束のことを、どう持ち出そうかとアキラが考えたそのとき、 「オマエ、なかなか電話してこないんだもん。忙しいのはわかるけれどさ、オレと打ちたくないのかって思っちゃったよ」 とヒカルが言った。その言葉に、さすがのアキラも苦笑せざるを得なかった。 ヒカルは気がついていないのだ、全く。まだお互いの電話番号を交換していないことに。 とにかく、電話をする以前の問題であることをヒカルに伝えなければならない。アキラは、このヒカルの言葉に飛びついた。 「だってキミ、電話番号をボクに教えてくれていないじゃないか。ボクもそうだけど、だからかけられなかったんだよ」 アキラの言葉に、へ?というような顔をしてヒカルが言う。 「あれ?オマエに教えていなかったっけか?」 「ああ。だから、今日教えてもらおうと思って。ボクもキミに教えたいから」 ヒカルはなぜか意外そうな顔をして、背負ったバッグをおろしながら言った。 「オレ、オマエには教えたような気がしてたんだよなー」 そうして、携帯を取り出す。それはアキラと同じメーカーの機種だった。色はメタリックの黒。一番人気があるらしく、アキラが買ったところでは品切れ状態だったものだ。 「進藤、携帯買ったんだね」 「うん、やっぱり持っていないとな。最近買ったんだ」
(…今の、別に変じゃなかったよね)
ヒカルが携帯を買ったことは知っているアキラだが、何故かとっさに知らない振りをしてしまった。和谷君に話しているのが聞こえただけだと言えばいいのに。 そのことを、悟られはしなかったか気になったが、ヒカルは携帯を操作していて、気がついてはいない。 そんなことより、ヒカルに自分も持っていることを言わなければ。 「実は、ボクも買ったんだ、携帯」 そういってアキラが携帯を取り出すと、ヒカルが目を輝かせてそれを覗き込んできた。 「あれ、オレと同じメーカーのやつだな、それ。会社も同じだよな。なら電話料金とか安くなるぜ、確か」 そういうことまではよく知らなかったアキラだが、ヒカルが嬉しそうに話しているので、つい自分も笑みがこぼれる。 「そういうのがあるんだ?知らなかったな。そういえば、進藤はメールはやるの?」 確か以前、ヒカルはパソコンは持っていないと言っていたし、緒方から教えて(無理やりだが)もらっていたメールアドレスは携帯のものだった。 しかし、ヒカルはそういうものには弱いと言うことも聞いたことがある。 出来れば、ヒカルも携帯でメールが出来れば約束を取り付けるのにも便利だとアキラは思っていた。何より(消去されない限り)目で見ることが出来るからだ。 それに、メールなら送る時間をある程度気にせずにいられる。アキラはパソコンのほうでメールになれていたので、別に携帯のメール機能には抵抗はない。 「う…」 しかし案の定、ヒカルが口を尖らせてしまう、携帯を操作していた手も止まる。アキラは自分の携帯の番号を画面に表示させながら、ヒカルに言った。 「もしやっているのなら、そっちのほうが約束するのにいいと思ったんだけど。メールなら画面に残るだろ?忘れないじゃないか」 「そうだけど…」 どうやら、アドレスはあるものの、積極的に使うという状態ではないらしい。 「なら、今度ボクが教えてあげるよ。幸い、同じメーカーの機種だし、出来たほうが楽だよ」 「うーん、まあ…ヨロシク」 どこか不満そうな顔を見やって、アキラは自分の携帯をヒカルに見せる。 「これがボクの番号だよ。自宅のは口で言うから入れていって」 「あ、うん」 まだ使い慣れていないのか、慌てるヒカルの携帯の画面に、見慣れた文字が見えた気がして、思わずアキラは口に出してしまっていた。
「…緒方さん?」
冷静に考えれば、当たり前のことだ。 緒方がヒカルの携帯の番号を知っているとすれば、ヒカルもまた緒方に教えてもらっているだろう。 全然思いもしなかったが、それは自然なことだ。 それでも、思いがけず、アキラはショックを受けてしまっていた。
「塔矢?」 ヒカルの声が、遠くに感じていた。
続く。
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…ノーコメント。 こんなのアキラさんじゃないよう…。 なんでここ何日か、書けないんだろう。スランプなんていうほどの才能は小室にはないのに。 日曜日までには、なんとかしたいです…はう。 やはり、アニメのほうで佐為が消えてしまったことが尾を引いているのね…見てもいないのに、アニメの感想などを他サイト様で拝見して、また原作で読み直しして一人で勝手に落ち込む小室でした…。
あ、携帯に関しては、特にイメージしている機種などはないです、はい。
2002年12月05日(木)
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