こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
◇洞ケ峠を決め込む(一覧へ)
◇とこしえ(前回へ)
◇倒れるなら前のめり(次回へ)
| 2003年12月14日(日) |
(未決定)特別編�� ジャムおじさんとメロンパンナちゃん/前編 |
『パンはパンでも食べられないパンはフライパン。 それでは、売れ行きの悪いパンはなーんだ? お前のことだよ!!食パンマンよー!!もっと働けよ!!』
そんなジャムおじさんが、そろそろセクハラしかねないくらい 可愛がる存在、それがメロンパンナである。
18世紀、甘いモノが大好きなパン屋の主人が 店が忙しく、なかなか食事をとる時間がなかったため、 売り物のフランスパンを焼くとき、1つだけ自分用に たっぷりの砂糖を塗ったのが発祥であり、 それを見た奥さんが 『そんな甘いパンばかり食べてたら、 今にメロンみたいに 丸くなるわよ』 と言ったのが、その名の由来である。
メロンパンナの性格は、いたってのんびり屋さん。 ただし、『天然ボケ』と言われると突然怒りだし、 体温が上昇、彼女の頭皮の砂糖が溶け始めるため、 彼女の前では禁句であった。
お局様のバタ子さんとは仲が悪い。
メロンパンナの入社前は、唯一の女性社員として 男性パンにチヤホヤされたが、いまではメロンパンナに人気が集中、 気に入らない存在だった。 「えっと・・・ウグイスじゃないし・・・ そうそう、メロンパンナちゃん」 といった具合に、わざと名前を憶えてないフリして 嫌味を言ったものだった。
彼女の売れ行きは上々だ。 発売以来、【菓子パン】としての売り方が功を奏し、 OLの3時のおやつとして徐々に広まりつつある。
入社したとき、ジャムおじさんは
『お前をこの店の4番松井にするつもりはない。 お前は2番ショート川井、6番セカンド仁志だ 野球は4番だけじゃ勝てないのだ』と熱く語ったが、
野球を知らない彼女が、もちろん理解できる訳がなく、 それでも野球の話をしなければと思った彼女は、
『サミー・ソーサのコルクバットにはびっくりでしたね』 と言ってみた。
決して仕事を覚えるスピードは早くはない。
パンだけにパサパサして牛乳がないと、 『飲み込み』は良くないが、コツコツとがんばる姿は、 社員はもちろん、客からの評判は良かった。 あのバタ子さんでさえ、彼女のひたむきな姿に 次第に心を開いていった。
・・・それが、彼女の演技とは気付かずに。
すべては計算だった。 仕事で失敗したとき、『いけなーい』と 舌を出しながら自分の頭をコツンとする仕草 (パンのため、実際は【パサ】としか音は出ない)は、
この会社になじみ、 全社パン(全社員)の信頼を得るための演出だったのだ・・・
あの日の、2年前の誓いを果たすための。
|